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60話 自慢

――自宅


「行くよ……魔王の鎖!」


 みなもが魔法を唱えると、二本の鎖はシンセに巻き付いた。


「ぐ……みなも、凄いよこれ。力が抜けていくこの感じ、魔王の鎖と同じ性質だ……」


 シンセはそう言いながら鎖をちぎった。


「わ! お父さんみたいな強い人になると鎖をちぎっちゃうのね……」

「2本だったからだけどね……魔王みたく多くの鎖を出されると動けなくなるかもね」

「よし、一気に鎖を出せるように頑張る!」

「ああ、使いこなせればかなり強力な魔法になるよ。しかし……」


 シンセは少し喜ぶそぶりを見せつつも、不安な表情を浮かべた。


「どうしたのお父さん」

「その魔王の鎖という魔法、ブラックチェーンを魔王の杖経由でより強力にした魔法の事なんだ」

「ってことは杖なしだし、私の魔法はブラックチェーンって事?」

「いや、言葉にする時、魔王の鎖で発動しているから魔王の鎖で間違いないだろう。威力もブラックチェーンを遥かに凌いでいた」

「なら、杖なしでこの魔法が出来る私って凄いって事!?」

「あはは。そうだね」


(……みなもなら、私が苦しめられた魔王の魔法を使えるかもしれないな……しかし……)


 シンセは喜んで鎖を出すみなもを見た。


(現況だけを見ると、みなもは魔王よりは遥かに魔力が高い……色々な意味で不安だ。私がしっかり守らないとな)


・・・

・・


――翌日 魔力の森エリア


 敷地内に完成した魔力の森エリア。

 その横には大きなドックランのような施設がしれっと完成している。グートがしっかり手伝ってくれたのも、この施設が建つからだったのだろう……。

 グートは暇があればそこで、ブルーラインウルフと遊んでいるようだ。


「グート! 見てよ!」


 私はグートにブロンズライセンスを見せつけた。


「おお、やっと上がったのか!」

「うん! 余裕だったよ!」

「まぁその位じゃねーとな……俺には追い付かねーぞ?」


 そういってグートはシルバーライセンスを見せつけてきた。


「わ! グート、シルバーに上がったのね! むう、追いついたと思ったら……!」

「これで晴れて俺は、ブルーラインウルフに気兼ねなく乗れるって訳だ!」

「いいなぁ。私も早くシルバーになりたいよ。マゴちゃんに(合法的に)乗れないしさ!」

「まぁ、郊外なら基本大丈夫だけどな!」

「ところで、シルバーライセンスの試験ってどんな感じだったの?」

「筆記試験と実技があるな」

「やっぱり筆記試験があるのね……どんな問題が出るの!」

「すげえ聞いてくるな……問題は毎回ランダムに変わるが、基本的にはC+ランクまでの魔物の耐性とか特技を記入するテストだ」

「なるほど。暗記試験ね……」

「一回明日にでも受けてみようかなっ!」

「何言ってんだよ。しっかり勉強してから望む方が良いぞ?」

「そう? 雰囲気だけでも掴みたいなって……」

「不合格になると半年は受けられないからな。シルバーからは」

「え! そんな制約があるの?」

「ああ。シルバー以降は問題も実技も準備が大変になる。そもそも明日受けに行ってもその日には受験できねーよ。大体3~4日後になるな」

「ほえ~。実技も何だか大変そうね」

「まぁブロンズとは比べ物にならない難易度だ」

「うう。なんだか自信なくなってきたよぅ……学校にも行ってないし勉強も何をすればいいのかさっぱりだし……」


 グートは涙目になった私を見て、少したじろいだ。


「はぁ……俺がシルバーの受験で使ってた教科書貸してやろうか?」

「え! ほんとう!?」

「もう使わないしな。今はゴールドの勉強中だ」

「ぜひ貸してください!!」

「ああ、いいけど今度家で探すからしばらく待ってくれ」

「しばらくも待つの!」

「家のどこにやったか忘れちまったんだよ。シルバーはもう使わねーし」

「じゃぁ私も一緒に探すの手伝う!」

「は?」


(俺んちに来るって事……?)

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