ある村にて その2
カリスはブラストと名乗った若者を睨むんだ。
「そんなのは、どうでもいいのだよ。どうせ、お前は、死刑に決定したのだから」
「それは、ちょっと困ったな」
と、ブラストは苦笑いをして、頬を指で掻いた。その様子を見て、カリスは驚く。
「お前、どうやって、手錠を外したのだ」
ブラストは牢屋へ入れられた時には、腕を後ろにされて、手錠をかけられていたのだ。
「それは、此処にいたコルルクたちに頼んで、外してもらったのさ」
「バカな、コルルクは悪党の味方にならない筈だ」
カリスは呆然となる。
「さて、取られた物を取り返し行きますか」
ブラストはベルトからナイフを取り出して、牢屋の鍵穴に入れて、開いてそこから出た。
「そんな所にまだ隠していたのか」
「まぁね」
彼は笑って、カリスの傍を横切ろうとしたが、カリスはブラストの腕を捕まえる。
「君をアビク様の元へ行かせるわけにはいかない」
「カリスさんだったけ、あのアビクって人はどんな人か知っているのですか?」
ブラストはカリスを睨んだ。
「この村を救ってくれた恩人だ」
カリスは力強く言った様子を見て、ブラストはそれを否定する。
「それは違う、それならあの魔龍ガミアスっていっているモンスターを倒そうとしないのだ」
「それは、一人を犠牲にすれば村が助かるのですよ」
カリスはそれが当たり前の様に言った。
ブラストはなにか哀しみを帯びた瞳でカリスを見つめた。
その瞳を見たカリスの腕の力が緩み、ブラストを離す。
「カリスさん、あのアビクは悪党ですよ。ある人から、秘宝を奪おうとしたのですよ」
「あのアビク様が、嘘だ」
カリスはブラストを睨んだ。
「そう思いたいなら、そう思うがいい、だが、それは事実だよ」
彼は呟いて、そこから、出て行こうとする。
「待ってくれ」
カリスはあることが思いあたった。
「どうしたのですか、カリスさん」
「いや、近頃、怪しい戦士をみかけたのですよ。一族の大切な伝説の秘宝を手に戻すことができるとか」
ブラストはその言葉に眉を動かす。
「おかしいですよね、第一そんな物は、一族が守り伝えていく物でしょう」
カリスは笑った。
「思い当たることがある。オレが持っていた剣と腕輪は秘宝の一つだよ」
「そんな、あの剣は魔龍ガミアス様に呪われたと」
カリスは驚いたが、ブラストの言葉にさらに驚く。
「伝説の秘宝は、選ばれし者にしか、触れることができない」
「それなら、アビク様が嘘をおっしゃっているってことなのか」
「それを決めるのは、オレではなく、あなたです」
ブラストはそう言って、そこから出ていった。
その頃、アビクの屋敷には、数人の男女がやって来ていた。
「おい、アビクさんよ。あんたの手伝いを
すれば、爆龍の鎧が手に入るのって、本当のことだろうな」
「はい、そのとおりですよ。オリガス様」
アビクはその中の茶髪の若者に笑いかける。
「そうか、そうなのか」
オリガスと呼ばれた若者が笑い、ふと机の上を見ると、そこに置いてある腕輪に気がついた。
「おい、アビク、アレは」
「え、えぇ、アレはある男が所持していたのですが」
オリガスは気になって机に近づいて、その腕輪を手にする。




