表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無能と神に切り捨てられた俺ですが、唯一授かった“影潜り”スキルで全てを飲み込み、気づけば勇者も王も凌駕してました  作者: 妙原奇天


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/41

第7話「王都の陰謀の噂」

 ギルドの掲示板に貼られた依頼書。

 そこに書かれた文字は、俺の心臓を強く締め付けた。


『王都より緊急指令――影に潜む賊の討伐を要請』


「……影に、潜む……?」


 思わず声が漏れる。

 俺と同じ“影”を扱う存在が、他にもいるというのか。


 その夜、路地裏でリクとルナを前に相談した。


「ただの偶然とは思えない。俺と同じ力を使う奴がいる」

「じゃあ、おじさんの仲間?」

 ルナの無邪気な言葉に、俺は首を振った。

「仲間か敵か……それすらわからない。だが王都が討伐依頼を出した時点で、ろくでもない相手だろう」


 リクが眉をひそめる。

「影を操る奴が複数? もし本当なら……あんたの力は珍しくも何ともなくなるな」

「だからこそ、確かめる必要がある」


 俺は強く拳を握った。


 翌日。

 市場の片隅で情報を集めると、不穏な噂が耳に入った。


「最近、この街の近くで商隊が襲われたらしい。しかも犯人は、どこからともなく現れては消える影の集団だとか」

「影に呑まれて、兵士が丸ごと消えたって話もあるぞ」


 ただの尾ひれかもしれない。だが確かに、俺と似た力を持つ何者かがいる。


 ルナが不安そうに囁いた。

「ねえ……おじさんが疑われたりしない?」

「……可能性はあるな」


 胸に冷たいものが落ちる。

 俺が盗賊団を倒したことで人々の信頼を得たが、それも脆いものだ。

 一度“影の賊”と混同されれば、すぐに立場を失う。


 その日の午後。

 ギルドの受付嬢に呼ばれた。


「……あなたに依頼が届いています」


 差し出された封筒には、王都の紋章が刻まれていた。

 嫌な予感がする。封を切ると、そこには命令文が記されていた。


『影潜りの冒険者へ――王都へ出頭せよ。影を巡る異変の真偽を確認する』


 事実上の召喚令状だった。


 帰り道、リクが舌打ちする。

「出頭しろって……まるで犯罪者扱いじゃねえか」

「無理に逆らえば、本当に罪人になるだけだ」


 俺はため息をついた。

 影を巡る騒動に巻き込まれることは避けられない。

 それならば――自分の意思で確かめるしかない。


「王都へ行こう。真実を、この目で見るために」


 ルナが不安げに俺の袖を握った。

「でも……危ないんじゃ?」

「危ないのはわかってる。でも、ここで逃げればずっと“無能”のままだ。俺は……影を証明する」


 その言葉に、ルナの瞳が少しだけ揺れ、やがて強く頷いた。


 出立の準備を進める中、影の中で俺は新しい感覚を覚えた。

 複数の影を結ぶとき、意識の奥に別の“気配”が混じるのだ。

 それは自分のものではない、冷たい視線のような……。


「……誰かが、見ている?」


 影の深淵に潜む、未知の存在。

 王都の噂と、この感覚は決して無関係ではない。


 俺は闇の中で小さく呟いた。


「神よ。無能と切り捨てた俺の“影”が……お前の知らないものを掴んでいるぞ」


 返事はない。

 ただ闇が、静かに震えていた。


第7話ここまで

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ