「相良美保」の本音はクソ怖い
言われたとうり、先生に着いていくと、そこは文芸部の部室だった。
「...僕は、部活なんて絶対入りませんからね?」
「それじゃあ仕方ないよね。数学の成績がたまたま1でも悲しまないでね」
(本心:部活にでも入れれば、何かが変わるかも知れないしね)
「すみませんでした」
そうだった、俺の数学の成績は篠原先生の匙加減だった。
言動は怖いけど、本音はめちゃくちゃ優しい。薬指に指輪が着いてなかったら惚れてた。
コンコン。篠原先生が、文芸部の部室をノックして入っていった。
「相良さーん。新入部員を連れてきましたよ」
ちなみに、俺の能力は、俺に話しかけている人の本音しか分かりません。
だから、先生が相良さんに話しかけても、その本音はわからないと言う事だ。
ん、相良さんってまさかだけど..,
嫌な予感を感じながら、俺も部室に入ると、そこには4、5人で使えそうな長机と椅子が何個か置いてあり、その中の1つの椅子に相良美保が座っていた。
「あ、空くんもいる。もしかしてだけど、新入部員って空くんの事?」
(本心:え、お前が入るとかあり得ないから辞めて?)
「先生、具体的な説明を求めます」
大体状況は分かっているが、相良と話したくないので先生に説明をしてもらう。
「確か、文芸部は部員が相良さんしか居なくて、部員数が足りないでしょう?だから、まだ部活に入ってない、空くんに文芸部に入ってもらおうと思ったんです」
「空くんが文芸部に入ってくれるなんてうれしい!
3年間よろしくね。」
(本心:お前が入るなんて最悪だわ。3年間経つ前に、お前を消してやろうか?)
「さ、3年間よろしく」
こえぇぇ!学年のマドンナがこんなんでいいの?
人は顔だけじゃないって事をめちゃくちゃ実感したわ。
「それじゃぁ、仲良くしてね」
(本心:頑張って友達作るんだよ!)
篠原先生は、それだけ言って出ていってしまった。
取り残された俺は、取りとりあえず、近くの椅子に座った。座ると、相良が話しかけてきた。
「空くんって、読書とかするのー?」
(本音:絶対読書なんてしてないよねー)
空くんって、読書とかするのー?」
(本音:絶対読書なんてしてないよねー)
これから、3年間この暴言祭りに耐えられる気がしない。これからずっと、辛い思いをするんだったら、この一瞬だけ、辛い思いをしよう。最悪、部活辞めよう。数学の成績終わるらしいけど。俺は、勇気を出して、相良に向かって言った。
「俺、なんか嫌われるような事しましたっけ?」
相良は一瞬だけ、びっくりしたような表情を見せたが、すぐに普段の表情切り替えた。
「空くん、急にどうしたの?別に、私は空くんを嫌ってなんかないよ?」
(本心:なんで私が、嫌ってるなんて分かったんだよ)
「もう分かってるんでそういうのもういいです。
ごちそうさま」
普通に話そうと思ったら、怒りが込み上げてきて、ほぼ煽りになってしまった。
うわ、相良の表情やばい。
めっちゃ睨んできてる。節分にその顔で出てきたら、間違えられてマメ投げられそうな顔してる。
「あーあ。ばれちゃってかぁ」
今のは相良の独り言みたいなものなのか、本音が読み取れなかった。
「案外、すぐに認めるんだな」
もう少し、誤魔化したりしてくるのかと思ってたんだが。
「毎朝、挨拶しても曖昧な返事だったでしょ?だから、私の本性を知ってるのは予想してたの」
(本心:お前の行動で、考えなんてすぐ読めるんだよ)
「俺の考えはお見通しか」
まさに俺の能力やん。新手の能力使いか?
「そう。さらに言うと、あなたより私の方がクラスメイトからの信頼も厚いし、友達も多いわ」
(本心:クラスメイトにバラすなよ?)
「クラスメイトにバラす気は無いから安心しろ」
というか、バラしても信じてもらえないし、面倒くさい事になるし、俺に得が一切ない。
俺が言うと、相良は自分のバックをもって、
「帰るから」
(本心:お前も早く帰れよ)
とだけ言って早足に部室から出て行ってしまった。
相良が居なくなって、部室は静まり返ってしまった。
これからの3年間の事を考えるだけで憂鬱だな。
静まり返った部室は、俺のことを冷静にさせてくれた。
今日の相良との会話も苦痛だったが、本格的に部活動が始まれば、もっと辛くなる気がする。
「とりあえず帰るか」
憂鬱なことを考えても仕方ないので、可愛い妹が待つ家に帰って癒される事にした。