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バタンとドアが開いた先に立っていたのは、あの美人なお姉さんだった。垂れ目がちな目が泣き濡れてふらふらになっている。僕は、慌ててお姉さんに駆け寄る。
「大丈夫ですか……?何があって……」
お姉さんは、手首や足首を切ってしまったようで擦り傷からは血が滲む痛々しい姿だ。左足を引き摺っており、右肩も脱臼したように不自然に伸びてしまっていた。
「……助けて!一緒に来た友達が、足を踏み外して……」
僕は、部屋の四隅に蝋燭で四つに囲った結界に寝かせている彼女たちを思った。バスの乗客は、この部屋から一歩も出ていない。彼女は……。
佐波委の目が異様な光を放っているようで僕は呑まれてしまい何も言わずにいると、彼女は静かに僕の首元に腕を回した。
「お願い、助けて……」と、彼女はうわごとのように何度も繰り返す。僕は、解ったよ。と、彼女に笑顔を向けた。
「おいっ真也!」
佐波委が叫ぶ声を無視して、僕は彼女をそのまま背負うと、勢いよく外へ飛び出す。
ーー僕は、身軽さにだけは自信がある。




