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42話 助太刀

――神の間


「こ、ここは……」

「突然の招集で混乱しているだろう。クリウェ=フィール」


 銀色のツンツンヘアーの青年は椅子に腰かけながら話した。


「この……神秘的な場所は……」


 すると、青年は立ち上がると共に大きな白い翼を自身の背に出現させた。

 その姿を見たクリウェは一瞬で目の前の人物が誰かを把握し感涙した。


「その神々しき翼……貴方は神様ですね……。私などがお目にかかれるなんて……」


 クリウェは膝をつき、最敬礼の姿勢をとった。


「クリウェよ。呼んだのには理由がある。時間がない。勇者達を救ってくれ」

「勇者たちに何かあったのですね」


 そうして神様はクリウェに現況の説明をし始めた……。


・・・

・・


「どう見てもここを指しているよな……」

「だね」


 今立っているのは玉座手前の部屋に当たる、闘士の間跡地である。

 現状何もない更地の様になっているが、闘士の間に使われていた頑丈な黒い岩の床は残ったままだ。


 その中心をMAPは指していたのだ。


「床に仕掛けでもあるのか……?」

「うーん……見当もつかないね」


 床を叩いてみたり、空を見上げて見たりするも変わった様子は無い。


「あ!」

「ん、何か分かったのか?」

「いや、多分だけどね……この真下にきっと異色の扉はあるんだよ!」

「まぁそうだろうな。そのMAPが正しければ」

「でも入り口はここじゃないんだよ。ダンジョンの入り口が他にあるはずだよ」

「あーなるほど。たしかにMAPじゃ上下の位置は分からないもんな。どこかからダンジョンに入って扉に辿り着いたら子の位置なんだろうな」

「深いのかな? 掘って行けるような場所じゃないよね……」

「無理だな。この床は硬すぎるし、どれだけ深いか検討もつかない。そもそも、ダンジョンか……今更だが危険すぎじゃないか?」

「深淵のダンジョンね……」


 今思えば肝心な事を色々聞き忘れている……。

 深淵のダンジョン最下層がどれくらい下なのか、どれくらいの時間がかかるのか……。


「入り口も分からないし、深さがどれくらいとか、時間がどれだけかかるとか一切分からない……もう! もっとちゃんと聞いとけばよかったよ!」

「では、ここからは私も同行しましょう」


 突如後方から一人の男性が現れた。

 その姿は見慣れた者であった。


「……クリウェ先生!!」

「話は大体聞かせてもらいましたよ。異色の扉に行くのですね?」

「そうなの! グートと一緒に行こうとしてたよ!」

「グート、久しいですね。魔法はしっかりと使いこなせてますか?」

「先生……おかげさまでしっかり使えている」

「あれ、グートと先生は知り合い?」

「そうですね。昔、グート君の先生をしてましたよ。あの頃は荒れに荒れてましたけどね」

「先生……それは何度も謝ってるだろ! 本当、あんな俺を最後まで見てくれて感謝してるって!」

「ふふ。みなもさんにもあの頃のグート君を見てもらいたいですね」

「先生……もうその話はやめようぜ……」


 グートは先生の前で小さくなっている。

 昔は不良だったのかな? グートって……。


「さて、おしゃべりしてる場合ではありませんね。現況を教えてください。みなもさん、凄い魔力を感じますがたこやきの耐性を借りられた……とかでしょうか?」


 流石先生……どうなっているかを瞬時に見抜いた。


「うん、先生の言う通りだよ」

「そうですか。正直、その状態のみなもさんじゃなければ直ちに帰らせようと思ってました。ですが、その状態であれば大体の魔物の物理攻撃は防げますね」

「うん! 盾になれるよ!」

「馬鹿、そんな事させねーよ。俺と先生でしっかり守ってやる」

「グ、グート……!」


 少しだけきゅんとしてしまった……グートに! なんか悔しい……。


「みなも様、授業でもやりましたけど、たこやきの魔法耐性は魔法を打ち消すだけで、魔物の吐くの炎などの特技は防ぎませんからね。そこだけは注意してください」

「そ、そうだったね……!」


 魔物は基本的に魔法を使わない。言葉を話せないから……だったね!

 危ない……ドラゴンが吐く火とかに飛び出すところだったよ……。


 その後、一通り現況を把握した先生と入念に打ち合わせを行い、いよいよ出発の時となった。


「いやーでもダンジョンって深いんだね……最下層まで何週間もかかるなんて……」

「みなも様、今からでも引き返せます。入る前に決めてくださいね? 無理強いはしません」

「先生! 何言ってるの。私ももちろん行くよ! 何カ月かかる場所だったとしてもいく! 皆を助けたいの……!」

「俺はそいつらをあまり知らないけど、ついて行くよ。一人でも多い方が良い。危険なダンジョンならなおさらだ」

「……二人とも素晴らしい心意気ですね。まだ若いのに……わかりました。危険な事があっても私もいます。絶対に大丈夫です」


 お父さん、シア、ガウレス……待っていてね!


・・・

・・


「先生、この目の前の魔法陣は?」


 先生は小さな祠のような場所に私達を連れてきた。

 地面には魔法陣が発生しており、淡く光っている。


「これは勇者様が設置した転送魔法陣です。これでほぼ最下層まで一気に行きます」

「え? ……ええええ!」


 グートと私は声を合わせて叫んだ。


「先生! じゃぁさっきの話は何だったんだよ!」

「そうよ! 何週間もかからないでしょ? 一気に行けるなら!」

「ふふ。君達の覚悟がどれくらいか……試させて頂きました」

「……そういう所は変わらないな。先生……」

「半端な覚悟では本当に命を落としかねません。最下層……何があるか分かりません。危険な場所に行く資格があるか……私は見る必要がありました」

「とりあえず、ここに一緒に来たって事は合格って訳ね! グート、頑張ろうね!」

「ああ。ここまで来たんだ。全員助け出すぞ」


(いい目をしてますね……さて、最下層に皆無事に居れば良いのですが……)


 先生は静かに二人の姿を見た。


(最悪、二人は私の魔法で逃がせます……出来る限りのことをしましょう)


 そうして私達は魔法陣に乗り、転送をし始めた。

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