クラスメート
ドドドドドドッ
廊下のほうから足音が聞こえてくる。義樹は期待を込めて廊下を見ると愕然とした。廊下の奥からどんどん近付いてくる生徒は、なぜか牛に乗っている。
「どいたどいたぁ~」
男子生徒はそう叫びながらこっちに向かってくる。
「よ~し、止まれ止まれ」
その男子生徒は教室の前に牛をつなぐと、唖然としている義樹を他所に席で寝始めた。
何なんだよ……
義樹はそう思ったが、口には出さないことにした。牛に乗ってくるような奴とはかかわりたくなかったからだ。義樹が小さくため息をつくと、また廊下から音が聞こえてきた。今度は、ドッドッドッドッと明らかに足音ではないし、嫌な予感もしたので廊下を覗く様なことはしなかった。さりげなく廊下を見ると、数台のバイクが停めてあり、その前で何やら集会のようなことまでしちゃってる。位置的には、サングラスをかけ、スキンヘッドのゴツイ男がリーダーだろう。そのとなりに立っているのが副リーダーだろう。リーダーは直接はしゃべらず、副リーダーに耳打ちして副リーダーにしゃべらせている。
義樹は、
自分で直接話せばいいのに……
と思ったが、今回は本気でかかわりたくないので、心の中で思うだけにした。
今度は、コツコツと、上履きのはずなのに、なぜか革靴のような足音がしてきた。廊下ではまだ集会をやっているので、気付かれないように、そっと覗く。そこには、背景に花が咲いていそうな絶世の美人がいた。ほかのクラスの前を通る度に、男達のため息が聞こえてくる。おそらくみんな見とれているのだろう。集会の途中なのに、メンバーたちが見とれている。そのメンバーに副リーダーが、「俺達は硬派なんだ」とか叫んでいるがメンバーは聞く耳を持たない。しかもチラチラと見ていては、説得力の欠片もない。リーダーもすっかり虜になってしまっている。その女の子が、教室に入ってきても、義樹は目線をはずすことができない。女の子が、義樹の視線に気づき「よろしく」と言って、握手をしてきた。義樹は緊張のあまり、「あ、う」としか言えなかった。女の子は、クスクスと笑いながら席に座り、文庫本を読み始めた。義樹は恥ずかしさの極みに達しており、HRが始まるチャイムがなるまで、ずっと、ボーっとしていた。
キーンコーンカーンコーン
最後のコーンが、なぜか上がるおかしなチャイムと一緒に、担任らしき先生が入ってきた。