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逆さ虹
静かな雨が降っています。
あんなにも賑やかだった動物たちも、息をひそめています。
絶え間なく木の葉がこすれる音を奏でていた風すら、今はおとなしいものです。
時間が過ぎてゆきました。
残念ですが、ずっとここにはいられません。
名残惜しさに、小さくひとつ、ため息を吐いて。
ほの暗い森の中の道を、歩いていきました。
木々の途切れる場所に着きました。
雨が上がりかけているのでしょう。
空を見上げれば、雲の切れ間から、光が差しています。
胸を満たす穏やかな気持ちを伝えるべく、私は森を振り返り、大きく手を振りました。
気がつけば、その上空には。
にっこりと笑ったような、眩く美しい、逆さまの虹がかかっていました。
またおいで。
そう言ってもらえたような気がして、私の顔にも笑みがこぼれたのです。