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第75話 ミシェルが招いた騒動

「今度はアーシュラさんが言ってた、レインボーなんちゃらに挑むのミシェル?」


「いや、それはまだ早いと思う。 もう少し能力を増やしておきたい」


ミシェルはそう判断した、過度な自信は失敗の元だ。

これまでの2体は、相性が良かっただけなのだ。


「俺達の役目はハジメの為に、モンスターを喰い歩くことだ。 無理に強い奴と戦う必要は無いから、のんびりと美味いモンスターでも探しながらいこう。 ハジメより先に喰って、悔しがる顔を見てやろう」


気合を入れすぎると空回りしてしまうので、この旅を楽しめる様に考えたミシェル。

そうなると旅の楽しみはやはり、美味い料理モンスターとなるのだ。


1週間で魔界を1周出来る脚力を活かした、グルメハンター(美食冒険者)パーティーがここに誕生した!



1週目


フィッシュマン(魚人) = サバ味(能力 水中呼吸可)


ダークバンブーベビー = た○のこの里味(能力 急速延伸)


ブラックマッシュルーム = き○この山味(能力 幻覚付与)


イエローラーバ = カー○チーズ味(能力 土遁術)


レッドカッターフラワー = カ○ムーチョ味(能力 血行促進)


幸先良く5体のモンスターを食べることが出来たが、ここでミシェル達にパーティー分裂の危機が訪れた。


「バンブーベビーだ!」


「いいえ、マッシュルームの方よ」


「バンブー」


「マッシュ」


「バンブー」


「マッシュ」


ダークバンブーベビーとブラックマッシュルームのどちらが美味いかで揉めているのだ。



ダークバンブーベビー派=ミシェル・キャシー


ブラックマッシュルーム派=ソニア・アンナ



美味いモンスターを食べ歩く旅なので予想できたことではあるが、なんとも不毛だ。


【食い物の恨みは恐ろしい】


同じようなトラブルが翌週も発生した。



2週目


コットンクラウド = ポ○ロン味(能力 空中浮揚)


ミニストラタン = パ○の実味(能力 多層結界)


ブラウンタイルインセクト = ビッ○リマンチョコ味(能力 模倣)


ブラウンタイルインセクト(亜種) = 森○万象チョコ味(能力 模造)


修復しかけた空気がまた悪化してしまう。

修復不可能になりそうな危機的状態を救うモンスターが

ようやく登場したのはこの時だった。


マインボール = キャ○ツ太郎味(能力 手榴弾)


何故、マインボールだったのかは分からない。

分からないのだが、何故か美味いと皆の意見が一致したのだ。

これにより人の好みはそれぞれで、どれも美味いということとなった。


このミシェルの美味いもの探しが思わぬ事態を招く。




「……なんじゃ、これは?」


「とりあえず、ここ2週間で食べたモンスターのリストと報告書っす」


「そこまで争うほどのことなの? モンスターの味ごときで」


「喰えば分かるっすよ! アーシュラさんも喰えば!」


げんなりするアーシュラに対して、真剣な顔で訴えるミシェル。


そこまで言うのならと兵士の1人に、報告書に書かれていたダークバンブーベビーとブラックマッシュルームを2体ずつ捕獲させる。

そしてアーシュラは夫のカルーラを呼んで、2人で食べ比べをしてみた。


「バンブーベビーの方が美味しいわ!」


「いいや、マッシュルームの方だ」


「わたしをそんなに怒らせたいの?」


「そうやって力で解決しようとするのは、マッシュルームの美味さに勝てる自信が無いからじゃないのか?」


普段温厚なカルーラが、この時ばかり、はアーシュラに噛み付いた。

この夫婦喧嘩が膠着状態となったので魔族軍の兵士達は何とかなだめようと考えた。

そして騒ぎの元となった2種のモンスターを食した事で、事態はさらに悪化。


のちにバンブーマッシュ論争と呼ばれる魔族を2分する騒動へと発展するのだった……。


配下から密書が届き騒動を知ったジィさんが慌ててルピナスにやってきたのが、騒動が始まってから更に1週間後のことだった。


「ハジメ殿、頼みます。 このままでは魔界で内乱が起きてしまいます!」


「内乱ってそんな大げさな!?」


「大げさではありません、カルーラ様は城に立てこもりアーシュラ様は城の外を包囲しています。 さらに問題なのは騒動のキッカケとなったモンスターが乱獲された結果、この2種に絶滅の恐れまで出てしまったのです」


ハジメはさすがに呆れるしかなかった、たかだかモンスター2種が原因で内乱にまで発展するなんて普通じゃない。


だがその問題のモンスターの名前を聞くと、妙に納得してしまう部分も有った。


(きのこ、たけのこ論争か……)


そう考えると、セシリア達を一緒に連れて行くのは非常にまずい予感がしてきた。


「ハジメ、準備は出来ましたか?」


準備を整えたセシリアがハジメを呼びに来た。


「ああ、今行く。 だけど何だろう、今回は俺1人で行った方が良さそうな気がするんだが」


「あら、5人の妻を残して浮気でもしに行くつもりですか?」


「違う、そうじゃないって。 不毛な争いの仲裁にしかならないと思えてね」


セシリアはハジメが何を言っているのか、さっぱり分からない。

対するハジメは嘆息気味にセシリアにお願いするのだった。


「頼むから他の連中と一緒になって『こっちの方が美味い!』とか言い出さないでくれよ」


「?」


ハジメは馬車に乗り込むと、ヒッポちゃんに魔界へ向かうように指示を出した。

そして今回の旅で、ハジメ達は初めての夫婦喧嘩をすることとなった……。

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