航路
頑張ります。
あの事件から一ヶ月が経とうしている今、生存者の一人、カヤトは船の上で風に当たっていた.日本を出て一日。
この船にはたくさんの生存者が乗っている。かなり大きな船らしく日本の生存者を全員乗せているらしい。その中の大半の人が運良く助かった人、少数の人が異能に目覚めた人達だ。
俺は異能に目覚めた側の人間だ。
船の行き先は2、3世紀ほど前までアメリカと呼ばれていた場所、ハスカル。どの国よりも技術が進歩しているし、比較的国土が大きいということで生存者は全員ハスカルに集められて生活することになる。
異能力者はというと、未確認生物に対抗すべく能力の研究、戦闘訓練、威力の調節などが行われるらしい。
能力者はこき使われて無能力者は普通に今まで通り生活ができる。そのことに対してカヤトは、差別だ……と無意識のうちにつぶやいていた。
水平線を眺めていると船内放送が始まった。
『船内にいらっしゃる能力者の方々は至急、三階船長室にお集まりください。』
「はぁ、行くか船長室。能力者のって差別用語になりかけてるんじゃないですかぁ。」
さっさと移動して船長室のドアを開けた。既に10人ほどの人が集まっていた。皆俺と同様ダルそうな表情を浮かべていた。
「諸君、急な呼び出しにも関わらず集まってくれてありがとう。君たちを呼び出した理由だが、5キロ先の海上に未確認生物と思われる物が出現した。君たちの力を貸して欲しい。」
集まっていた者たちが愚痴り始めた。
「使いたくて使えるようになったわけじゃないんだよ!」「船長がどうにかしなさいよ」「マジ意味分かんねぇ」
どれも俺の考えていることと似ている。
カヤトは下を向いて黙っているだけだった。しかし、そのざわめきを切り裂くように女性の声がした。
「わ、私がやりますっ!! それでみんなの不満が収まってこの船の人たちを救えるのなら。」
「ありがとう、協力感謝する。他はいなさそうなのでこれにて解散。君、ついて来てくれたまえ。作戦をみんなで練ろう。あまり時間もない。」
そうして能力者が部屋から出ていく。最後に船長の後ろをついて行く少女を横目で見届けてため息をついた。
小柄で肩ほどまでの短髪の少女だった。俺と同じくらいの16歳前後か?
どこからどう見ても体が震えている。
一体どんな能力の持ち主なのやら……
「さて、俺も行くか。しっかり仕事してくれよ、お嬢ちゃん。」
カヤトは自分の寝床がある船室で眠ることにした。船が沈んでなけりゃあいいが。
ありがとうございました。中途半端なところで終わってしまいすいません。これからもこの作品をご覧いただけると幸いです。