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Ozsan Quest  作者: 林朋子
8/13

第8章 アクセサリー


中に入ると、

「あ、お帰り。キンダケは取れましたか?」

と受付が言った。

「はい。」

と言って僕たちはリュック一杯のキンダケを見せた。

「じゃあ、量を測りますね~5㎏、かなり採れましたね。はい、2500ベル。」

「ありがとうございます。」

僕はお金を受け取った。

「あれ、サビージョさん。あなたヒーローズに入ったの?」

「いえ、たまたま一緒に居るだけです。ヒーローズ?ああ、この人たちのパーティー名ですか。ダサッ。」

「えー、私は気にいっているけど。」

「そうでしたか、プリン様。確かに素晴らしい、この先の活躍を期待できる名前ですね。」

なんだ、こいつコロコロ変わりやがって、と心の中で思った。

「でも、サビージョに助けられたのは事実だ。この報酬は全てサビージョにあげるよ。」

「は?下僕が偉そうに。そんな紙切れ私は要りませんよ。」

「いや、前は報酬全額よこせって言っていただろ?」

「何ですかそれは?頭おかしいんじゃないですか?」

「いや、どっちがだよ!」

「まあまあ、要らないって言っているのだから、ヒーローズが受取りましょう。」

オリバーが僕をなだめた。

「まあ、分かった。それと、これで5級クエストクリアだから、プリン、お疲れ様。これで進級できるね。」

「うん、ありがとう。」

「僕とオリバーの二人に戻ったので、良さそうな人が居たら、またお願いします。」

と受付に言った。

「え?何言っているの?私は?」

プリンが驚いた顔でこちらを見た。

「進級できるから終わりじゃないの?」

「いや、だって最終学年は3級クエストクリアしたら、卒業できるのよ!」

「そんな特殊なやり方じゃなくて、魔法を鍛えて、通常の卒業をしようよ。3級なんてさらに危険でしょ。」

「そうですね。プリン様。危険なクエストは止めて下さい。私が魔法を教えれば、卒業なんて楽勝ですよ。」

「う~ん、確かに。一流の魔法使いに教えてもらうのは悪くないかも。」

「でしょう。では、まずこのメイクをして下さい。」

「絶対ヤダ。」

「このメイクで魔力10%アップ、さらにこちらの表情を読まれないメリットがあるのですよ。」

「私は表情を読んでほしいのよ。」

「戦いにおいて、こちらの考えがばれるのは、致命的です。」

「もういい。オズさんに教えてもらうわ。」

「いや、僕は、上手くないよ。」

昔オリバーに教えたけど、結局、一つも魔法使えなかった事を思い出し、やんわりと断った。

「じゃあ、クエストやれば良いわよね?」

プリンのリズムに結局持っていかれる。どう断るか考えていると、

「でしょう。このサビージョが居れば、3級なんて簡単です。」

一人プリンに合わせられる奴が居た。

「じゃあ、お願いね!」

「はい、パーティー名は何にしましょうか?」

「え?ヒーローズでしょ?」

「いえいえ、あっしとプリン様のパーティーです。こんな足手まといは要りませんよ。」

サビージョが僕とオリバーを見て言った。

「じゃあ、断るわ。私、ヒーローズなので。」

やっぱりプリンの方が強い。

「この報酬どう使う?金の鎧にはまだ足りないかな?」

オリバーは装備を買うことに意識が集中しているようだ。

「奥で話し合いましょう。」

プリンがそう言って、オリバーと共に奥のテーブルに向かった。慌てて、僕とサビージョが後を追った。

「金の鎧は、カマイタチの大剣より高かったから、無理だよ。」

「えーそうなのか?」

「コスパ最悪な防具だからね。逆に、カマイタチの大剣はコスパかなり良い。」

「何故良いか分かるかい?あれを扱える人は限られているから、売れ残って値下げしていたのさ。」

なぜかサビージョが話に入ってくる。

「今回は、僕の防具、鎖帷子を買うっていうのはどう?」

「下僕は分かってないようだね。アクセサリーを揃えるのが安くて効果大な事を。」

「アクセサリー?」

「そうさ。学校では禁止されているから、詳しくないのも無理はない。例えば、このブレスレッド、着けるだけでパワー2倍。」

「ずる~い。それは禁止されちゃうわね。」

「でしょう。」

「魔法使いが付ける意味ないだろ。」

「何を言う!あっしは、ただの魔法使いではない。大魔法使い兼勇者だ!」

「ああ、一人パーティーだからな。てか、話入ってくんなよ。」

「そうそう。これはヒーローズのミーティングよ。」

「ク、クエストだ。プリン様を守るという。」

「それはもう終わっただろ?」

「また城外に出るから、クエストが発動される。賢者は、先の先まで考えるものだよ。」

「めんどくさっ。クエストの度に付いてくるの?」

プリンが嫌そうな顔をして言った。僕的には、サビージョが付いてくることは心強いが。

「もし、嫌なら、クエストの度じゃなくて、ずっと付いていくでも良いですよ。RPGゲームの勇者一行のように。」

「それが嫌だって言っているの!部外者なのに気持ち悪いの!」

「ちっ、しょうがねえ。おい、下僕。あっしをヒーローズに入れろ。」

「下僕?それが人にもの頼む言い方かな?」

「ちっ、オズ、あっしをヒーローズに入れろ。」

「こう言っているけど、どうする?プリンは?」

「私は、サビージョさんの実力は認めているわ。ちゃんとヒーローズに入るなら、いいわよ。」

「オリバーは?」

「報酬を全部持っていかないなら、良いな。」

「こんなちっぽけな報酬は要らない。あっし以外で分けて良い。」

「緊急クエストの報酬ってかなり良いのか?」

「それは言えない。ばらさない事込みのクエストなので。」

「まあ、いいや。登録してくるよ。」

そう言って、受付に行き、パーティーにサビージョを加えた。

「ちなみに、俺たちパーティーの順位はどうなのだろう?」

「サビージョさんが加わったから…あなたたち、ヒーローズは7位よ。」

「やった~。」

オリバーが喜んでいる。いや、でもサビージョ一人で4位だったのでは?

「順当だろ。足手まといが多いからな。」

サビージョが小声でぼやいていたが、他の二人は聞いてない感じだった。


商店街でアクセサリーを僕たちは見ていた。

「このイヤリング可愛いわ。」

「いえ、プリン様。予算を考えると、あの二人に買うべきです。」

「そうなの?」

「ええ、弱い人が付けても意味ないですから。」

「え~ひどい。」

「プリン様は実力をまずつけるべきです。学校もそういう考えで、外すのを忘れて、これ付けていくと、退学です。」

「退学は嫌ね。」

「でしょう。」

「でも、そんなことで退学ってひどくない?」

「でしょう。でも経験者ですから。仕返ししましたけどね。」

「何したの?」

「頭燃やしただけですよ。」

「数年前にあった教師頭発火事件の犯人お前か!」

「あの程度の魔法を防げない上に、犯人すら特定できないレベルの教師たちなのさ。」

「え~と、ってことは年齢近い?」

「プリン様の3つ上です。」

「えっと、僕たちの1つ上だね。」

「最強の魔法使いっていうから、もっと上かと思っていました。」

「あっしがプリン様ぐらいの歳の時には、既に3級クエスト一人でこなしていましたから。強さと経験はこいつらよりもっとはるか上です。」

事実だから仕方ない。下僕からこいつに進化した分良しとしよう。

「じゃあ、次は3級クエストかな?」

「舐めないで下さい。いくら大魔法使い兼勇者でも、足手まとい3人連れては無理です。」

足手まといは聞き流して、

「そうか、じゃあ、訓練をして、もう少し軽いクエストからやっていこう。」

と声をかけた。


「そのパワー2倍のブレスレットはどこだ?」

「それは高いので、今回は1.5倍のブレスレッドで。」

「え~、だったら、サビージョのをくれよ。」

「入りませんよ。」

オリバーとサビージョの腕のサイズは倍ほど違う。合ったサイズを買うしかなさそうだ。

「僕は何か良いのあるかな?」

「こちらのイバラの冠なんてどうです?素晴らしい効果があるよ。」

サビージョが渡してきた。

「トゲトゲしているね。かなり痛いよ。」

僕は頭に被ってみて、言った。それを見て、店主が

「それは、お祈り用ですよ。」

と慌てて駆け付けた。

「え?」

「昔々、暴君の王様をやっつけるために、民が考えたものです。これをずっと付けている者は偉い、この痛みに耐えれる者は強いと褒めちぎり、暴君はずっと付けていた。そして、棘で出来た傷から感染を起こし、帰らぬ人となりました。以来、このイバラの冠は横暴な政治を抑えるものとして、お祈りに捧げられます。」

「サビージョ?」

僕は、イバラの冠を外しながら、勧めたサビージョを探した。

「ほんのジョークですやん。そんな顔すんなって。」

「血、結構出ているけど?」

「ほいほい、治すから。」

「おお、治った。ってサビージョ、回復魔法も出来るのか?」

「あっしを誰だと思っている?大魔法使い兼勇者だ。もっと強い回復魔法ももちろん使えるさ。」

「おい、オリバー、回復魔法が使える人は、基本良い人で捻くれてはない、だったよな?」

オリバーに小声で聞いた。

「ああ、教科書にはそう書いてあったぜ?」

「教科書やルールに縛られていたら、それまでの人間だ。常識を超越した人間。それが、あっし、サビージョ。」

「はいはい。」

「本当のお勧めは、こちらナンテライオンの指輪。」

「お目が高いね。花のエキスを結晶化して作った指輪で、値段の割に、着けると体力、防御力、さらには魔力まで上がる優れものです。」

店主も言っているので、今度は本当のようだ。

「じゃあ、その指輪とオリバーの1.5倍ブレスレッドを買おう。合計2350ベルかな。」

「ありがとうございます。ただし、このイバラの冠も買い取ってもらえますか?誰かさんの血が付いて売り物にならないですから。」

「え~それだと予算オーバーだよ。リモデル。ほら、血なんてないでしょ?」

「…あら、ほんとですね。なんで?さっきは付いていたはずなのに……いや、やっぱり付いているじゃないですか?変な魔法は止めて下さい。出禁にしますよ。」

僕のリモデルは5秒しか持たない。

「すみません。3つで値引いてもらえないですか?」

「では、まとめて2500ベルでどうですか?」

「う~ん、じゃあ、それで。」

僕は2500ベル支払った。報酬はまた装備購入で消えていった。


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