オンボロ橋
森のはずれ真ん中には、オンボロ橋とよばれる、大きな橋があります。
いつからあるのか、だれがつくったのか、全くわかっていません。
わかるのはとてもボロボロなことと、
わたり切るのがとてもむずかしい、ということだけです。
そのオンボロ橋で、どうぶつたちは、ときどき度胸だめしをします。
スタート地点、オンボロ橋の手前には、三匹のどうぶつが並んでいます。
今回は、ごほうびを目指し、競走するようです。
よーい、どん!
勢いよくとびだした、暴れん坊のアライグマがずんずん進んでゆきます。
少し遅れて、とん、とん、とお人好しのキツネが、橋をゆらさぬよう遠慮がちに歩いています。
その後ろには、のんびりゆったり、食いしん坊のヘビがにょろにょろ、
橋のロープの手すりにからみつきながら進みます。
橋の上の空から、歌上手のコマドリが、ぴーひょろろ、と応援歌を歌っています。
ゴール地点では、いたずら好きのリスが、賞品の野イチゴの中に、
とっておきのクルミを隠しています。
怖がりのクマは、みんなが落ちてきては大変と、
橋の下の川の手前で、競走のようすを、ハラハラしながらみまもっています。
はたして、その結果はといいますと。
アライグマは、その勢いでいたんだ板を踏みぬき。
キツネは、コマドリの歌に気を取られ、その足をすべらし。
ヘビは、お腹がすいて、なんだか面倒くさくなり。
みんな、川に飛び込んでしまったのでした。
おぼれないかとあわてた、クマの心配をよそに、それぞれが川をすいすい泳ぎ切り。
最後にみんなで、賞品の野イチゴとクルミを、仲良く分け合ったのでした。