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第67話 あっけない決着、グリフォンは幸せの味?

【俺様を倒せると思っているのか、惰弱な人間よ。まあ、ヒッポグリフなぞを庇う様な者共の馬車を俺様が引く価値も無い。この場は許してやるから生き残れた事に感謝するのだな】


1人で勝手に勝負が決した様に振る舞い立ち去ろうとするグリフォン、こんな慢心の塊みたいな奴を生かしておく理由も無い。ハジメはこのグリフォンを恥辱に塗れさせながら喰う事に決めた。


「1人で何勝手な事を言っているんだ?お前は今からもっとも情けない喰われ方するんだぞ、麻痺糸!」


ハジメは両手から麻痺毒をたっぷり含ませた糸を放つ、しかし放った糸は飛び去ろうとしていたグリフォンの真下を通り過ぎただけだった。続いて2度3度と糸を放つがグリフォンまでは届かなかった。


【ハハハ、所詮人間のやる事などその程度よ。恥の上塗りをした愚かな者共、その屈辱を生涯味わい続けるが良いわ!】


眼下のハジメに罵声を浴びせながらグリフォンがゆっくり羽を広げ、天に向け垂直に飛んで行こうと加速した時に異変は起きた。左右の翼が根元から切断され地上に落ち始めたのだ。


【なっ何事だこれは!?】


「お帰り、ほら何とかして避けないと真下には俺が敷き詰めた麻痺糸の網がお待ちかねだぞ」


その言葉を聞いたグリフォンは真下を凝視する、すると先程ハジメが外しまくっていた麻痺糸は網目状に重なり落下する己を待ち受けていた。更にハジメの背後に居たミリンダの手元にはグリフォンの翼を切断したと思える極細の鋼線があった。


【き、貴様誇り高き俺様をだまし討ちにするなぞ卑怯だぞ!】


「卑怯で結構、さっきも言ったがお前は今からもっとも情けない喰われ方するんだ。どんな命乞いの言葉を言うべきか、残りわずかな時間で考えるんだな」


そんな命乞いの言葉を考えたり言う暇も無くグリフォンは地面に叩きつけられたあげく麻痺糸によって全身が麻痺して動けなくなる。呂律も回らず上手く話せないグリフォンのすぐ傍まで来たハジメの姿が死神に見えた。




「ほら見ろよ、お前の自慢の翼だ。今から俺に喰われる所をよく目に焼き付けろ」


そう言いながら翼に喰らい付いたハジメ、固唾を呑んで見守るセシリア達の前でサクサクとした音を立てながら味見をするとハジメはこの世界の不条理さを呪った。


(こんな傲慢で横柄な奴がこの味か、幸せの粉の味までしっかりするしセシリア達も喜んで喰いそうだ)


ハジメがこの世界の不条理さを呪うほどの味、そのグリフォンの味とは?


「ハッピー○ーンだ」


「ハッピー○ーン?」


「ああ、俺の居た世界に有ったお菓子でこの翼に付いている粉。ハッピー○ーンにも掛けられていたハッピー○ウダーそのものだ、凄い美味いからお前らも喰ってみろよ」


「ええ、本当ですか!?それなら私達も折角なので食べてみましょう」


切断された翼に群がり笑顔で舌鼓を打つ女性達、グリフォンはようやく自分が争うべきでは無い相手に喧嘩を売っていた事に気が付いた。やがて翼を喰い尽した死神達の目が本体であるグリフォンに向けられる。


【俺様が悪かった、この通りだ許してくれ!】


「やめられない、止まらないってな。これは別のお菓子のCMで定番の決まり文句だがな」


【こんな勝ち方は貴様の方もプライドが許さないだろう、だから後日改めて勝負をだな】


「ヒッポちゃんのプライドを汚したお前にはお似合いの喰われ方だと思うがな、さてと時間切れだ生きたまま喰ってやるからせめて有効な能力を残してくれよな」


【やめろ、やめろ~!!】


グリフォンを喰い始めるハジメ達、魔族の兵士にはエサに群がるピラニアの様に見えているのかもしれない。




「ほら、ヒッポちゃん。お前も喰え」


『我輩も喰わねばならんのか!?』


「これはお前の為でもある、こんな子のプライドを平気で汚す親には決してならないという覚悟を示してやれ」


少しの間瞑目して思考するヒッポちゃんだったが、ゆっくりと目を開くと父親であるグリフォンに近付いた。


『ハジメの言う通りだ、我輩は決してこのような親にはならぬ。子々孫々に至るまでこの誇りに泥を塗る行いはしない』


そう言って反応をほとんどしなくなったグリフォンをヒッポちゃんが啄ばむ、やがて嘴とその周囲にハッピー○ウダーが広がるとヒッポちゃんの全身が急に金色に輝きだしたのだった。


「ハジメ見て、ヒッポちゃんの後ろ足が!」


セシリアの指差す方向を見る、するとヒッポちゃんの下半身が馬から獅子に変化しているではないか。


『これは!?』


「どうやらお前の覚悟に対してのご褒美みたいだな、今日からヒッポちゃんではなくグリちゃんとでもセシリアに呼んでもらうか?」


『いや、このままで良い。我輩はどの様な姿に変わろうともセシリア様を主に選んだヒッポグリフのヒッポちゃんなのだから。だがな・・・』


ズバッ! ヒッポちゃんが前脚の鉤爪でハジメの背中を引っかいた。


「痛え~!! いきなり何しやがる!」


『さっきから何度もヒッポちゃんヒッポちゃんと呼びおって。今後はヒッポちゃんと呼ぶのは日に2度までだ、3度目以降は仕置きを与えるから覚悟しておくのだな』


生まれ変わった姿でその場をゆっくりと離れるヒッポちゃん、だがハジメとセシリアが目を離している隙にグリフォンの残りをラン・ミリンダ・サリーネ・マリアの4人に喰い尽されガックリと肩を落とす羽目となった。


そしてハジメがグリフォンを喰って得られた能力、それは【短時間飛翔】だった。

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