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シエンナ騎士団 9 / 13

 レイはブロードソードと小型の盾を取ると、ゆっくり広間中央へ歩いて行った。もうすでに中央に来ていたランスはブロードソードと中型の盾を持っていた。二人が試験官グレーンを挟んで立ち並ぶ。


「それではこれから最後の試合。ランス対レイの試合を始める」


 と試験官グレーンが宣言して端に退く。静かにレイもランスもお互いに一歩後ろへ下がり間合いを取って構えた。


「始め!」とグレーンが一際大きな声で開始の合図を発した。


 ランスは右手のブロードソードを上段に構え、左手の盾で体全体を隠した。盾はエンアームーズタイプ、肘の補助ベルトとハンドグリップで支える中型の盾なので左手の肘を体の前に巻き込む様にして構えている。レイから見るとランスの露出部分は頭や脚しかなく攻撃が繰り出しにくい。

 レイも同じくブロードソードを上段に構え、盾を前面に出していたが、こちらは機動力重視。センターグリップの小型の盾だった。


「あいつも大きな盾にした方が良かったんじゃねえの?」

 とモーラがノアに言った。


「いや、一長一短だ。確かに肘の革ベルトがあるエンアームーズタイプの大きな盾の方が、防御できる面が大きいし安定している。しかし動かしにくい。センターグリップの小型の盾はいろんな角度に動かせる、が手首への負担が大きいんだ」 ノアが手首を上下左右に動かした。


 レイは飛んでくる初太刀に、全ての神経を張り巡らせながら、ジリジリと間合いを詰めた。二人の気迫がぶつかり合う緊迫した状況に、牽制の為の一振りすら容易に繰り出せる状況ではなかった。見ている皆、息が詰まった様に固唾の飲んで見守っていた。


 先に攻撃を繰り出したのはレイだった。

 それからの二人は、まるで雷鳴が轟くが如く激しく刹那的な斬撃を繰り出した。

 まずレイがランスの盾の上部から頭を狙うように剣を繰り出すと、ランスが素早く盾を持ち上げ反応する。それによりランスの視界を奪ったレイは、本命の一撃を足下に繰り出そうとしたが、それより早くランスの右手が鋭い刺突を繰り出して来た。


 レイはランスの刺突を盾でいなして弾じき、そのままランスに体当たりを食らわせた。ランスが後ろによろめいて、「おおー」と言う声が上がる。しかしランスはそのままレイを抱えると横に投げ飛ばし、稲光の様な斬撃を打ち下ろした。


 レイは転がりながら、かろうじてその一撃を避けた。


「フフ、面白い。貴公とはもう少し楽しみたい所だ。しかし、すぐ終わりにしよう」

「余裕だな」

「……そうではない、私は負けるわけにはいかんのだ」


 ランスは少し悲しそうな表情を見せ「一族のために」と呟いやいた。

 間合いを開けたランスが盾を下ろす。そしてブロードソードをしっかり握りなおすと、低い姿勢で身構えた。


 ……来る! 


 レイも盾を投げ捨てると、ブロードソードを握り直した。モーラとの戦い、ノアとの戦い、2度も見せつけられた疾風迅雷(しっぷうじんらい)の如きの一撃。そして2度も見ることができたのは幸運だった。レイは静かにランスの一撃に全神経を集中させ、そして決意を固めた。


 ……理由なんて知ったこっちゃねえ。俺はノアの借りを返す!! 絶対叩き落とす!!!!


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