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4話 思っていた能力と違う

「さぁそこに座れ」

「はい……」


 私は言われるがまま、椅子に腰かけた。

 神様は私の額に手を掲げると、その手は眩しく光った。


――シュゥゥ……


「完了だ」

「え? もう終わり?」


 特に痛み等は一切なく、少し光っただけだった。


「ああ、代わりに! シンセの好きな食べ物を教えろ。シンセ、自分の話は一切してくれないんだよ……」


 神様は悔しそうな表情を浮かべた。

 というより、知りたいのは好きな食べ物って……可愛い質問だな!


「ええ、でも私の書いた願いとかちゃんと……なってるの……?」


 あまりの呆気なさと実感の無さに、能力がきちんと付与されたのかが分からない。

 やったフリをしただけ……なんて事もありそうで怖い。


「もちろんだ。ここに描いている通りの能力を貴様は得ている」


 そう言って、最初に書いた紙を私に手渡してきた。


「全然実感が無いよ……でも、書かれている通りになって居れ――ばッ!?」


 私はそこに書かれている文字を改めて見た。

 そこには……


「イケメンからちやほやされモテモテになりたい……(魔物)!?」


 なんか不要そうな文字が増えてるんですけど!?


「あの、アラキファ様……私の書いたものと少し違う様なのですが……」


 私は神様に紙を見せた。


「最後の二文字が無ければ!」


 神様は私を指差し……

「僕も貴様を好きになってしまう可能性がある。考えただけで反吐が出る。なので改変した」

 と大きめの声で言い放った。


「えー!」

「嫌ならその場で粉々になるか死ね」

「いやどっちも死ぬじゃんそれ!」

「さぁ早く好きな食べ物を教えろ!」


 神様は前のめりで私に質問してきた。


「えー……でもちゃんとやってくれてないし……」


 この能力に不満がある私は、訂正するように伝えようとするも……

 続きを話す前に、アラキファは私の頬をぶにゅっと掴んできた。


「貴様……調子に乗るなよ? この世界で生きられるよう、加護は言われた通りにした。だが、能力付与に関しては何も言っていないだろう?」


 神様は静かにとても怒っている……それがすぐに見て取れた。


「はい……調子に乗ってずいまぜん……」


 私はこれ以上の事を言うのを諦めて謝罪した。

 すると、神様の表情は元に戻り、改めて私に問うた。


「分かればいいのだ。さぁ好きな食べ物はなんだ!」


 とにかく、早く帰りたい……そう思い始めた私はさっと質問に答える事にした。


「お父さんはたこ焼きが大好きだよ。たこ焼きの材料を自分で買って家で作ってたくらいだし……」


 神様は私の言葉をノートに控えた。

 その表紙にはシンセの秘密! みたいなことが書いていたが見なかったことにする……。


「ほう……よくやったぞ。じゃぁ用件は済んだな? 帰れ」


 さっと書き終えた神様はノートをパタンと閉じながら言った。


「ええ……まぁ帰りますけども……」


 またブツブツ何かを一人で言っている神は置いといて……私はそのまま扉を越えて帰っていった。


・・・

・・


「お、みなも! どうだった?」


 座って待っていたお父さんが、駆け寄ってきた。


「うん……何とか無事に終わった……かな?」

「なんだか納得していない感じだね……?」


 お父さんは鋭いな……能力に関しては不満はあるっちゃあるけど、それをお父さんに言ってそこから神様の耳に入ったら怖い……!


「ううん! そんな事無いよ! さ、お家に帰ろ! 今日はなんだか疲れちゃったよ」


 私は話題を変える様に言った。実際になんだか疲れちゃったけれど。


「ああ、そうだね。荷物も整理できてないし今日はそれを片付けて、ゆっくりしよう」


 お父さんはその場でゲートを開き、私達は一瞬で家へと帰って来たのであった。


・・・

・・


「みなもの部屋なんだけど……こっちへ来て」


 戻ってきたのは、元の場所であるバルコニーだった。

 辺りが少し暗くなっており、私達はそのままバルコニーを後にした。

 バルコニーを出た先には真っ直ぐの廊下があり、左手の扉はさっき私が寝ていた部屋である。

 この廊下にはその扉の含め、左右に4つづつ扉が綺麗に並んでいる。

 お父さんは先ほどの部屋の対面にある扉を開き、私をその中へと招いた。


「え……! ここは?」

「みなもの部屋だよ! 家具とかも一通り揃えておいたけど、他に必要な物があったら言うんだよ?」


 その扉の先にある部屋は50畳程の広さで、机やベッドなど必要な物をあらかた揃っていた。

 家具やベッドは全て白とピンク基調になっており、女の子の部屋! って感じだ。

 私の好きな色は青系だけど、これはこれで素敵な部屋だ!


「凄く広い……ありがとう!」

「家具とかも一通り揃えておいたけど、他に必要な物があったら言うんだよ? 気に入らなかったら取り換えるから言ってね」


 取り換えるって……そんな簡単に取り換えられる物でもないよね……!


「ううん、すごく気に入った! ありがとう!」

「よかった」


 お父さんはそう言ってほほ笑んだ。

 もちろんレン様の顔でだ……惚れてしまうわ!


「じゃぁ軽く家の説明をしておくね」


 そうして簡単にこの城……家の説明をし始めてくれた。

 どうやらここは2階のようで、1階にリビングとトイレと浴場があるそうだ。

 この廊下を真っ直ぐ行くとT字路になっており、左右どちらからでも末端まで進むと階段があり1階へと降りられる。

 階段に向かう際に扉の先には食堂とキッチンがある。


 リビングと食堂が分かれてるのも驚きである……。



・・・


 一通り話を聞いた後、軽く部屋の家具などを確認し浴場へと向かった。

 お風呂場は浴場というよりは、大浴場だった。

 銭湯に来たのかと錯覚してしまう程だったよ……。


「はぁ~ふっかふかなベッドだぁ」


 その後、私は部屋に戻りベッドに飛び乗った。

 綺麗な景色に囲まれて、大きなお風呂、大きな部屋……本当に最高な環境だけど……。


「スマホが恋しい……本当にこっちへ来て良かったのかな……ほぼ勢いで来たけど」


 今日一日忙しかったこともあり、そう言った事を考える隙間は無かったが、

 こういった落ち着いた時にふと前の世界が恋しくなる。

 主にスマホだけど……。


「もう来てしまったんだから前の世界の事を考えても仕方ないか。さーて! 明日から何しようかな」


 そんな事を考えている内に私は眠りについていた。

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