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第3話 新しい生活の始まり

(これは……完全に予想外だ)


 始は目の前で気を失っている女性を見ながら、先程までの出来事を思い返していた。


 軽い熱中症で倒れていた女性に口移しで水を飲ませた際に、【体液媚薬化】が無意識で発動していたのか女性が発情してしまった。

 そこで人目に付かない場所に移動して彼女の身体を鎮めてあげるのと同時に、自分の能力も幾つか試してみた。



 まずは【形状変化】、好きな場所の形を自由に変えられる能力で全身を薄く伸ばす事が可能だった。

 おまけに自分のムスコの大きさや数まで、自由に変えられる事が判明。

 その気になれば、1人で何人もの女性を同時に相手に出来る事が分かった。


 次に【局所硬化】、身体の一部を硬くする事で防御力を上げる能力……の筈なのだが、前述のムスコ達にもその効果は発揮するらしく彼女で試した際には大層悦ばれた。


 最後に【再生】、傷を治すだけじゃなくアッチの面の再生能力も異常に高い事がやり始めてからすぐに自覚した。

 休憩を挟まずに何度も出来るので、賢者の時間は必要無いらしい……。



 自分が得た能力に喜び色々と試しすぎた所為で、気付いた時には既に彼女は気を失っていた。

 ようやく自分の仕出かした事の重大さに気付いた始は


「ごめんなさい!!」


 っと手を合わせて謝ると、未だ意識の戻らない彼女を残してその場を立ち去った。

 だがルピナスの町に向けて走り去る始の姿を女性は朦朧とする意識の中、薄く目を開いて見つめていたのだった。




 【体力向上】と【再生】のお陰か、2時間以上走ったというのに始は疲れを全く感じなかった、

 しばらくして日が落ち始めたので走るのを止めたが、月明かりの届かない森の中でも【視界強化】と【暗視能力】のお陰で歩くのに支障は無かった。


 翌朝ようやく森を抜けた始が目にしたのは、モンドール周辺ですっかり見かけなくなっていた3匹ほどのブラウンスライムの群れとそれを追う4人の男女のパーティーの姿だった。


「ミシェル、そっちに行ったわよ!」


「おう、任せとけ!!」


「お兄ちゃん、油断しないでね」


「ミシェル、補助魔法を掛けるから体当たりに備えて!」


 軽装の女剣士が1人、重装備の斧使いの男1人、修道服を着た回復役1人と補助役1人の計4人か。

 しかし男1人に対して女3人とはハーレムパーティーで羨ましい限りだ、でも回復役が『お兄ちゃん』と言っていたから2人は多分兄妹なのだろう。


 パーティーの戦いぶりを遠くから観察すると補助魔法で防御力を高めた斧使いがスライムの体当たりを受け止め、その隙に女剣士が横から攻撃するスタイルの様だった。

 斧使いが体当たりでダメージを受けるとすかさず妹が回復を施し防御体制を維持する、バランス的にも丁度良いと思えた。

 そうこうしている内に、女剣士がトドメを刺してブラウンスライム1匹を退治した。


「よしっ! 1匹目」


「まだ残り2匹残っているから気を引き締めて!」


「ソニア、次のを倒したら1度離れて休憩しないと魔法力が切れてしまうわ」


「私もそろそろ厳しいかも……」


(あらら、1匹目で魔法力が尽きそうってそれヤヴァくないか?)


 案の定仲間を1匹倒された事で怒り出した残りのブラウンスライム達が、4人の前後に回り退路を断った。


「少しばかり調子に乗りすぎちまったか?」


「そうかもね、でもせめてアンナだけでも逃がしてあげないといけないからミシェル、正面の奴を1人で相手してもらえるかしら?」


「可愛い妹を守るのはお兄ちゃんの役目だ、俺が抑えている間に上手く逃げろよアンナ!」


 覚悟を決めたのか別れの挨拶をし始めた4人パーティー、しかし丁度お腹も減っていた始はそこに割り込んで食事する事に決めた。




「お~い! 残り2匹倒せないのなら俺が全部貰っても良いか? そいつら美味いから朝飯代わりにしたいんだ」


「「「「はあっ!? 全部貰う? 朝飯代わり??」」」」


 4人が同時に声を上げた、仲が良いのか見事にハモっている。

 始はそんな4人を無視してブラウンスライムに近付くと。突進してきた1匹を無造作に捕まえて口を開けて食事を始めた。


「いただきま~っす」


 急に現れた男にバケツ位の大きさのスライムが食べられる光景はショックが大きすぎた様で、斧使いの妹の回復役が気を失ってその場で倒れこむ。

 その事に気付いていない始は、1匹目を食べ終えると残る1匹に自分から近付いた。


「さてさて、次も美味しく食べてあげるからね。 お肉ちゃん、お肉ちゃん♪」


(お肉ちゃん!?)


 残っている3人は更に混乱しそうになった、スライムを食べる人間が居るだけでも異常なのにそのスライムを肉扱いしているのだ。

 唖然としているパーティーを尻目に残る1匹を食べ終えた始は、満足そうな顔を浮かべながら歩み寄った。


「横から手を出して悪かった、モンドール村周辺に居るこいつらは俺が粗方食っちゃったから最近姿を見かけなくてね。 こいつらステーキの味がして凄く美味いんだよ」


「あ、ああ、気にするな。 お陰で俺達も命拾いした、助けてくれてありがとう」


 斧使いと握手を交わした始は、簡単な自己紹介をする。


「俺の名前は佐藤 始、こちらの世界風に名乗ればハジメ・サトウかな? モンドール村を出て、ルピナスの町に移り住もうと思っているんだ」


「俺の名はミシェル、そしてそこで気を失っているのが俺の妹のアンナだ」


「私の名前はソニア、剣士で一応このパーティーのリーダーを務めているわ」


「私はキャシーよ、補助がメインだけど少しだけなら攻撃魔法も使えるの」


 ミシェルは失神しているアンナを背中に担ぐと、始に話しかけた。


「俺達にはまだこの辺りの連中は早すぎたみたいだから、一旦ルピナスの町に戻る。 一緒に来れば、町の入り口で衛兵達と無駄なやり取りせずに中に入れるがどうだ?」


「それなら、ぜひお供させてくれ。 もしも道中でスライムが出てきても俺が食うから心配するな」




 歩きながら始は4人から色々な事を聞けた。

 まず4人が幼馴染である事、ミシェルは元衛兵だったが身体の具合が悪くなった母親の薬代を稼ぐ為に冒険者になった事。

 そのミシェルの身を案じたソニアとキャシーが仲間に加わり、更に修道院で修行していたアンナまで院を抜け出してパーティーが出来たらしい。


「お金を稼ぎたい気持ちは分かるが、無理をすると大切な幼馴染まで道連れにする事になる。 自分達の実力に見合った場所で、次からは頑張るんだな」


「ああ、そうするよ。 そういえばさっき、町に移り住むと言っていたが家のあては有るのか?」


「いや、実はそこまで考えていなかった。 モンドールの村でも空き家を自宅にさせてもらったから、ルピナスの町にもしも空き家が在るならそこを間借り出来れば良いなあって思ってた」


 行き当たりばったりの始の計画にミシェル達は呆れたが、ここでミシェルが1つの提案を出した。


「じゃあ、家が見つかるまでの間俺の家に住むと良い。 俺の実家は宿屋をしていてな、親父に事情を話せば命の恩人のあんたに空き部屋をしばらくタダで貸す事位ワケ無いよ」


「悪いけど、お願いしてもいいかな? あとついでに冒険者の登録の仕方とか、教えてもらえると凄く助かる」


 ルピナスの町に到着した5人はそのままミシェルの実家の宿に向かった。

 ミシェルの親父さんは始に部屋をタダで貸す事を快く引き受けるとその日の晩、始は久しぶりに温かい布団の中で眠る事が出来た。

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