表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

25/88

訓練の日々 12 / 23

 ノアが寝そべったまま、手を振って、


「私、先に食べたよ。今日はフワフワのオムレツだったぞ」


 トーブは「フン」と言ってレイの手を払い除けると食堂に向かった。


 レイが全力で走りノアの元に駆けつけた。


「お前、大丈夫なのか? 隔離は?」

「ああ、確認取れたってさ」

「そ、そうか良かった」


 レイは一息つくと、大きく息を吸い込み「トーブの奴、殴って来る」と言って食堂に歩みを進めた。


「やめときな」とノアが呼び止める。

「あいつ、お前をスパイ扱いしたんだぞ」

「つまんないよ。私は気にしない」


 そう言うとノアはゴロリと木陰に寝転がった。


「いや、俺は気にする」


 そう言って、向こうへ行こうとするレイに向かってノアが


「やめな! ……レイだってそうだろ。そうやって息を切る程走って来るなんて、私を疑ってたんだろ」

「それは、そんなんじゃない! あの証明書をみたらそりゃ……」

「悪かったね。ガサツで」

「……あの汚れは血だろ」

「……」

「それに何で魔法を使える奴がノアには分かるんだ?」

「……」

「ノアには不思議な所が多すぎるんだよ。……だから、」


 ノアが体を起こし、レイの話を遮る様に言った。


「ほら。なーんだ、結局レイも私の事、疑ってたんじゃないか」


 レイは、鼻息荒くノアに近づくと、胸ぐらをつかんで強引に立たせた。

 「ちょ、な」と驚いたノアは、「何だ、やるのか!」と身構えファイティングポーズを取った。


 しかし、レイは何も喋らなかった。無言の間が続く。そして視線はずっとノアを見据えていた。


「何だよ離せよ」とノアが身じろいだ。


 レイは腕に力を込めノアを引き寄せた。


「同志だろ」

「……」

「俺は、何かあったら。ノア、お前に背中を預ける」

「……」

「……そう言う事だ」


 レイは、そう言うとノアを離した。


「つまんねえ事じゃねえ。俺にとってはな」


 レイはそう言ってトーブのいる食堂に向かった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ