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 準備期間もあまり無い日数で簡素な誕生日パーティーが開催されることになった。

 パーティーといってもとり急ぐこともあり会場だけを花で飾り立て華やいだ雰囲気にしたようなもの。

 あとはホールケーキを用意し、料理に気合いを入れて特別感を出すぐらいだった。

 それでもアーデンには十分すぎるぐらいな誕生日会だといえる。

 どれだけ蔑ろにされていたのか体験済みなのでこれだけ大げさな形式は今までにない。

 フロンテ領に居る時には特に食べ物に苦労していたから誕生日以前の問題。

 それでも知恵を絞ってその日だけは特別な一品を用意し祝ったつもりで過ごしてきた。

 振り返ればアーデンと出会ってから10年間の誕生日は二人きり。

 それがエリオットやカーティスたちも招待するというかなり本格的なものとなった。

 急な知らせにも拘らず、二人とも参加の返事が届いた。

 とはいえエリオットは宿泊するがカーティスは顔を出す程度しか時間が取れないらしい。

 本当に内輪のみで集まる宴が実現できてしまったようだ。

 もちろん執事経由からブランディンも参加し、マーデリンをエスコートすることを了承している。

 二人が直接接触するのはこの日。だからこそ、二人きりになる時間があれば怪しいのだ。

 本来、小説では誕生日の翌日にブランディンが急な談話を持ち掛け、タウンハウスへと呼び出す。

 そこで違和感を感じていたアーデンが様子を窺っていると異変が生じる。

 マーデリンを傀儡にする呪術を行なおうとしているところへアーデンが助けに入るのだから。

 もしこの日、二人きりになればおそらくそういう流れになる可能性が高いのだ。

  


 そして迎えた当日。アーデンの誕生日。

 本日は公式ということもあって先日の非公式という訪問の時より多い複数の護衛騎士が付いていた。

 太陽姫がグリフィス公爵家へ内輪の誕生祝いに駆け付けたという大義を周囲に見せつけるような感じだ。

 既にエリオットもカーティスも到着していていつもの公爵家総出のお迎えの後、会場へと向かった。

 ブランディンもスマートにマーデリンをエスコートしていた。

 

「アーデン、誕生日おめでとう」


 マーデリンはにこやかに祝辞を述べた後、ボルト様より贈り物が手渡された。

 アーデンはぎこちなさそうに受け取ると貴公子然とした挨拶を行なっている。

 微妙な緊迫感に見舞われつつも私はブランディンばかりに気を取られてしまう。

 彼がいつ仕掛けるのか、それだけが頭に過ぎって上の空に近い。

 整えられた席に付くとエリオットが祝杯を挙げた。その後、申し訳なさそうにカーティスが退席する。

 私とも二言三言話した程度の接触で婚姻に向けての調整のせいなのか忙しさを物語っていた。

 宴が始まり食事が運ばれる。マーデリンは当たり障りのない話題を出し、周囲を和ませていた。

 とはいえ、ほぼエリオットとマーデリンが最小限の会話している中で食事が進んでいる。

 私は相槌を打つ程度での参加をしているようなものであっという間に時間が過ぎていく。

 食事も終了し、少し砕けたティータイムに突入するのかと身構えてはいるとあっさりとお開きになった。

 けれど油断禁物とマーデリンが馬車に乗り込むまでずっとブランディンの動向を見張っていたが何事もなく帰還を許していた。

 一気に拍子抜けし、アーデンに声を掛けられたが曖昧に返してしまった。

 それどころか信じられないことにブランディンはエリオットと共に夕食の席にまで参加したのだ。

 特段何かお祝いという訳でもなく、ただ食事を取っただけでも不安が過ぎる。

 未だに油断はできないと緊張を解けないでいると今度は食後に3人でと酒席を設ける始末。

 何を企んでいるのか動向に目が離せないままでいると特別なワインを煽りだし始めた。

 酒を飲み始めたこともあり、私はこの場で何もすることはなさそうだと判断せざるを得ず、その場を引き上げた。

 そんな中、アーデンは二人を残したまま、早々に抜け出したようで私の元へやってきたのだった。

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