夢見心地
支☆離☆滅☆裂
矛盾の国。やけに大人びた小学生(どんどん退化する精神年齢)。筋肉マンのごとき現象。
『ミーン、ミーン、ミーン』
夏がやってきたのだろうか。蝉の声が中庭に響く。少年は木造の家屋にて、廊下に寝っ転がっていた。
(心地の良い音だ....けれど、ほんの少しうるさいかな..........)
少年は寝返りをうち、中庭に背を向ける。
(夏でも、やっぱり森の中は涼しいものだなあ......)
少年は心地よさげな表情をして、やがて眠りについた。
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「起きて、こうちゃん。起きてったらぁ~」
少年の体が揺らされる。そして案の定眠りから覚める。
(うーん....なんだぁ、、せっかくいい夢を見れていたのに...)
「...........って婆ちゃんか!!」
白髪頭の優しげな顔をした老婆は
「うわっ...びっくりしたよ~もう」
と驚いて言った。
『ミーン、ミーン、ミーン』
森中から鳴き声がこだまする。
『ミーン、ミーン、ミーン』
中庭の方を眺めて老婆は呟いた。
「今年も蝉が多いねえ、ここは.....」
少年はそれを受け不思議に思う。
「え、婆ちゃん、ここに引っ越したのはちょうど去年のことだろ....?」
老婆はハッとしたような顔をして言う。
「あ、ああそうだったねえ....そうだった、そうだった.....」
少年は「やれやれ」と言った様子で再び眠りにつこうとしたが、老婆はそれを許さない。
「なに二度寝しようとしてるんだいっ さ、いくよっ。こうちゃんのパパママにお参り、するんでしょっ」
今度は少年がハッとしたような顔をして、頷いた。
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「パパとママ、きっと天国で喜んでるよ.....自慢の息子が、こんなに元気でいてくれてね.....」
老婆は遠い目をして言う。
少年は少し涙目になりながら、大きなお墓の前で線香をあげ終えた。
少年は涙目をぬぐおうとするが、かえってそれが目を赤くする。少年はそれをごまかすように言った。
「婆ちゃん....じいちゃんのこともね.....」
「はは、そーだねえ」
夏も終わりを迎えるか。徐々に昼も短くなっている。
夕焼けが、帰る二人をしり目に、お墓を照らしている。お墓の上に影が一つ、鳴いている。
『ミーン、ミーン、ミーン....................』
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「ただいまぁ!」
一人で、駄菓子屋にでも行ったのだろうか。右手に袋を持った少年は玄関を勢いよく開ける。
「「ただいまー」」
優しげな顔をした老婆と老人が姿をみせ
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「ただいまぁ!」
一人で、駄菓子屋にでも行ったのだろうか。右手に袋を持った少年は玄関を勢いよく開ける。
「ただいまー」
優しげな顔をした老婆が姿を見せる。少年はこの瞬間が何よりも好きなのだ。
「駄菓子買ってきたよ~!一緒に食べよー♪」
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この一軒家にも冬が訪れる。
雪がパラパラ降っている中、夏のころとは真逆で少年はこたつの中に丸まっている。
「あ~寒い~」
................................................................................婆ちゃんはどこだろ。
「婆ちゃーーーーーん、どこいるーーーーー?」
『ミーン、ミーン、ミーン』蝉の声が聞こえる。
「..................................................」
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この一軒家にも冬が訪れる。
雪がパラパラ降っている中、夏のころとは真逆で少年はこたつの中に丸まっている。
「あ~寒い~」
................................................................................婆ちゃんはどこだろ。
「婆ちゃーーーーーん、どこいるーーーーー?」
『ミーン、ミーン、ミーン』
「.........」
『ミーン、ミーン、ミーン』
「.........」
『ミーン、ミーン、ミーン、ミーン、ミーン______』
あ
パパママ
なんで蝉になってるの?
なんで耳鳴りがやまないの?
なんでお墓が動いているの?
なんて突然....
ぼく、訳が分からないよ
................................................................................................
嗚呼、世界が崩壊していく_________
高層ビル、地下二階にて。
「あ、故障しちゃったみたいですね」
「そうだな、これは故障だ.........」
体中にコードが巻き付けられた老人と、二人の男がそこにいた。
しかしながら、老人の寝ている近未来的なベットには異変がある。コードが根元からぶった切られているところだ。機械は煙をたてている。
男らは会話する。
「にしても、なんでまたこんな要求をしたんですかね。この老人は」
「不動産王となった男も、このありさまではなあ.....まさか夢をご鑑賞中に、まさに今、事故にあってしまうとは......」
「「やれやれ」」
二人の男は笑う。
老人の顔は見えない。
解説
要するに、一生たっても使い切れないほどの金をもった悲しき億万長者が遥か昔に見た夢を見るがために機械を開発。だが、その執着ぶりの心もとなさや遺産目当てで、この二人の男(開発者)に狂いゆく夢の中に置き去りにされた。ところどころ起きていた異変はバグ。