表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/92

 1時間後、お仕着せを纏ったご令嬢様がぞろぞろと食堂に現れた。

 こうやってお揃いになると一体感が生まれるというか、統一感がある。

 ハーパーさんが先陣を切り、食堂を出て玄関とは逆の方向の廊下を歩く。

 廊下の突き当たりは扉と右手に伸びる廊下があった。

 扉を開けるとまた廊下があり、ここから別荘の屋敷と繋がっていて行けるらしい。

 廊下を抜けると階段があり、のぼって2階へ。

 そこは屋敷の食堂室や広間、ゲストルームなどに繋がっていた。

 裏階段と呼ばれ、作った料理を運んだり、掃除などで屋敷に入る際に利用するみたいだ。

 この下の1階はちょうど調理室、3階は公爵家のプライベートルームへの道のりで裏階段を通じての移動となる。

 基本的に表側は主やゲストが利用するためのものだから当たり前か。

 使用人すら雇えない我が家はかつてそんな区別があったことを忘れていたよ。

 この別荘である屋敷はそれなりに広かったけど、今まで見てきたお屋敷よりはこじんまりしていて意外に感じた。

 とはいえ、別館もあるし、我が家よりは数倍も大きな建物ではある。

 不思議に思ってたら、ここは年に1回、1週間程度の利用のみで建てたものと知り、驚いた。

 使用人も規模の割には少ないから私たちが派遣されたと思ってたけど違うのか。

 まあ1週間のために屋敷を維持するなら十分な人数かもしれないけど、私たち、逆に多すぎないか。

 10人の振り分けはキリ良く半分となり、別荘班と別館班に仕分けされた。

 まずは朝食後、2時間程度全員で侍女としての立ち振る舞いを指南され、作法を習う。

 指南者は外部からの有名な講師らしく、姿勢やら所作やらを徹底されるらしい。

 公爵家の侍女として教育も施すとかさすがすぎる。それから各班、始動する。

 別荘班はお屋敷での掃除がメインで庭の手入れの手伝いもある。

 別館班は個室は各自で管理だけど、共通利用の場所の掃除や調理場の手伝いを担う。

 これら全てをお仕事として1週間交代で実施するらしい。

 今日は大まかな案内や説明を受け、早めの夕食を取った後は明日に備えるようにと解散となった。

 私はアネットさんと同じ組になり、他は伯爵令嬢2人と男爵令嬢1人で初回は別荘班となる。

 そして翌日を迎え、噂の品のいい婦人が別館に現れ、全員で侍女としての心得を学ぶ。

 何だか学園時代の礼儀作法の講義に似ていて授業を受けている気分。

 だけど穏やかで畏まらず、優雅で上品な指南でワンランクアップしたような気持ちになった。

 気品とはこういうものなのねと公爵家のレベルを知る。

 その後は予定通り、班に分かれての掃除。

 別荘班はハーパーさんと侍女の一人ステラさんから指導を受けることになった。

 もう一人の侍女であるデリアさんは別館の指導に当たるらしい。

 裏階段から屋敷に入ると3階のプライベートルームから掃除が始まる。

 家具という家具には布が被せられており、何故だか物が少ないように思え、殺風景に見えた。

 壁の装飾は立派だったけど、布を取った後は広さが引き立ちガランとした感じで物足りない光景。

 しばらく使われてないためか埃っぽいのは初日だから当たり前かな。

 カーテンを開いて換気し、布を取ってハタキや箒を持ってほこりを払い、布で磨くというシンプルなもの。

 指導といっても部屋を指定されただけで掃除するのに特に厳しいということはない。

 5人全員がひと部屋で一斉に行なって、キリが付いたら次の部屋という流れを汲む。

 それを毎日ひたすら行うだけらしい。毎日同じことをすればピカピカになること間違いない。

 部屋の数も決まっているし、拍子抜けするほど楽かもしれない。

 数日したら余裕も出てきてお話ししながらでも作業していたりする。

 別に咎められることもなく、これで仕事として成り立つのだから申し訳ないくらいだ。

 別館の方の様子を窺えば同じようなものらしい。

 これで給金が貰えるなんて夢のような職場すぎる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ