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第21話 アーシュラさんは色々と自由奔放

第2回人族魔族合同会議当日、包帯で全身をグルグル巻きにされミイラ状態となったランの隣に16歳位のゴスロリ服を着た黒髪の美少女がちょこんと座っていた。ランの外見が20台前半なので恐らく妹だと思うのだが、ランからは弟のラーセッツの名前しか聞いていない。


「ラン、こんな可愛い妹さんが居るのなら何で先に俺達に言わなかったんだ?」


「モゲガ、モガガガガ!!」


ランは何かを言おうとしたが包帯で口を塞がれている為上手く話せない、すると隣に座っていた妹さんが手を振り上げた。


ペシ! ドゴッ・・・。 妹さんがランの頭を軽く叩いた瞬間、頭が床にめり込みランの動きが止まった。


「失礼、うちの娘がお騒がせしました」


(えっ!今、娘って言わなかった!?)


ハジメはもちろんだが始やミリンダ達も動揺する中、少女は椅子から降りて両手でスカートの裾をつまむと軽くスカートを持ち上げながら頭を下げて挨拶を始めた。


「初めまして皆様、私は前の勇者にして現魔王の妻のアーシュラと申します。この度は我が娘ランが人族と魔族双方を巻き込んで多大なご迷惑をお掛けしました事をこの場を借りてお詫び致します」


人族と魔族が戦争に突入するのを回避出来た点に関してだけ言えば、ランのやった事は迷惑というよりも功績に近いかもしれない。ただ、迂闊な事を言うと未だに床にめり込んだままのランと同じ目に遭うので怖くて誰も口を開けなかった。


「あ・・・あの、アーシュラさんは随分と若く見えるのですが何か秘訣でも有るのですか?」


ハジメは無難な事を聞こうとしたつもりで地雷を踏んでしまった気がしたが、アーシュラの回答は予想を斜め方向に突き抜けていた。


「ああ、それは肉体を16歳まで若返らせてから固定するだけだから簡単よ。その気になれば誰でも出来るわ」


(そんな事、その気になったとしても誰もは出来ません!?)


では本当の年齢は幾つなのだろうか?そんな疑問を抱いていたハジメは床にめり込んでいるランの指が動いているのに気が付いた。まず指を1本立てて、次に指を4本立て、最後に2本立てるのを繰り返している。


(もしかして142才!?)


とんでもない年齢を知り驚くハジメの顔を見たアーシュラさんがようやく足元で指を動かしているランに気付く。


メキメキメキ・・・(ボキボキボキ)


アーシュラさんがランの背中に足を乗せると途端に何かが砕ける音を立てながらランの身体がどんどん地面に沈んでゆく。


「女性は多少ミステリアスな方が魅力的だって事を理解出来ないだなんて悪い子だわ、そんな子には軽くお仕置きしないとね」


(これで軽いお仕置き・・・)


昨日の火柱とランが全身包帯巻きになっていたのはきっとアーシュラさんのお仕置きの結果なのだろう、人族側の全員が納得した。


「では、アーシュラ様のご挨拶も無事に終わったみたいですからそろそろ会議を始めますか?」


ランのお目付役が何事も無かったかの様に会議を始めようとする、その手慣れた様子でお目付役に選ばれた理由が分かった気がした。


「前回の会議の内容は大体爺から聞いております、その上で私から幾つか修正を入れさせて下さい」


アーシュラさんは前回のランの提案に修正を最初に入れてきた。


「まず今回の停戦に関してですが魔族側としては、これを機会にお互いの領土に攻め入らない不可侵条約と同盟関係を結びたいと考えております。そして双方の友好の証として娘のランとハジメ・サトウ様を主人の来訪と同時に婚姻させたく思います」


不可侵条約と同盟関係の締結は人族側にとってもメリットの大きい話である、しかしハジメとランの結婚が既に確定となっている。


「俺とランの結婚は既定事項ですか?」


「私の可愛い娘を傷物にしておいて、逃げようだなんて虫の良い話は考えない方が良いわよ。そんな事をしたら地の果てまで追いかけて永久に続く責め苦を与えるから」


本気で言っているのか分からないが、下手な事をすれば同じ様な目に遭うだろう。しかし、実の娘を踏み付けながら言うセリフでは無い。


「それにランを側室の扱いでも嫁の1人として迎え入れれば、あなたにもそれなりのメリットが有るわよ。まず初めに魔界とシスティーナを自由に行き来出来る様になる事、第2にランを孕ませる事が出来ればその子は魔王の孫となりあなたにもそれなりの権限が与えられる事、第3として人族から追われる身に仮になったとしても魔族が総力を挙げてあなたの身を守る事。魔界で余生を過ごす事だって出来るし、逆玉よ逆玉!」


アーシュラの押し売りに近い文言にハジメは思わず頷きそうになってしまったがギリギリの所で首を縦に振らずに済んだ。




「アーシュラさん、1つお願いが有ります」


「あら、他にも何か付け加えて欲しい物でも有るの?」


その質問にハジメは首を横に振って否定した。


「違います、俺からのお願いはもしランが俺の嫁となる際は王籍を返還させ平民扱いで嫁がせて下さい」


アーシュラのランを踏み続けていた足の動きが止まった。


「ランが最初に倒れていた時に助けたのは魔王の娘だったからでは無く1人の女性として見ていたからです、それは今でも変わっていないつもりです。魔族の中での権限には興味有りませんので魔王の娘という肩書きをどうしても残したいのであれば、俺以外で魔族の未来を託すに相応しい人をランの為に見つけてあげてください」


ハジメの言葉を聞いてアーシュラは暫し無言となった、そして床に半分以上埋まっていたランの首根っこを掴んで引き上げると突如満面の笑みを浮かべて瀕死に近い娘の身体を揺さぶった。


「ラン、どうすればこんな良い男と仲良くなれるのよ!?うちのパパなんかよりも将来性もバッチリじゃない、ランを夢中にさせるこの男の具合がどんな物か少しばかし味見したくなってきたわ」


舌なめずりしながらハジメの品定めをするアーシュラ、蛇に睨まれた蛙の如く身動きが出来なくなった。


「奥方様、ハジメ様も怖がっておりますのでそれ位で。ですが先程のハジメ様のお言葉を聞いて爺はこの方こそ姫にもっとも相応しい御方であると確信致しました、魔王様に推薦致したく思います」


「爺にそこまで言わせたのだから、文句無く合格点よね。王籍を返還させる事は難しいかもしれないけど、魔族の中の権限を必要以上に与える事もさせないからうちの娘を大切にしてあげてね婿殿」




その後の会議は緩やかに進んでいった、不可侵条約と同盟関係締結がほぼ確実となったので急ぐ必要が無くなった為である。そして第3回は魔王がこちらの世界に来てから最後の打ち合わせを行うという事になった。


「婿殿、ちょっと良いかしら?」


「はい、何でしょうか?」


アーシュラに急に呼ばれたのでハジメは会議中に何か失言でもしていたのかと思った。


「俺、会議中に何か変な事言ってましたか?」


「そんな事無いわよ、ところで私の手の上にあなたの手を試しに乗せてもらっても良いかしら?」


何をしようとしているのか分からなかったが、断ると後が怖そうだったので渋々アーシュラの手の上に自分の手を乗せる。


キンッ! 小さく甲高い音が耳元で聞こえたかと思うと、ハジメとアーシュラの周囲の時間が瞬時に停止した。


「これは!?」


「久々に使ってみたけど成功したみたいね、これは私の持つ能力の1つで【超時間停止】。これから体感で72時間ほど経過するまで周囲の時間を止めさせて貰ったわ」


「一体何の為に?」


「何の為にって冗談に聞こえたのかもしれないけど、あなたの味見を本気でしたくなったのよ。こうすれば周囲の者達に気付かれずに済むわ、折角だから一緒に楽しい時間を過ごさない?」


そう言うとアーシュラは着ていた服を脱ぎだした。


「私達はお互い状態異常無効を持っているから麻痺させて捕まえたり媚薬で発情させる事が出来ない、だけど身体能力はコッチが上だからあなたは私から逃げる事が出来ない。3日間掛けて私達を満足させて頂戴ね」


(私達?)


ハジメが一瞬戸惑った隙を突いてアーシュラが隣で固まっている娘に触れると、ランも自由に動ける様になった。


「お母様、ハジメ様を巻き込んで一体何をしようとしているのですか!?」


「婿殿を交えて親子丼でもしようと思ったのよ」


娘を嫁がせようとしている相手と寝ようとするなんて、とんでもない肉食系だ。しかも娘も混ぜて楽しもうとすらしている、ハジメとランは自由奔放過ぎるアーシュラによって丸3日親子丼し続ける事となりマンネリ対策を含めた夜の男女の営みの作法を実戦で半ば無理やり覚えさせられたのだった。

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