21話 魔王の血
――ブォン!
スライムはそのまま上空へと飛んだ。
「シア! 逃げて!」
「嫌だ!!」
その時、シアの頭の角が紫に光始めた。
――バチンッ!!
スライムプレスは紫の半透明のバリアによって弾かれ、スライムはそのまま転がり落ちた。
だが、まだこちらを襲おうとしている。
「え? 何が起こって……」
そしてシアはそのスライムに近づき、手をかざした。
「膝まずけ。我を誰だと思っている」
「シア……?」
――バシン!!
その瞬間、スライム全体に稲妻が走り、大人しくなった……。
・・・
・・
・
「ん……お姉ちゃん?」
「シア! 良かった目が覚めたんだね!!」
その事件の後、シアは気絶してしまった。
その時、その場から移動させてベッドに運ぼうとしたが……。
――ぷるんっ
「シア様大丈夫ですか!! すいません遠くから! シア様に近づくとスライムが攻撃してきて近づけないのじゃ!」
「私だけ大丈夫だったけどね……でもこの状況、どうしよう……」
するとシアはスライムの前に立った。
「シア様!? スライムに近づくと危ないですぞ! 少し触れただけでめちゃくちゃ吹き飛ばされますぞ!!」
ガウレスの心配をよそに、シアはスライムに触れた。
「たこやき。ガウレスたちはシアの友達だから」
すると、スライムからは一切の敵意を感じなくなった、
「シア様……?」
「ガウレス! もう大丈夫だよ!」
シアがそう言うのでガウレスは恐る恐る近づいた。
「おお、攻撃されないですぞ……」
「凄いよシア! この子に命令できるんだね!」
そうしてとりあえずは一件落着した。
・・・
「この度は大変申し訳ありませんでした。お客様にこのような被害が出てしまうなんて、全面的にこちらのせいで御座います……」
「いやいや、結果的に怪我がなくてよかったですぞ」
「お客様……お詫びと言っては何ですが……どうか好きな動物・魔物をお持ち帰りください。こんな事で許されるとは思いませんが……」
「ええ!? そんなの悪いよ!」
「いや、せめてものご対応です……お願いします。この位はさせてください」
「じゃぁ……お言葉に甘えさせてもらおうかの」
「シア、好きな子を選びなよ!」
シアにそう聞いた瞬間、シアはさっきのスライムを指差した。
「たこやき。こいつを飼う!」
「え……この暴れスライムで良いんですか……?」
テイマーは少し困惑している。
「こいつ以外考えられない! ガウレス、お姉ちゃん! いいでしょ?」
シアは必死な目で問いかけている。こんな目で頼まれたら……。
「分かりましたぞ。この子を家で飼いましょうぞ」
「シアがそこまで言うなら反対する理由は無いね……!」
「わーい! 有難う二人とも! たこやき! 帰るぞ!」
――ぷるんっ
「てかシア……この子の名前、たこやき?」
「うん!」
まぁ色は似ているけど……シアが決めたならそれでいいか!
「では、帰りましょうか二人とも!」
「はーい!」
「うん!」
そうして私達のペットショップ巡りは終了。
お家には新しい家族が増えた。
・・・
・・
・
――帰宅中
「二人ともよく眠っている……」
ガウレスはナブートを操縦しながら呟いた。
(しかし……スライムと対峙した時のシア様の光……)
(魔物の頂点……魔王だけが使える・・…絶対服従"魔王の威厳"のようだった……)
ガウレスはシアの魔王の片鱗を垣間見た……そんな気分だった。
・・・
・・
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