55話 神徒に!
――神の間
あの日、作業をしてから数日が経ち……服を着替えたあたりで私は神様の呼び出された。
横には先生も居る。同じく呼び出されたようだ。
「突然の呼び出しに応じてくれて感謝するぞ。二人とも」
「いえ、神様の招集となればいついかなる時も伺います!」
(私は有無を言わせず引きずり込まれたけど……)
「早速だが、本題だ。みなも、クリウェ。お前たちを神徒に迎えたい」
「わ、我々を神徒にですか……?」
「ああ、そうだ。先の戦いにより……僕の神徒は勇者一人となってしまった。信頼できる者……君達二人だと僕は判断したんだ」
「有難き幸せ……是非、私を神徒としてお迎えください」
「感謝する。クリウェよ」
うわー……先生めちゃくちゃ感謝してるし感涙を流してる……本来ならそういう場面なんだよね……?
にしても、神様のこの感じ……なんだか笑っちゃいそうになるよ。
「さて、みなもよ。君の返事も聞かせてくれないか?」
流石神様……神々しさが凄い。
でも、私には日ごろの恨みがある! ちょっとだけ……。
「えーどうしようかなぁ。大変そうだしなあ。何かメリットはあるの?」
「み、みなも様!? こんな光栄な事に何を……!」
私の態度にいち早く反応したのは先生だった。
「……確かにみなもの言うとおりだ。僕から様々な依頼をお願いする事が増えるだろう。神徒になれば神徒のローブを支給している。大抵の魔法、攻撃からは身を守る事が出来るだろう」
「ローブもそうですし、何よりも神様からの直接の命令を遂行できるのですよ! これ以上のメリットは存在しませんよ」
先生は私に向かって熱弁している。
「うーん。大変なだけなら嫌だし、魔法と攻撃に強くなってもなぁ……ッ!?」
私はもう少しだけ神様をからかってやろうと思ったけどやめた。
何故なら……神様の血管がとても浮き上がっていたからだ……。
「嘘です。是非神徒にしてください」
「……みなもよ。感謝する」
「ふう……みなも様、ひやひやさせないで下さい。恐れ多い……」
「ではまた近いうちに召集する事になるだろう。二人とも神の祝福があらん事を……」
「心得ました」
「はい!」
「では元の場所に帰そう。みなも、君には少しだけ残って欲しい」
「え? いやぁ、先生と一緒に帰る……ますよ! 先生一人で戻るの寂しいでしょ?」
「戻った先は自宅ですし、結局別の所になりますよ。神様からの特別指令ですかね……! 羨ましいです! さぁ私に構わず行ってきなさい!」
「そ、そんな……」
「では、クリウェよ。また会おう」
そういってクリウェは帰っていった。
・・・
・・
・
「あの……神様……?」
神様は自分の顔を右手で押さえながら不気味に笑っている……。
「ふっふっふ……メス豚の分際で、素晴らしい態度だったな! この僕の前で!!」
「あ、あはは……ち、違うの!」
その瞬間、私は一瞬にして白い鎖にぐるぐるに巻かれ宙に浮いた。
「何が違うんだ? 言ってみろ」
「で……出来心なんです! たまっていた恨みを……その……」
「恨み? なんだそれは。神である僕にして頂いた事は全て感謝し、受け取れ」
「うう……何その暴挙……!」
「これから起こる事も全てな……!」
神様は羽の様なものを持って私に近づいてきた……。
そして、私は鎖で両手足を広げられている……!
その羽は私の脇に向かってにじりじりと寄ってきた。
「い――ッ
――いやぁー!」
みなもの声はしばらく鳴り響いた。
・・・
・・
・
――自宅
「お姉ちゃん……大丈夫か……?」
床でぐったりした私をシアは心配そうに声かけた。
「だ、大丈夫……ちょっと今日は休むね……」
一生分笑った……全身が痛いし喉も痛いし、顎が外れそうだ……。
ゆっくりと自室に戻り、ベッドで休むことにした。
・・・




