17話 家庭教師
――朝食時
「シア様、朝食を食べ終わったら読み書きの練習ですぞ」
「えー今日もやるの?」
「もちろん! その勉強が終わったら美味しいおやつが待っておりますぞ!」
「じゃぁ頑張る!」
私はそのやり取りを見ながら、ご飯を食べていたが……ハッとした。
「そう言えば、私こっちに来てから勉強とか全然してない……!」
こちらに来てからはショッピングに言ったりだらだらしたりと自由気ままに生活している。
「みなも、その事なんだけど……」
「うん?」
「読み書きはあの儀式のとき出来る様になったけど、こちらの世界の事をあまり知らないだろう?」
「そういえば全然知らない……元々魔王とかいて大変だったとしか……」
「だから、そういった事も含めて勉強できるように、家庭教師を知り合いに頼もうかと思ってるんだけどどうかな?」
「家庭教師!」
たしかにこのまま勉強も何もせずに、だらだら過ごしてしまったら自堕落になってしまう気がする!
シアが勉強を頑張っているのに私だけ遊ぶわけにもいかないな……
「お父さん! ぜひお願いします!」
「おお、乗る気でよかったよ。じゃぁ今日のお昼から早速お願いしようか!」
「早速だね! うん、頑張るよ!」
・・・
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「どんな人が来るのかな~」
ドキドキしながら待っていると、扉の鐘が鳴った。
「お、来たようだね。みなも、ここで待っててね」
シンセは玄関へと迎えに行った。
少しした後に、二人で戻ってきた。
「失礼します」
「はわわわ……」
一目でわかる長い耳のエルフ族、超美形で眼鏡をかけている。
ロングヘアーで金に近いクリーム色をしている。
白基調のローブがこれでもかって程、似合っている……!
「おや、貴方がみなも様ですね。私はクリウェ=フィールと申します。これから貴方の先生になります! よろしくお願いしますね」
「は、はい! みなもです! よろしくお願いします!」
「本当に引き受けてくれてありがとうクリウェ」
「いえ勇者様。私の仕事は家庭教師……勉強をしていない子を放っては置けません」
「頼もしい限りだよ」
「それに、勇者様には遠征中の父を救って頂いた恩義もあります。是非引き受けさせてください」
「ありがとう。国王は元気になったかい?」
「ええ。おかげさまで父は元気になりましたよ!」
うん……? 国王と父の単語が飛び交っている……。
国王……イコール父……?
え……つまりこの人って……!
「あの、クリウェさん……貴方のお父さんって言うのは……」
「え? 私の父はフィール王、エルフ国の王ですよ」
クリウェさんは笑顔で答えた。
「そんな凄い人が私の家庭教師!? た、大変恐縮で御座います……」
「あはは、聞いていた通り元気な子ですね。畏まらないでください。国王の息子ですが仕事は家庭教師です。どうか先生って呼んでくださいね?」
「は……はい……」
お父さんが連れてくる人は大体凄い人だ……変に緊張しちゃうじゃん!
でも……それ以上に凄そうな神様に会ってるわけだし……何とかなるよね!
頑張れ私!
・・・
・・
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そうして私はクリウェ先生の元、しっかりと勉学に励んだ……。
「さてみなも様、初日から結構詰め込みましたが、大丈夫でしたか?」
「うん! 先生の教え方凄く分かりやすかったよ!」
「ふふ、有難うございます。では最後に復習です! この中央神国以外にどんな国がありますか?」
「はい! エルフの国[フィール]、ドワーフの国[ゴッズ]、獣人の国[レーガリ]の三国! 国王のラストネームと国名が一緒なんだよね!」
「流石です、良く出来ました!」
「えへへ……」
今日は科目で言うと社会になるのかな?
それぞれの国の特徴などを教えてくれた。
出てくる国名とかがあまりにも現実と異なるせいもあって、まるで絵本の内容を聞いている気分になった。
そのおかげで余計に頭に入ってきたけども!
「では今日はここまで! また次回も頑張りましょうね!」
「はい、先生!」
「では、ここで失礼しますね」
そういって先生は帰っていった。
次回も楽しみだけど……次はいつなのか聞くの忘れちゃったな……。




