メテオストライク 3/17
完全に日が暮れて、4、5時間がたった頃、静寂に包まれた図書館にコツコツと靴音が響いた。レイがそっと物置の隙間から中を覗くと、ノアともう一人の騎士がランプを手に館内を足速に歩いていった。
見回りはあっさりしたものだった。すぐに二人の姿は見えなくなり、裏口に鍵の掛けられる音が聞こえた。……あの短時間で、ノアはうまくやったのだろうか? そんな不安を持ちながら、そっと物置から抜け出した。
暗い館内ではあったが、月明かりが差し込んでいたので全くの闇ではなかった。チュニックからこぼれ落ちた輝星石のペンダントが、その月明かりに呼応したかのように黄蘗の光を鈍く放った。
かすかな光を頼りにそろりそろりと歩く。やがて地下へと続く通路の前まで来た。鉄製の頑丈な格子扉に南京錠が取り付けてある。奥は暗くヒヤリとした風が微かに流れている様に感じられた。
南京錠を手に取りゆっくりと動かす。鍵が外れズシリと南京錠の重みが手に伝わる。レイは静かに扉を開け、体を滑り込ませた。肩がけの小さなカバンからランプを取り出し、火をつけあたりを照らす。廊下の奥はすぐに地下への階段になっていた。レイは慎重に、音を立てぬ様に静かに階段を下りっていった。
何か分かるだろうか? 結局、何も分からないのではないか? そんな不安と共に、やっと自分の力の真実が分かるのではないかという期待、そして憧れていた魔法使いウィルに会えるかの様な、そんな高揚感を持って階段をおりる。
下にはまた木製の扉があり、鍵がかかっているんじゃないかと一瞬ヒヤリとしたが、ギィーと軋む音をたてすんなりと開いた。ランプで照らす室内は、思ったより広く、本棚が4列奥まで続いている。古い書物特有の古びたインクの匂いが鼻につく。期待が膨らむとともに、とても朝までに必要な書物を探し、全部読むことはできないと思い、諦めのため息が漏れた。
片側の壁面には歴史の書、そして隣の本棚には禁術の魔法に関する書物が並んでいた。どの本も異様な雰囲気を纏い禍々しい力を持っている様に感じられる。レイがランプをかざし、その一つ一つを確認して行く。
不意に、胸元、輝星石のペンダントが瞬いた様に感じた、その時、一冊の書物に目が止まった。
「あった」




