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26話 魔力の目覚め

 これを食べれば私も魔法が使える様に……代償とかあるのかな?

 でも先生が危ない物を進めてくる訳ないし……それに……


・・・


 みなもはこれまでの事を思い出していた。

 大ガラスに襲われた時、たこやきが暴走した時、

 そして、レッドラインウルフに襲われた時……。


(全部守ってもらってばかりだった。私より小さなシアにさえ守ってもらっていた……)


 すぐに怖い魔物などに対する恐怖感などは拭えるとは思えない。

 だけど、対抗する術……魔法を覚える事が出来れば、私自身が強くなればその恐怖感も消えるかもしれない。


(ていうか折角異世界に来てるのに魔法ぐらい使わせてよ!!)


 そう考えたみなもは意を決して目の前の葉を取り、口へ放り込んだ。


「おや、思いっきりが良いですね」


「……に、苦い……ッ!!」

「頑張って飲み込んでください!」

「う……う……ぇ」


「みなも! 頑張れ!」


 突然お父さんが後ろから声を掛けてきた。


――ゴクン!


「の、飲めた!」

「すごいね、みなも! 父さんは2回程吐いてしまったのに!」

「げほ……てかお父さんもこの葉っぱ飲んだの?」

「ああ、魔法を使う為にね」

「いや、それ教えてよもっと早く! 私だって魔法使いたいよ!」

「無知なまま魔法を覚えさせるわけにはいかないからね。しっかりと勉強してから……そう思ってたんだよ」

「な、なるほど……」


 無知なまま魔法を覚えると言うのは、なんの知識もないまま銃を持つような物なのだろうか……。


「とはいえ、まだ魔法の種類とかしか覚えてませんから、もっと勉強してから魔法は使いましょうね」

「わかりました先生! ……うっ」


 その瞬間、少しだけ頭がズキンと痛くなった。


「みなも様! 大丈夫ですか?」

「うん……一瞬だけ頭が痛く……」


 あれ……なんだろう、景色が……。


「みなも様、どうかしましたか?」

「いや、何ていうんだろう……周りの風景がさっきと違って見えると言うか……」


 違う……という表現で良いのか分からない。別に景色の色が変わったとか、見にくくなったとかそう言う訳では無い。

 何というか……深度が増したと言うのだろうか……形容し難い感じだ。


「それはきっと、魔力を感じられるようになったんですよ! 無事に呼び覚ませたようですね」

「なるほど! さっきより景色が綺麗に見えるよ。いいね! 魔力を感じられるって!」


 その瞬間、背中が少しざわつく感じがした。


「たこやき!」


――ブォン!


 たこやきが輝きながら流動している。


「な……たこやきから凄い魔力を感じますよ……一体何が……」


 そのざわつきの正体はたこやきから発せられた魔力だったようだ。すでに魔力を感知できるようになったのかな! 私!


「たこやき……食い過ぎか? 大丈夫か?」


 シアが心配そうにたこやきをなでなでしている。


「シア、ちょっとだけたこやきから離れて」


 お父さんはシアを後退させた。


 その瞬間、たこやきは大きく飛び上がり、その場で着地した。

 そして……。


「うわぁ……!」


 たこやきの周囲から光が伸びて行き、魔力の木の芽がぴょこぴょこと芽吹いた。

 たこやき……もしかしてト〇ロか何かだったの!?


「凄い……レッドラインウルフのせいで荒れていた所も、緑で溢れ出している……」

「がっはっは! 綺麗な景色じゃ! こんなの初めて見たぞ!」


 そして、魔力の木から、青く光る綺麗な花が沢山生え始めた。


 こっちに来てから幻想的な景色ばかりに出会えるな……。

 くそー! SNSにアップしたいなー! 

 そんな事を思う、みなもだった。

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