くるみVS占い少女 第三ラウンド
◯恒例の注意書き
この物語内に登場する名称はフィクションです。
五十音を無作為に組み合わせた名称になります。実際の作家様とは一切関係ありません。
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「とりあえずメダル全部入れたぞ」
「育美は何枚持ってるのよ」
「わっきゃ1000枚だ」
「育美さんは1000枚だそうだ」
「わかるよ! ゴリラは引っ込んでろ!」
「…………」
「育美。あなた占いとか霊視出来るなら、次のレース当てれるよね?」
「もぢろんさ。わっきゃ、1ぢゃぐ、2ぢゃぐを順番どおり当でるじゃ」
「通訳っ!」
「あ、おう。私は1着2着を順番どおりに当てるよ――だ」
「え? そんなの無理じゃない?」
「だいじょぶさ」
「まあ、なんでもいいよ。じゃあ私が当たったら、育美は今すぐこの場から消えて!」
「へば、わー当だったっきゃ、わとけやぐになって」
「通訳っ!」
「お、おう……じゃあ私が当たったら、私と友達になって――だそうだ」
「は? やだよ。私、アメリカと往復してるから友達なんて要らないよ」
「わー当だったっきゃでいい」
「…………」
やはりそうか。
とりあえず出馬表を公開しよう。
①コウソクピストン 5倍
②ミケネコミーチャン 100倍
③ロリトーリ 19倍
④サクラノナデシコ 5倍
⑤イケメンプスガ 69倍
⑥カインデール 29倍
⑦オグラキャップ 2倍
⑧ガマンジール 6倍
「…………」
「春男! 私は⑦番に1700枚!」
2倍か。圧倒的一番人気だ。
だが、当たれば3400枚になる。
「へば、わは1ぢゃぐ8ばん、2ぢゃぐ1ばんの8-1に1000枚 」
さて、倍率は……30倍だと?!
当たれば3万枚?!
「…………」
「こんきょがある。きょうは8番ぎでねはんで」
「え?」
モニターに過去10レースの結果が表示されている――たしかに今日は⑧番が1着になっていない。
5分後。
最後方から8番と1番が、くるみが購入した粘る7番を差し切った。
「ぎだっ!」
「…………」
「くるみ……」
「春男っ!」
「お、おう」
「メダル追加!」
「え?」
「さっき私が出したんだから、今度は春男が1万追加っ!」
占いで叩き売りした俺の4万は?
もっと言うなら、このメダルゲームで俺は1枚しか使ってないぞ?
その後、予想通りくるみは惨敗。
育美さんは合計10万枚の大量メダルを獲得し、カウンターに預けた。
ボロ雑巾、線香花火の燃えカス、灰になるくるみに肩を貸して支える俺。
「ぐるみさ、残念であったね。やぐそぐは守ってけ。電話番号どSNSアカウントおすえで」
「うん……」
「けやぐのあがすとすて、今日のよる8時さ電話すて」
※友達の証として、今日の夜8時に電話ちょうだい。
「うん……わがっだ……」
くるみさん?
津軽弁が移ってますよ?
今から帰宅するが、ショッピングモール内での出費をまとめちゃうぞ?
徳川春男46歳独身→占い4万+メダル1万+55カレー2人分3000円+コーラ2人分400円=53340円
青森くるみ→メダルゲーム1万円
俺達は一体、なにをしにショッピングモールに来たんだい?
わがるひと、おすえで。
※わかる人、教えて。