57話 爬虫類好きの先生
場所を変えて私と先生は休憩スペースへとやってきた。
ちょっとしたドリンクやフードを食べる事出来る場所だ。
「なんだか、恥ずかしい所を見られましたね……」
先生は自分の髪をくるくるしながら少し照れた様子だ。
か、かわいい……!
「先生、スネーク種が好きなの? すごーく見てたけど!」
「ええ、そうなんですよ。スネーク種というか、爬虫類系みたいなのが好きなんです」
「ほえ~全然知らなかったよ!」
「苦手な人も多いのですが……あのくりっとした目や質感にとても癒されるんです。みなもさんは苦手では無いのですか?」
「別に苦手って訳じゃないよ!」
「そうですか!」
先生は少し喜んだ様子だ。
苦手じゃないけど好きでも無いんだけどね……。
「お待たせしました。紅茶を二つです……あら。クリウェさん! またいらっしゃってたのね。いつもここを利用してくれてありがとうね~」
「いえいえ、ここの紅茶が好きなんですよ。ありがとうございます」
店員さんに名前も憶えられてるし、先生、結構な頻度で来てるのかな……?
「先生は結構ペットショップに来てるの?」
「ええ、そうですね。休みの日は朝から1日中、大体ここに来ますね」
先生はにっこりと笑いながら紅茶を飲んでいる。
休みの日は大体って……かなりのヘビーユーザーのようだ……!
「じゃぁ何か飼おうと思ってたり?」
「そうですね。飼いたいのは山々なんですが、家を空ける事が多いですからね。きっと寂しい思いをさせてしまいます」
先生は蛇コーナーの方を見た。
「だからこうやって見るだけですが足を運んでいるのですよ。見ているだけでも楽しいんですよ?」
「先生……爬虫類大好きなんだね……!」
「そうだ! スネーク種、あと2種類いるのですがまだ見てないんですよ」
「え、朝から居るんですよね……? もうお昼だよ?」
「そうですね……つい見とれてしまいがちで、大体1種につき数時間眺めてます」
「そ……そうなんだね!」
「みなもさん、良かったら一緒に見ませんか?」
「うん! もちろん!」
そうして私達は紅茶を飲み干し、再びスネーク種の展示場所へと向かった。
「見て下さい! 臆病なので中々姿を見る事が出来ない、グリーンスネークですよ!」
「ほ~」
見た目は普通の緑色の蛇だ。これなら昔、山で見た事ある気がするな……。
「この蛇は……とても美味しいらしいんです。だから人が見つけるとすぐに捕まってしまうのです」
「へー……美味しいんだね!」
「私は食べる気にはなりませんが……機会があれば食べて見るといいですよ」
「うーん、でも私もあんまり蛇とかは食べたくないな……」
「みなも様もですか!」
先生はまた少し喜んでいる様子だ……。
普通に食べたくないだけなんだけどな……!
その後、1時間ほど一緒にグリーンスネークを鑑賞した後……。
「この子が最後ですね。ミミズ蛇ですよ!」
「うわー! ちっさくて可愛いね!」
全長15cm程の白い小さな蛇が展示されている。
蛇の赤ちゃんみたいな見た目だが、これで立派に大人らしい。
この蛇はペットとして一番人気の蛇だそうだ。
「はぁ~ずっと見ていられますね!」
「そ、そうだね!」
先生はうっとりした顔でミミズ蛇を眺めている。
今日は先生の新たな一面が見れて楽しかったな……。
じゃなくて! テイマーライセンスの事を聞きに行かないとだった!!




