メテオストライク 12/17
「レイ、黙って行くな。ちゃんと騎士団に断りを入れて退団しろ」
トーブがサッとレイとアルマーマの近くに寄ってきた。
「俺も頭を冷やした。だから思ったんだが。勝手に抜けると破門になるぞ。そうなるとお尋ね者だ。この地区では自由に活動できない。そればかりか下手すると刺客を差し向けられる」
「分かってる」
「だったら。……いや、俺はまだレイが、その力を諦めるのを願ってるよ。だけど、それでも諦めないのなら、せめて破門にならないように、ちゃんと話をして除名してもらい退団しろ」
「話して分かってもらえればいい。だが拘束される恐れだってあるだろ。許可がおりないかもしれない。故意に禁術を封印させられる可能性もある」
「……俺がなんとかする。だから、……だから、破門にはなるな!」
「なんとかできるようなことじゃない」
「する!!!」
トーブはレイに歩み寄った。
「俺だけで無理なら、ノアだって、ここにいない盾仲間だって。アルマーマ班長だって」
トーブが泣きそうな顔でアルマーマをみた。
「協力するわ。……でも、それでもどうなるかは分からない。レイの言うように。もっとも確実なのは黙って抜けること。それは確か」
スッと厩舎の影からノアが現れた。
トーブがノアをみて話す。
「ノアにだけ話した。どうしてもお前を止めたくて。他には話してない」
ノアは黙ってレイに近づくと、そのまま歩みを止めずレイにつかみかかった。
「レイは、どうして、そう勝手な事をするんだ! 違うだろ!! そうじゃないだろ!!!」
ノアがレイの胸を叩く。
「どうして、どうして、どうして……」
何度も何度もレイの胸を叩いた。
「…バカだ …レイは」
やがて、ノアは泣きながらレイの胸に崩れ落ちた。
レイは黙ってノアを受け止めた。
トーブがレイとノアに近づく。
「お尋ね者にはなるな。全てを話し相談しろ。除名してもらい退団しろ。俺たちが支える。もし、もし、それでもダメなら。俺たちがレイを逃す」
「そんなことしたらお前」
「言うなレイ! その覚悟はある」
トーブは拳をレイに突き出した。
「俺たちは盾仲間だろ。互いのために……」
ノアがトーブに続き静かに拳をあげた。
アルマーマが一歩近づく。
「私は盾仲間じゃないけど。ま、班長としては黙って見てらんないわね」
アルマーマも拳を突き出しくっつけた。
「すまない。みんな」
レイは目をつぶり覚悟を決めると、大きく息を吸い込み拳を突き出した。




