56話 ゆったりとした日
「この時期が一番過ごしやすいね~」
季節で言うと秋にあたる時期がやってきた。
パステルカラーの葉っぱたちは少しづつ散っている。
紅葉みたいな現象は無いようだ。
まぁ、もともと紅葉みたいに鮮やかな葉だったもんね。
「今日はこのワンピースドレスにしよっと!」
ブラウンがメインカラーの太めチェック柄ワンピドレス! 少しだけ秋感を意識して見たよ!
大きなワードローブの中にはいろいろな色のワンピースドレスが入っている! もちろん季節ごとにカラーバリエーションもいろいろだが……。
「ワンピースドレスしか無いな私の服……それでも今まで以上に種類は豊富だし満足だけどね!」
同じワンピースドレスでも多少形が違うし、色も様々。わりと気分を変えて着られるから本当に満足している。
「さて、朝食は何かな!」
そうして私は早速食堂へと向かった。
・・・
「今日で全ての作業が終了します」
「すごく早かったね。助かるよ」
「おはよー。あ、サイクさんいらっしゃい!」
「みなも、今サイクさんと話をしてたんだけど、今日中に完成するらしいよ」
「ええ!? 一月も経ってないのに! 凄い早い……!」
「早さと丁寧さがモットーですから! では早速作業に入ります!」
「ああ、よろしく頼むよ」
そういってサイクさんは外へと出て行った。
サイクさんはお父さんが言っていた業者の責任者さんだ。
サイク建設はドワーフ族で構成されており、仕事がとても速く丁寧で有名らしい。お父さんは以前から利用しているようだ。
「楽しみだね!」
「そうだね。既にマゴちゃんとたこやきはそこに居住しているけど、全部完成したら広くなるしきっと喜ぶよ」
「うんうん」
「おはよお」
「おはよ! シア!」
「シア様もお目覚めですな! すぐに朝食を準備しますぞ」
シアも起きて来て、ゆったりとした朝が始まった。
・・・
(今日は何をしよう……)
魔王討伐? からマゴちゃん達の住処を作ったり色々忙しかったけど、こうやってやる事がなくなると手持無沙汰になるな……前はこういう時にはスマホをひたすらいじって1日過ぎてたもんな~。
結局、神徒になって、ローブも貰ったけど一度も依頼って奴は無い。
というのも、大体お父さん一人もしくは先生と二人で事足りてしまうからだけど……。
「ライセンスの勉強とかした方が良いかな……」
ふと頭によぎったテイマーライセンスの事。
ゴールドライセンス以降は学園の推薦状が必要だが、裏を返せばブロンズ、シルバーに上げるのは推薦など不要!
多分試験さえ通れば昇給できるはずだ。
「よし! お父さん、ちょっとライセンス試験受けてくるよ!」
「と、突然だね……今ホワイトだから次はブロンズだね」
「うん! ルールとかもよく分からないしちょっと様子を見てくる!」
「ああ、気を付けて行ってらっしゃい」
そうして私はペットショップの横にある試験場へと向かった。
・・・
・・
・
「試験場に行く前に、ペットショップも覗いてみようかな」
そう思って私はペットショップへと向かった。
「ライセンスをご掲示ください」
「これです!」
「はい確かに。どうぞご入場ください」
今日は世間一般で言う平日。
入場している人もまばらな感じだ。
「色々なスネーク種が期間限定で展示中……?」
スネーク……蛇っぽい魔物達だね。爬虫類にはあまり興味は無いけど、せっかくだし見てみよう。
・・・
まず最初に展示されていたのは、ポイズンファングというスネーク種だ。
猛毒の牙を持つ蛇。温厚だが危険を感じると攻撃してくるそうだ。
「うわーいかにも毒持ちって感じの見た目ね……こういう魔物にレジストレントしたらどうなるんだろ……」
そして次の場所にはクリスタルスネークという魔物が展示されているようだが……
その展示ガラスに張り付いて、蛇を眺めている大人が一人いる。
その姿はまるでトランペットを眺める少年を思わせる……。
というか白いローブ姿のエルフ族……凄く見た事ある人だよ……。
「先生!? 何してるんですか?」
「おや、みなも様……こんな場所でお会いするとは思いませんでした」
・・・




