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禁術の魔法 11/16

 両者は怒声をあげて突進した。バゼルが大きく空を切って上から打ち下ろしたの対し、グレーンは下から体重を乗せて振り上げた。互いのツーハンドソードが激突して火花が飛び散った。両者が相手の力を確かめるように、バインド(剣の交差)に力込めた。


 剣圧に押された風が遅れてぶつかり、二人の周りで闘気の渦を作り出す。一瞬の隙が死をもたらす。痺れるような緊張が両者の体を駆け抜けた。


 お互いに気を張り詰めつぎにの出方を伺った。「バインド(剣の交差)したとき先に剣をはずした方が負ける」とまで言われるほど。ここから本当の剣技の戦いが始まるのだ。


「大した力だ」


 バゼルはツーハンドソードに体重をのせ弾き落とそうした。それに対しグレーンは切っ先をバゼルに向けながら剣を滑らし刺突を入れた。バゼルは瞬時に刺突を鍔元で押し退け、そのまま切っ先をグレーンの手首に切り付ける。


 グレーンは、それを読んでいたかのようにサッとツーバンドソードから片手を離し避けると、そのまま横に飛び退き、離れ側に片手で一撃を繰り出した。バゼルも体勢を崩しながら

なんとかその一撃を食い止める。


 強い! グレーンは体勢を立て直し剣を構えながらそう思った。力だけではない、素早さ

、そして剣技、どちらも兼ね備えている。だが、負けるわけにはいかん! グレーンはバゼルの周りを回り込むように移動しながら、間合いを詰めた。


 お互い、上段からの剣をぶつけ合わせた後、グレーンはツーバンドソードを寝かせ相手の力を殺し、反対側に回り込んで打ちつけた。バゼルは自分のツーバンドソードがロックされるのを力任せに跳ね除けツーバンドソードを薙ぎ払った。


 鈍い音がして、お互いのツーバンドソードが相手にあたり、グレーンは脇腹を、バゼルは左肩を損傷した。

 

 次は互いに上段で剣を何度も交差させた。防御と攻撃が一体となった互いの斬撃はなかなか当たることがなかった。


「おい、いつまで遊んでんだよ。バゼルのだんな」


 後ろに控えている、チェーンを巻きつけた黒蛇のダイダスが声をかける。


 バゼルは呼吸を大きく取ると、右肩上にツーバンドソードを、いつでも一撃を振り下ろせるように構えた。グレーンも同じくツーバンドソードを持ち上げ同じ構えを取った。ただし左に構えた。ツーバンドソードをぶつけるのではなく、次の一撃に全てをかける。


 互いが間合いに全てをかける。避けられぬ一撃を繰り出すか、あるいは相手の一撃をかわして切るか。ジリジリと間合いをつめた。長い時間がかかり両者のあごから汗が滴り落ちた。一瞬!


 動いたのは同時だった。互いに引くことは考えず前に出た。疾風がぶつかり合い弾け飛んだ。グレーンの右手が裂け、血飛沫が飛ぶ。それでも一瞬、ほんの一瞬、グレーンの剣技が優っていた。バゼルは膝をつくとその場に倒れ込んだ。グレーンの一撃がバゼルの頭部を打ち付けていた。


 グレーンも右手を押さえひざまずいた。


「見事だバゼル。その正々堂々とした戦いに敬意を表す。そいて貴公と戦えたことを誇りに思う」


 グレーンは黙礼をしたあと後ろに戻った。


「すみません。モンペリ様、もう少し時間をかけようと思ったのですが、なかなかの使い手で」

「良くやったグレーン。あとは休め」

「いや、しかし、次も」

「その傷は浅くない。すぐに止血しろ。まだ、帰るには時間がかかる」

「……ハッ」


 ダイダスはブツクサ言いながらバゼルを引きずって端までもってくと、


「なにが正々堂々だ。負けちゃ意味がねーんだよ。クソが」


 と言って踏みつけた。


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