表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Ozsan Quest  作者: 林朋子
4/13

第4章 エリル


「おう、お前たちか。あら、そちらの可愛い子ちゃんは?」

エリルが店先に出てきて言った。あまり話したことはないが、同級生の顔は覚えているようだ。

「初めましてプリンです。オズさん、オリバーさんのパーティーに加わり、クエストをしています。」

「あれ、オリバーは親の跡継ぐって聞いていたが?ああ、オズに感化されたか。お前はまだ勇者目指しているってな。」

エリルが馬鹿にした目で僕を見た。

「もうこんな奴頼らずに行こうぜ。」

僕は他の二人に言った。

「お、何か頼みごとかい?」

「猫探しのクエストをしていて、エリルはサーチ魔法得意だったと思い出してね。」

ふて腐れる僕を尻目に、オリバーが答えた。

「ああ、得意だね。道具の在り処も分かって、便利な魔法だから。」

「お願いできるかな?」

「ああ、代わりに回復飴2個で10ベル、買ってくれるかな?」

みんなの視線が僕に集まった。このパーティーのリーダーは僕だ。僕に最終的な決定権はある。

「うちにはヒーラーが居るので、回復飴なんかいらないな。」

「なんだよ。じゃあ、こっち。毒消し1つ20ベルにするか?」

「なんでより高いものを。いらないって。」

「あの~、私ヒーラーですけど、まだ1日1回しか回復魔法使えなくて。しかも、今朝使っちゃいました。」

「え?」

場が凍り付いた。進級も危うい、落ちこぼれ学生とは言え、ギルドに登録してクエストをやるっていうのに、そのレベルとは…。

「あ、でも、私の武器は魔法だけじゃないの。例えばほら、私の笑顔、みんなを癒すって言われています。」

そう言ってプリンは微笑んだ。ま、まあ、可愛い。いや、問題はこの先のクエストに回復道具の必要性が増したことだ。

「でも、猫探しのクエストだからな。回復飴を使うまでもない。」

僕は強がった。

「本当に大丈夫か?その猫、五竜館に居るぜ。」

エリルがもう既に居場所を特定していたようだ。

「五竜館!」

そう言ってプリンが倒れそうになったのを慌てて僕は支えた。治安の悪い東町の中でも五竜館はその中心に近く、不良がたむろするアジトの一つだ。奴らのテリトリーに入ったら、確実に攻撃してくる。

「オズさんも回復魔法使えるだろ?」

オリバーが聞いてきた。

「使えるけど、戦いながら魔法は出来ない。集中しないと魔法は使えない。回復飴なら口に入れとけば、自然に回復するし、仕方ない。回復飴をもらおう。」

「2個でいいかい?」

「ああ、2個だ。」

「ほい、10ベル。」

僕は財布から10ベル出して払った。プリンはまだ意識を失っている。

「プリンをお願いできないか?回復魔法も使えないなら足手まといなだけだ。」

「ああ、毒消しも買ってくれれば、ベッドに寝かしとくよ。」

「ちっ、仕方ない。買うよ。」

「はい、毎度。」

僕は更に20ベル支払った。

「ああ、そうそう。その猫の今の居場所、正確には五竜館の2階、ゲージに入っているな。」

「ありがと。」

僕は合計30ベル支払い、やられたな~という思いを表情に出しながら答えた。ただ、エリルは金に五月蝿いだけで、嘘はつかない。プリンの事もちゃんとしてくれるだろう。

僕とオリバーは五竜館に向かった。

「でもゲージに入っているって言っていたな。」

「飼われているってことか?捕まっているってことか?」

「分からない。猫が勝手に動かないのは、探し易くて良いけど、五竜館の人と話をつけるとなると、厄介だな。あれが五竜館か。」

遠くの方に五竜館を見つけ、急に小声で話した。もうこの辺りは、奴らのテリトリー。不審者と思われると全員で攻撃してくる。

「おい、お前ら何だ?」

後ろから声をかけられた。振り返ると、こん棒を持った男達が居た。いや、もうその瞬間に僕たちは周りを囲まれていた。

「この猫を探していまして。」

僕は正直に話した。

「これは、みーちゃんか。」

「ご存じですか?」

「その猫を見つけてどうする?」

僕の質問には答えず、男達は聞いてきた。

「飼い主が探していまして。見つけたら、飼い主に渡します。」

「飼い主は、ハロルド嬢様だろうが!」

男たちはこん棒を振り回してきた。急な攻撃が僕の顔にクリーンヒットし、僕は飛んでしまった。オリバーが一人で頑張って男達と戦っている。剣は抜いていない。相手のこん棒を取り上げ、それを振り回している。僕も戦わなきゃ、と慌てて、回復飴を頬張り、痛みを治しながら、

「スリープ」

魔法を使った。周囲に居た男達は一斉に倒れ、眠り出した。

「なんとか間に合ったかな。」

「ああ、俺にも回復飴くれ。」

「いや、今は敵が居ないから、俺の回復魔法で。ヒール。」

「え~甘い物食べたかったのに…それにしても、人相手の戦いはやりにくいな。不良とはいえ、剣で傷つけるわけにいかないし。」

「ああ、そこで前にやられた手をふと思い出した。」

「ああ、そうか。あの時の裏でこっそり眠り魔法か。」

「こうやって経験を積んでいくしかないな。」

僕たちは、回復の後、五竜館入口の重い扉をゆっくり開けて入った。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ