自己紹介
ガラッ
「みんなぁ、席に着いてぇ」
気持ち悪いオネェ語と共に入って来た教師は、筋肉モリモリだった。
ベタだなぁ……
義樹は今回は思うだけにした。
「今日からこのクラスの担任になる、近藤鉄治よ♡年齢はヒ・ミ・ツ♡ちなみに独身よん♡みんなよろしくねぇ♡」
クラスはシーンとしてる。
そりゃそうだ。あんなんじゃ……
だが近藤は気にしない。
「じゃあ次はあなた達の番よ♡」
順々にみんなが自己紹介していく。そして、暴走族の副総長の番になる。
「総長、お先に失礼します」
律儀に総長に一礼をする。
「北条雄大だ」
それだけ言うと、総長お願いします、と一礼する。
どうせしゃべんねぇんだろ……
義樹は心の中で毒づく。義樹の思いとは裏腹に総長は立ち上がる。
おっ遂に喋るのか!
「総長の山田太郎だ」
ものすごく高い声だった。ただ高かった。声変わりしていない、とかその程度ではない。そのゴツイ体格からは想像もできない程の高さだった。義樹はズッコケそうになるのをこらえる。そして何事も無かったかの様に自己紹介は続き、遂に義樹の番になる。
「斉藤義樹です。よろしくお願いします」
そう言って座る。みんなからはため息の様な物を感じ取れるが気にしない。みんな、朝から義樹のツッコミを聞いていたから、義樹の自己紹介にも期待をしていたのだ。そして、そんな義樹を置いて自己紹介は続き、あの美人の番になる。今回は義樹以上の期待が寄せられている。
「桜井瑞穂です。これからよろしくお願いします」
立つ・自己紹介・座る。この一連動作からも気品が感じられる。クラスのみんな―――男子はともかく女子まで見とれている。見とれていないのは、近藤ただ一人だった。
「ハイハイ、続けて♡」
近藤の声でみんなハッとし、自己紹介が再開する。そして最後の女子の自己紹介が終わる。
「それじゃぁ、みんな。このメンバーでこれから一年間やっていくから仲良くしてね♡これでHRを終わりにします♡」
義樹は色々と心配になってきた。
これからはストーリー性が無くなっていきます。