思い出した使命
そう、俺には大切な使命があった。なぜ思い出したか、それはおそらく目の前の少年が教えてくれるだろう。
「久ぶりだな、相棒」
「シャドー、無事だったのか」
不思議だが、幼少期の記憶がつぎつぎに蘇る。
シャドーと再会した事と関係あるのだろう。
「全く、あいつら、俺が影だからって宝石の中に封印するとは、
......て、もしかしてお前、俺が復活するまで記憶は?」
「忘れたままだったな」
シャドーは元々俺の影から生み出された使い魔のような存在だ。おそらくシャドーが封印される時に、俺とシャドーが共有していた記憶の一部も封印されてしまったのだろう。
「さて、ハーラ、綾野、いきなりで悪いが、俺はこのパーティから抜けさせてもらう。世話になったな」
そう、俺たちの使命は、悪魔の元凶になる、ハデスをぶちのめすことだったのだが。さっきも説明した通り、シャドーが手先に封印され、それと同時に使命のことも頭からとんでしまったわけだ。当然、俺とシャドーだけで行く。ハーラや綾野は関係ないからな。
「まてよ、それって世界が滅んだりって有るのか?」
「私も聞いておきたいわ」
「ああ、ある」
「じゃあ、俺らも行く。ギルドの仲間が行くんだからな」
「私もいくわ」
「分かった。でも死ぬと思ったらすぐ引き返せよ?」
「里、こいつら、連れて行くのか?」
「ああ、頼もしい戦力になるはずだ」
俺らは町を出て北の山へ向かった。確かそこに悪魔の巣があったはずだ。いまの時期なら近づいても大丈夫だろう。
「さあ、さっさと終わらせるか!」
一同は里の掛け声に頷いた。
悪魔討伐編へ続く
シリーズを変えて、次回から悪魔討伐編に投稿します。