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47話 休憩

「これは……」


 フロアに入ると、無数の大きな爪でひっかいたような跡が目立った。

 中央らへんでは神徒は倒れている。

 多分絶命しているだろう……。


 そして、フロアの隅の壁にもたれかかる様に座っている狼の姿があった。

 だが、ブルーラインウルフとは違うもっと人に近い姿だ。

 何というか、完全な狼男の様な姿……。

 でも私はその狼が誰なのかをすぐに理解できた。


「グート!? 先生あそこに!」

「!? あの姿は……!」


 二人はすぐにその狼の近くへと行った。


「グート、大丈夫ですか! 今回復しますからね! ヒーリングライト」


 先生はすぐに構えて魔法を発動した。

 ヒーリングライト、自然治癒能力を活性化し、傷を早く治すと言うものだ。


「う……先生……」

「グート、動かないで下さい」

「すまねえ、赤いカマキリみたいなやつ二体と人が一人……苦戦しちまった」


(赤いカマキリ……ブラッドクロスマンティスが二体、それに神徒まで……それをたった一人で……!)


「グート! すぐ治るからね!」

「み、みなも……何でか分かんねーけど、お前にこの姿は見られたく無かったな」

「何言ってるの! その姿も凄くカッコいいよ!」


 そういうと、グートは顔を赤らめ、そっぽを向いた。


「変な事言うなよ……」

(何でだ……みなもを見ていると……凄くドキドキしてしまう。あいつの為なら俺は何でも……)


「グート?!」

「みなも様。大丈夫です。少し寝ただけです」

「はぁーよかったあ」

「時期にこの姿も元に戻るでしょう」

「ねぇ先生。グートのこの姿って……」

「これは、獣人族の必殺技みたいなものです。[ユニオン]という特技で、グートが使うのは[ユニオン-ウルフ]と言います」


 特技:ユニオン

 自身が使役する魔物のと融合し特性を最大限まで引き出す。

 融合できるのは自身の身体に近い特性を持つ魔物だけである。

 グートは狼系統の獣人族な為、狼種とのユニオンが可能である。


「強力な特技ですが、使用後はこうやって魔力と体力の殆どを持って行かれます……」

「そうだったんだね……私の[レジストレント]みたいな感じだね」

「まぁイメージとしては近いですね」

(普通なら、こうやって大きなリスクを伴う[他者の力を借りる]系の技。みなも様の魔法は、見る限りリスク無しで魔物が生きている限りずっと借りられる……とんでもない魔法です)


「さて、私も平気な顔をしてますが、結構死にそうです。少しだけ休憩しましょう……」

「ええ!? 早く言ってよ先生!」


 そうして少しだけ休憩する事になった。


・・・

・・


「あれ、そう言えば私のカバンが無い……」

「カバンですか?」

「うん。少しだけ薬品と食料を入れてきたの。マゴちゃんに吹き飛ばされた時に外れちゃったかな……薬を使う方が治りが速いよね……」


 私は立ち上がり、マゴちゃんと共にカバンを取りに行く事にした。


「横のフロアだし、さっととってくるよ!」

「わかりました。気をつけて下さいね」


・・・


「あった! 中身が飛び散ってる……」


 私はカバンの中に、散らばった薬などを詰め込み終えた後、すぐに走って二人も元へ向かった。


 だが、その二人がいる部屋の扉があった場所に少し違和感を感じた。


「マゴちゃん、ちょっと静かにしてね……」


 大きな足で地面を踏まれたような跡が……。

 

 それに……話し声が聞こえる。


「……何か聞いた事がある声……」


 私はゆっくりと隙間から中を覗いた。


「誰かいる……」


 後ろ姿で誰かは分からない。ガタイのいい男が話をしている。


「ふむ。侵入者は二人。てっきりみなもちゃんも来ると思ったんだがのう」


 その話し方と声で、私はすぐに誰か分かってしまった。


「ガウレス……!? 何で……?」

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