20話 入場!
「みなもさん……ですか! 凄いですね。一発合格とは!」
「えへへ」
「これで皆さまご入場できますよ。さ、どうぞ」
「やったあ!」
「みなもちゃん。本当に助かりましたぞ……!」
「あ、ガウレスさん」
入場する時、ガウレスは受付に呼ばれた。
「まだ何か?」
「ゴールドライセンス……切れたままドラゴンを飼っていると罰則がありますので、お気をつけてくださいね?」
「え!? がっはっは! 大丈夫じゃよよよ!」
「ガウレスー! 早く来てー!
「では受付の方! 呼んでいるので吾輩はこれで!」
ガウレスはそそくさとその場を後にした。
・・・
・・
・
「凄い種類の魔物と動物だぁー」
入場すると大きなマップが設置されており、どこにどんな魔物や動物が居るのかをざっくりと記載している。
ここまでは完全に動物園である……。
違いがあるとすれば、名前の横に値段が書いている事くらいか。
「シア、気になる子はいる?」
「うーん……」
「まぁ折角来たんじゃ。全部見て回ってみようかの!」
「そうだね!」
そう言って私達は全く買う予定の無い大型種から見ていくことにした。
「うわー大きい!」
「この子はグリズリー種ですな。このショップでは一番大きいサイズですぞ」
「ちょっと怖いな……完全に熊だもんね……」
最初に来たのはグリズリー種が展示されている場所だ。
大体、全長3~6mの熊みたいな魔物が生活している。
注意書きの所に、この場所のグリズリーは熟練テイマーの調教により大人しく、あまり危険はありませんが、野生のグリズリー種に会ったらすぐに遺書を書いて遠くに投げましょうって書いている。
もう会ったら死ぬって事なんだろうな……。
そして、値段は一番安くて白金硬貨20枚……白金硬貨ってなんだろう?
「ガウレス、白金硬貨って何?」
「あまり目にかかる機会がない硬貨ですな……金貨10枚分の価値がある硬貨ですぞ」
「ほえ~」
つまりこの熊さんは200万円……! 高いけどその位はするだろうな……という感想だ。
・・・
「こっちはウルフ種、あっちが大ガラス種ですな」
道なりに進むと、狼とカラスの魔物の展示場所が見えてきた。
「うわ……大ガラス種にはいい思い出が無いよ……」
「シア様、この2種はどうですかな?」
「うーん……違う」
ガウレスはこの2種を提案したけど、まだ結構大きいサイズじゃない? この子達……。
そんな感じでドンドンと見て行き……
「ひー! 骨のお化け!!」
「こいつはスケルトン種ですな! こいつを手懐けるのはなかなか骨なんですぞ……」
「え? 骨……え?」
「いや……なんでもないですぞ……」
・・・
「みて! ラビット広場だって!」
「ここが最後ですな……とりあえず入ってみましょう。シア様」
「うん!」
・・・
「ミィミィミィミィ!」
「ああ~幸せ……もふもふ……」
私は、ラビットにかなり好かれるようで……何十匹ものラビットは私に集まりすりすりして来ている……。
「シア様、飼いたい生物はおりましたかな?」
「うーん……」
「シア! このラビットはどう? 懐っこいよ!」
「うーん……!」
結局、シアは全ての魔物・動物を見たけど、お気に召した子は居なかったようだ……。
――ガシャン!!!
「え、何?」
突如、何かが割れるような大きな音がした。
「まずい! 調教中のスライムが逃げ出したぞ!!」
テイマーらしき人が大声を上げている。
「え、ちょっとこっちに来てない!?」
「みなもちゃん! 吾輩の後ろへ!!」
小麦色のスライムは興奮状態なのか、そのままガウレスに突っ込んできた。
「この色……チューイースライムか! くっ!」
ガウレスは身を挺してスライムのタックルを受けてくれたが、想像をはるかに超える勢いで吹き飛んでいった。
――ドガン!!
「ごふ……」
「ガウレス!?」
スライムはそれにより一時停止したが、みなもの目の前で止まっている。
「こっちを見てる……? 目がないから分からないけど……」
スライムはぐぐっと下に小さくなっていく……。
「みなもちゃん! 逃げるんだ! スライムプレスが来るッ!!」
「そんな……怖い……足が動かないよ……!」
初めてリアルに感じる死の予感……
私はただただ恐怖を感じることしか出来なかった。
「お姉ちゃん!」
「シア! 危ない!!」
その時、シアが私の前で両手を広げた。




