第19話 ハジメ超進化!
(この表面のモチモチとした食感と中から溢れ出る肉汁の絶妙なバランス・・・これは間違い無い)
ハジメを唸らせたティターニアの味は
「・・・・餃子だ」
ピクシーがリンゴ味だったので、ティターニアも果物なのかと思ったハジメだったがその味はなんと餃子だった。しかも厄介な事にティターニアの血が餃子のタレ味だったのも反則だ。
(ティターニアを今後食べるとしたら半生がベストかもしれないな・・・)
などと、かなり物騒な事まで考え始めていた。
「ハジメ様、えらくその女王が気に入ったみたいだが美味いのか?」
「おう、美味いぞ。試しに食べてみな、俺が元居た世界に有った【餃子】って食べ物の味がするから」
ランもハジメに勧められてティターニア串を1つ取ると口に運ぶ。
「確かに魔界やシスティーナでも食べた事の無い味だ、しかもこのティターニアの血の酸っぱさと辛さの混じった複雑な味は何なのじゃ?」
「それは餃子のタレの味だな、酢醤油とラー油のシンプルなタレだがこれがまたティターニアの味を引き立てている」
人型モンスターをバラバラにして喰って、尚且つその美味さを熱弁するハジメはかなり物騒な存在と化してきていた。
ドクンッ!! その時、ハジメの身体の中で何かが爆発的に膨らむ感触を覚えた。
「ハジメ様!急に身体から魔力が溢れ始めておるぞ、どうされたのだ!?」
「分からない、急に身体の中から何かの力が漲ってくる・・・」
身体の中から溢れ出る力を何とか押さえ込もうとしたが、その膨大の力をハジメは抑え切れなかった。そして次の瞬間、微かにパンッ!っという音がするとハジメの全身を物凄い量の魔力が覆っていた。
「その尋常でない厚さの魔力の壁はどうやれば作れるのじゃお前様?その壁の前では並大抵の魔法ではダメージすら与えられぬぞ」
そう言ったランの身体にも異変が起き、数分後ランの身体も同じ様に膨大な魔力の壁で覆われていた。
「これは恐らくアレだなハジメ様?」
「ああ、ティターニアを喰った所為だ」
ハジメはピクシーも含めて、今回手に入れた能力を確認してみる。
【フレイム、フレイムキャノン習得】・【スパーク、プラズマボール習得】・【ソニック、テンペスト習得】・【アイスブリッド、クリスタルブリザード習得】・【魔力の激流】・【運命共同体】・【フェロモン散布】・【魔法耐性(小)】
(何、この尋常じゃなさそうな能力のオンパレードは!?)
ランも同じ能力を得たのかどうか聞いてみると
「私が覚えたのは【魔力の激流】だけだ、多分ハジメ様の持つ怪物喰い(モンスターイーター)だけが喰ったモンスターの全ての能力を得る事が出来るのでは無かろうか?」
「しかし、この【運命共同体】と【フェロモン散布】って一体どんな能力なんだ?」
ハジメはこの時やらかしてしまった、以前セシリア相手に【蜘蛛縛り】でやってしまったのと同じ事を・・・。
「ハジメ様?お前様から何かキラキラ光る燐粉の様な物が舞い始めておるぞ」
「えっ!?」
その燐粉を吸い込んだランが急に頬を紅潮させ何だか様子がおかしい。
「おい、ランどうかしたのか?」
「お前様、この燐粉は恐らく【フェロモン散布】の能力だ。しかも・・・お前様に以前使われた【体液媚薬化】よりも効果が強い」
言うが早いかランはそのままハジメを押し倒してしまった。
「あ、あのランさん?」
「最早我慢出来ぬ、この疼きが収まるまで決して離さぬぞ」
ハジメはランが満足するまで食われる(性的な意味で)羽目となった、だがこの時既に【運命共同体】が思いも寄らない場所で発動していた・・・・。
「ただいま~!」
「帰ったのだ~!!」
満足したランとハジメがようやく家に戻ってきたのは、日が落ちて月の明かりが出始めた頃だった。ランの顔もどこかツヤツヤしている・・・。
「おかえりなさい、ところでハジメ。今日何か変わった食べ物を食べませんでしたか?」
出迎えたセシリアが開口一番、変な事を聞いてきた。
「どうして俺が普段と違うモンスターを喰ったのが分かったんだい?セシリア」
「午後の事なんですけど、急に頭の中に何かが入り込んできた様な錯覚を覚えて確認してみたら・・・これを覚えていたのです」
そう言うとセシリアは自分の能力をハジメ達に見せた。
セシリア・ドゥーチェ
LV1
メイン職業 専業主婦(仮)
サブ職業 怪物喰い(モンスターイーター)見習い
保有能力 【丈夫な胃袋】・【料理の達人】
「怪物喰い(モンスターイーター)見習い!?」
「それだけじゃありません、私にも【丈夫な胃袋】が付いています」
(もしかして【運命共同体】って恋人が俺と同じ生活をする為に必要最低限の物等を分け与える能力なのだろうか?)
詳しい原理は分からないが、【運命共同体】を使うと恋人もモンスターを食べられる様になるみたいだ。
「なあ、ハジメ様。私もハジメ様の嫁の筈なのに何で怪物喰い(モンスターイーター)見習いになれないのだ?」
「同棲すら始まってもいないのに何でもう嫁になる?」
「今日も私を淫らに変えた上で愛し合っているのだから、ハジメ様以外に嫁ぐ先など無い」
これを聞いたセシリアの顔が一変した。
「ハジメ、私の目が届かない所でランさんととっても楽しい事をしていたみたいですね?」
「違う!セシリア話を聞いてくれ、俺が誤って【フェロモン散布】と口走った所為でランに発情効果が出てしまったんだ」
しまった!? そう思ったが後の祭りだった、室内にあっという間に燐粉が充満しそれを吸い込んだセシリアとランが発情してしまう。
「これは・・・ランさんが淫らになってしまったのも頷けます」
「そうであろう?ならば、ハジメ様に責任を取ってもらわねば収まりが付かぬわ」
ハジメは2人同時に相手をしなければならなくなり、ご近所からは『子供達の悪影響になるからもう少し静かにしやがれ、この色ボケ共が!?』と色ボケ館への道を歩み始めた。
翌朝、朝食を済ませてからセシリアとランを連れて冒険者ギルドにやって来たハジメはミリンダとの面会を求めた。
「それで今日はどんなご用件かしら・・・ってハジメさん、一体何を食べたらそこまで急に魔力が跳ね上がるのかしら?」
「ええっと、ティターニアです」
ハジメが食べたモンスターの名前を聞いた瞬間、ミリンダは椅子から転げ落ちていた。
「ティ、ティターニア!?ティターニアがルピナスの近くに居たとでも言うのですか?」
「ええ、まあ」
「それで、他にはどんなのが居ましたか?」
「とりあえず遭遇したのはピクシーとティターニアだけ、ただ俺がティターニアを食べたら他の連中はどこかに逃げ出したからルピナスに被害が出る可能性は低いと思う」
ハジメの報告を聞いたミリンダはようやく安心したのか椅子を元に戻し座り直した。
「倒した方法は敢えて聞きませんが、ティターニアを討伐して頂き有難うございます。正面から倒そうとすると高ランクの冒険者を何人も用意しないとなりませんでしたから助かりました。恐らくハジメさんのランク2段階昇格も十分可能だと思いますよ」
「ランクが上がるのは嬉しいな、やる気が出る」
「その調子で頑張って下さい、そういえばさっき聞きそびれてしまったけど今日はどんなご用件で来たのかしら?」
「今日はセシリアとランを冒険者として登録しようと思って来たんだけど、出来るかな?」
それを聞いたミリンダが再び椅子から転げ落ちた。
「2人を冒険者に登録するですって!?ラン様は停戦状態が続く間は可能ですけど、セシリアさんを冒険者にするのは正直危ないと思いますよ?」
ミリンダの心配を鼻で笑う答えをハジメは返す。
「実は昨日セシリアも怪物喰い(モンスターイーター)見習いになってモンスター食べられる様になったから一緒に冒険者になって食費を浮かせたいだけなんだよね」
「どうすれば食べられる様になるのか聞くのは止めておくわ、あれこれ考えるのも面倒だから2人の冒険者登録を早く済ませてしまいましょう」
2人の登録を済ませてギルドを立ち去ろうとした時、ミリンダがセシリアに話しかけた。
「セシリアさん、お母様のお身体の具合は大丈夫?それからご家族に冒険者となる報告はされたのかしら?」
「はい、具合も良くなって畑仕事も少しですが出来る様になりました。あと冒険者になる報告はしておりませんが先日ハジメと一緒に両親に挨拶に行き、これからもハジメの傍で暮らしていきたいと伝えてきました」
「そう・・・お二人共末長くお幸せに」
ミリンダが珍しく祝福してくれたので、温かい空気のまま去りたかったのだが余計な一言を言う奴が居たのを忘れていた。
「ミリンダよ、私も忘れてもらっては困るぞ。私だってハジメと再び肌を重ね合わせ、愛を深めておるのだからな!」
慌てて逃げ出そうとしたハジメの背後にミリンダが一瞬で回り込むとその肩を掴んだ。
「ねえ、ハジメさん。数日後に第2回の会議が行われるって時にあなたは何をしてくれてるのかしら?」
肩からミシミシと嫌な音が立ち始めた、ハジメは痛みに耐えながら何とか答えを返した。
「ええと、お互いの親睦?」
プチッ! ミリンダがついにキレた。
「一歩間違えれば魔族との全面戦争になりかねない大事な時にお前らは何乳繰り合っていやがるんだ!色ボケ共、そこに全員正座~!!」
3人はそれから昼過ぎまでミリンダのお説教を聞かされる羽目になった・・・。




