せせらぐ小川
せせらぐ小川のほとりで。
ざぶざぶざぶ。
暴れん坊のアライグマが、大人しく野菜を洗っています。
「おいもかぁ。ぼかぁそれは食べらんないな」
そのまわりを、食いしん坊のヘビがうろちょろと。
今日も今日とて、おいしいものを探しています。
ざぶざぶざぶ。
アライグマは何も言いません。
でもその手に持ったのは、今度はおいもではなく。
ちいさくてかわいい野イチゴでした。
「うわあ、おいしそう!
どこでみつけたんだい?」
ヘビの目が、きらりと光ります。
それでもやっぱり、アライグマは何も言わずに。
きれいに洗った野イチゴを、きれいに洗った大きな葉っぱにのせ。
食いしん坊のヘビの前においたのです。
「いつもすまないねえ、恩にきるよ!
いただきまーす」
食いしん坊のヘビは、とびきり嬉しそうに。
にこにこわらって、あっという間に野イチゴを、ちゅるちゅるぺろりとたいらげました。
アライグマは、その様をちらりとながめた後も。
まだまだあるおいしいものを、洗うことにいっそう精を出すのです。
ざぶざぶざぶ。
暴れん坊のアライグマ。
洗っているときだけは、暴れることなく、とても穏やかでいられるのです。