#1 運命破壊
暇はしなかった、シルクのせいで。
「里、もうすぐ村よ。」
「ああ、つかれた。」
もう体が言うことをきかない。城へ直接行くには数十メートルなのだが、協会から城へ行くと洒落にならない程の距離がある。二時間以上歩き続けるのは俺には無茶があったようだ。シルクは平気なようだが。休憩していると、ある事に気がついた。
「焦げ臭くないか?」
嫌な予感がした。
「誰かが『上手に焦げましたーw』とかやってるんじゃない?」
こう言っているが顔はとても不安そうに見える。
「とにかく、早く戻ろう!」
「まて。」
誰かの声がした。当然シルクはそんなしゃべり方はしないし俺も、自問自答する程残念な奴ではない。ましてや今は俺もシルクも村が心配なのだ。
「誰だ。」
「名乗る必要はない。」
「」
いつもは強気なシルクが怯えている。彼女は村一の剣士-実際は剣士ではないが村の人からは敬意を込めてそう呼ばれている。-であり、俺は勿論、門番でもかなわない実力がある。そして今、何よりも、彼女は剣を持っている。そんなに強そうなのだろうか。などと考えていると、男が話かけてきた。
「お前、ガーディアン族だな。そこの娘はSAか。良い人材だ。」
「そんなことどうでもいい。村がどうなったのか教えろ。」
「村はさっき完全に焼けきった。」
お前、なんてことを!
そう言おうとしたが声がでない。そのとき、いや、こんな時に、と言うべきか。昔の記憶が一部戻ったような気がした。シャドーという名前、それともう一つ
俺は前にシルク以外と城にいって同じ目に遭った。考えている内に意識が遠のいていった。シルクがどうなったのかは知らない。でも、確かに、男は俺でもシルクでもない誰かに言った。
「また記憶をリセットしろ。」
続く
質問コーナー
Q 里はなんと読みますか?
A サト、と読みます。
設定コーナー
SA 特殊な力を持っている者を指す。能力は人によってさまざま。
ガーディアン族 額に角のような物が生えている。硬いため、色々と使えるが、ガーディアン族も一応人間なので、カブトムシのような真似は決してしない。