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58話 ブロンズライセンス

「クリウェさん、大人向けの新作紅茶が出来たんです。試飲しませんか?」

「有難うございます。頂きます」

「こちらのお客様にはどうぞ、はちみつレモンジュースです」

「美味しそうー!」


 一通り見た後、私達は再び飲み物を飲みながら休憩中だ。

 本当に楽しい時間だったな……でも、本来の目的を忘れてはいけないのだ!


「先生、私ブロンズライセンスを取りたくて、今日試験場に行く予定だったの!」

「そうだったのですね。夕方近くまで付き合わせて申し訳ありません」

「ううん、とても楽しかったよ。有難う先生!」

「私も、普段一人なので……みなも様と一緒に回れて、すごく楽しかったですよ。有難うございます」


 そういって先生はにっこりと笑った。


 先生の笑顔は本当に素敵だな……。


「じゃぁ、私行くね!」


 そういってペットショップから出ようとした時、先生が私の手を優しくつかんで引っ張った。


「どうしたの? 先生」


 先生は少し顔を赤らめながら小さな声で呟いた。


「このままお別れも……何だか寂しいので、一緒に行っても良いですか?」

「え……!」


 唐突なお願いに私は一瞬固まってしまった。

 それをみて先生は手をそっと離した。


「みなも様すいません。何だか今日の私おかしいですね」

「おかしくないいよ! もちろん、一緒に行こ!」


 動揺を隠せない。

 こんな一面を今まで見た事があっただろうか……!


 先生の手は華奢でとても美しい……指も細くて長い。

 女性の手みたいだ。

 あと凄くひんやりしていた……。


「では行きましょうか」

「うん!」


 そうして私は先生と一緒に試験場へと向かった。


「ところで先生、凄く手冷たいね! 私があたためてあげようか?」


 私は冗談交じりでそう言ってみた。

 すると、先生はそっと私の手を取り……


「ではお言葉に甘えて」

「ふぃ!」

「あはは、何ですが変な声を出して」

「うう……何でもない……」

 

 自分で言ったくせに本当に事が起こると動揺してしまうな。

 先生どうしたんだろう? 今日はやけに積極的というかなんというか……。


 そんな事を思いながら先生と手を繋ぎ、試験場へと足を運んだ。


・・・

・・


――休憩スペースにて。


「あら、クリウェさんに感想を聞きたかったのに行っちゃったのねー。まぁ全部飲んでくれているから美味しかったのかしら?」


 店員さんは休憩スペースの椅子や机を拭きながら呟いている。


「試しに明日から売り出してみましょう。名前は……シンプルに”ワインティー”でいいかしらね……」


・・・

・・


――テイマーライセンス試験場


「君がブロンズライセンスを取りたいと」

「はい!」


 居たのはホワイトライセンスを取得した際に対応してくれた感じの悪い人だ。


「ホワイトと違ってブロンズライセンスは難易度が高いぞ?」

「頑張ります!」

「ふう、まぁ来るもの拒まずがモットーだ。面倒だがついて来てくれ」

「先生! 行ってくるね!」

「はい。頑張ってくださいね」


 そういってまた受付兼試験官の人の後について行った。


「今回は、戦闘試験だ」

「戦闘試験……!?」

「こちらで用意した訓練用のベタウルフを戦闘不能にしてもらう。もちろん殺してはダメだ。最終的に仲間にする前提で動きを止めるんだ」


ベタウルフ:Dランクの魔物 全長3.5m程の大型狼。灰色の毛に覆われている。


「試験を行う前に……大けがの責任は問わない。命の危険があると判断した場合には即刻試験を中止する」

「いきなり怖い試験になるんだね……」

「さぁ受けるか?」


 私は一瞬迷ったが……ここで逃げたら一生ホワイトのままだ! やってやるぞっ!


「もちろん!」

「そうか。ならこちらのゲートから入場してくれ」


 そうして私のブロンズテイマーライセンス試験が始まった!

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