表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

砂砂粉粉

本当に中身がありません。思い付きで書きました。

 凄く乾いた風が吹く。砂浜の砂がなぜか全部きな粉でできているような想いがして、一つまみ舐めてみると

「きな粉味だ」


 道雄瑠(みちおる)は口の中が粉っぽくなり、あわててドリンクを探したが、まともな自動販売機がないのだ。

「飲むきな粉餅、なんだこりゃ」他にも飲む麦こうせんとかホットケーキの粉とか、ただの最中とか、口の中が乾いた道雄瑠には、余計に水が欲しくなるラインナップだった。


「待たせたわね」

道雄瑠が振り向くと、花柄のワンピースに黒いコートを羽織った妙齢の女性が海の家の日陰で佇んでいた。

倉巣(くらす)イーヴァさん、おひさしぶり。今日は泳がないのですか」


 イーヴァはかぶりを振って顎をしゃくり上げ道雄瑠を見据えた。

「私がカナヅチだと知ってて、そういうこというのね」

「小学生時代からもう八年は経っている。そろそろ泳ぎをマスターしたかと思ってね」

「おあいにく様、今日はビジネスの話を持ちかけにきたの」

と言うと彼女は厳かにつばの広い黒い帽子を投げ捨てる。帽子は途中でカラスの群れになり飛び去った。


「またマジックの腕を上げたんですね」

「そう、にもかかわらず拍手もないのね」

機嫌を損ねてはと道雄瑠は拍手をすると、イーヴァが後ろ歩きをしながら話しかける。


「ここの砂がきな粉だと知ってるのは、私と道雄瑠と海の家の主人だけ」

「つまり三人で砂を売ればいいのだね」

と道雄瑠が納得しかけると、イーヴァは首を横に振って叫んだ。


「私は水が飲みたいの。さあ自動販売機を設置して」


それからというもの、ここの砂浜ではきな粉味の砂を舐めて、口の中がパッサパッサになった海水浴客たちが自動販売機に列をなすようになりました。


「砂舐めるって衛生的にはどうなんだろう」

道雄瑠の疑問は水平線の彼方に消えて行った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] お久しぶりです! 砂をきな粉にしてしまう発想、 この世界観、好きです(笑) なんだかお菓子の家みたいで、夢がありますね! とはいえ、やはり池渕作品。 ラスト、なかなか辛口ではありませ…
[良い点] 砂を舐めてみる発想が斬新で面白かったです! 海の砂は絶対に辛いと思っていましたが、実はそうではないのかもしれません。 今度舐めて確かめねば……(嘘です)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ