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第6話 指名依頼

「あなたがゴブリンばかり狙うから冒険者になったばかりの人達の獲物が無くなって困っているのよ、少しは仲間の事も考えてあげなさい」


「鶏肉の風味でこの間、塩をかけてみたら凄く美味かったからゴブリンばかり喰ってた。悪い悪い」


「他にもあなたはゴブリンを食べている所を旅人の前でも堂々と見せているでしょ?それに対してもクレームが何件か出ているわ」


「倒してそのままにしておいて、野犬とかが集まり食い散らかされるよりも良いと思うんだけどな・・・」


朝一番にギルドから呼び出されてハジメはミリンダから小一時間説教を受けている、少しでも食費を浮かそうとその場で食べるのは今後は多少控えた方が良さそうだ。




「はぁ・・・これからは本当に気を付けてよね。ところで今日呼んだのはお説教だけが目的じゃないの、あなたの特異な能力を見込んで私個人からの指名依頼を出したくて来てもらったのよ」


「俺を指名?一体、何をさせるつもりだ?」


「まあ、そう警戒しなくても良いわ。詳しくは商業ギルドの支部長さんから話を聞いてみて」


ミリンダは応接間に1人の商人を招き入れた。


「初めまして、私は商業ギルドルピナス支部の支部長補佐をしておりますアグナードと申します」


「こちらこそ初めましてアグナードさん、俺は冒険者のハジメ・サトウと言います」


「それでミリンダさん、彼が今回の極秘潜入にうってつけの人材なのですか?」


「極秘潜入?」


ハジメは何やらきな臭い仕事を与えられそうな事に気が付いた。


「実は、このルピナス支部に所属している商人の1人にベルンウッドという人物が居るのですが最近彼の周辺で奇妙な噂が広まっているのです」


「奇妙な噂?」


「はい、なんでも彼は屋敷の中に隠し部屋を設けそこでどこからか集めてきた女達を奴隷として売り捌いていると」


「そんな事が許されるのですか!?」


「勿論許される筈が有りません、奴隷制度はもう100年以上前に廃止されていますし人身売買を行っていた事が知れ渡るとこのルピナス支部に所属している商人全員の信用問題にも関わります。そこでミリンダさんにお願いして口外しない信用出来る人物に屋敷の中を調べる事が出来ないか相談したのです」


確かにうっかり口を滑らせると口封じに集められた女性達が始末される恐れが有る、だが何で自分に白羽の矢が立ったのだろうか?ハジメは不思議に思った。




「それで何で俺にその依頼を回してきたのですか?俺、冒険者になってまだ1ヶ月も経っていないんですよ」


「君は自由に身体の形を変えられるのでしょ?屋敷の壁を気付かれずに乗り越えたり窓の隙間から進入出来ると思ったのよ」


「なるほど、正面から堂々と入れない以上こっそり入るしかない。だから、俺みたいな【能力持ち】の出番となる訳ですね」


「そういう事、あとは隠し部屋の場所をベルンウッドの愛人から聞き出すのにも君の能力は役に立ちそうだからね」


意地悪な笑みを浮かべるミリンダを見てハジメは呆れてしまった。


「俺の事を『女の天敵』と言いながら、それを使わせる気ですかあなたは?」


「この場合は仕方ないわ、だってそうしないと奴隷として売られる女性達を絶対に救い出せないから」


大の為に小は切り捨てる、1人の女性を堕とす事になっても今後も出るかもしれない犠牲者を防ぐ方が大事な訳か。ハジメはミリンダのその判断を好ましく思えた。


「そこまで俺を信用してくれたんだから、やるよ。そのベルンウッドって奴の屋敷の場所と分かる範囲で良いから屋敷内の作りを教えて貰えないか?」




その日の晩、ハジメはベルンウッドの敷地内に侵入していた。屋敷の周囲の積み上げられたレンガの壁はレンガ同士の隙間から身体を液状にしてすり抜けると庭も屋敷を守っているゴロツキ達に見つからない様にして何とか屋敷の窓のすぐ下まで辿り着いた。


(アグナードさんの話だと1階の応接間から地下に降りる階段が在るのではないかって話だったな)


階段の在る場所を愛人から聞き出す為にハジメは再び身体を液状にすると屋敷の壁をゆっくりと登り始めた、薄い膜状になるまで身体を伸ばし壁の細かい凹凸を利用して登っていたので巡回していたゴロツキに壁を照らされた際も壁に付いた染みとしか思われなかった。


途中、2階の出窓まで辿り着いたハジメはそこで2人の男が会話しているのが聞こえたので隙間に身体の一部を差し込んで中の会話を聞いてみる事にした。


「ベルンウッド、密偵達の報告によると商業ギルドの連中がお前の周辺を調査しているらしい。今回の取引を済ませたら、ほとぼりが冷めるまで大人しくしていろ」


「仰せの通りに致します領主様、今度の土曜の晩に何時も通り地下の通路を使って領主様のお屋敷まで運ばせて頂きます」


「うむ、そうしてくれ。我が屋敷まで来れば後は地方への侍女研修など町の外に連れ出す理由など幾らでもでっち上げる事が出来る。貴様が連れてくる者はどれも美女ばかりだからな、かなり評判が良いぞ」


「今回も気に入ったのが居りましたら、そのまま屋敷に残して飽きるまでお楽しみください。後でその分代金に色を付けてくだされば結構ですので」


「相変わらず抜け目の無い奴だ、租税免除だけでは満足出来ぬらしい。まあ、これからも良い関係を続けていこうじゃないか」


「では領主様、地下通路からお屋敷まで送らせて頂きます」


2人が部屋を出て行くのを確認したハジメは人身売買が裏で領主も手を貸している組織的な犯行だと分かると、早急に捕らえられている女性達を救うべきだと判断した。急いで3階まで登ると壁伝いに愛人の居る部屋を探して回る、そして見るからに如何わしい服装の女性が居る部屋を見つけると窓の隙間から中に侵入した。




「声を出すな」


「!?」


背後から女の口を手で塞いだハジメは女をベッドに静かに押し倒した。


「言う事を聞けば、悪い様にはしない。これから言う俺の質問に答えろ、良いな?」


女が首を縦に振ったのでハジメは質問を始める。


「お前は領主の屋敷に繋がっている地下通路の場所を知っているか?」


女は首を縦に振った。


「ならば、捕らえられている女性が居る隠し部屋の場所も知っているな?」


女は首をまた縦に振る。


「俺をそこまで案内出来るか?」


すると、女は首を横に振る。


「知っているのなら案内位出来るだろ、案内をするのはそんなに嫌か?」


女は首を何度も横に振る、バレてしまうと自分の身も危なくなる。そう考えているのだろう、だがそんな事などハジメには関係無い。


「悪い様にしたくはなかったが、仕方がないな。俺の言う事を聞く様に身体に覚え込ませてやる」


ハジメは塞いでいた手をどかすとすかさず唇を塞ぎ舌を入れた、思わぬハジメの行動に女は驚くが媚薬と化したハジメの唾液が身体に回り始めると力が入らなくなりハジメにされるがままとなった。


「よく見ろ、これでお前を何度も天国に送ってやるからな」


虚ろな目でハジメを見た女は見慣れた物が2本有るのに気付くと思わず目を見開いた。


「!?」


「案内する気になるまで休ませないからな、どこまで我慢出来るか楽しませてくれよ」


テクニックも何も無い荒々しい動きでハジメは女を攻め立てた、ゴブリンを食べたお陰で素早さが向上し腰を前後させるスピードも増している。女がハジメの言う事を聞く様になるまでに時間は掛からなかった・・・。

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