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14話 ようこそガウレス!

「んで、改まってどうしたんだい? ガウレス」

「ええ……吾輩、5年前からずっと決めていたことがありまして……」

「仕事に誘った頃だね……」

「勇者殿! 吾輩を貴方の元で働かせて欲しいんじゃ!」

「ええ!?」


 お父さんはかなり驚いていた。


「勇者殿、見る限りまだまだご多忙の身だと思います。何かと留守にすることが多いでしょう」

「まぁ……そうだね……」

「勇者殿がご不在の時! 吾輩がこの家を守りますぞ!!」

「おお、それは有難いような……しかし……」


 お父さんはそう言いながらシアが朝食をがつがつ食べている姿を見た。


「吾輩は料理も出来ますぞ! シア様、みなもちゃんの舌に合う料理をしっかりと作れる!」

「たしかに……シアがあんなに美味しそうにご飯を食べるのは初めて見るよ」

「屋台通りも吾輩がいなくともしっかりと運営できております。これも全て勇者殿の元で働く為の準備……どうか!」


 お父さんはかなり迷っていたが、ガウレスが懇願する姿を見て決心したようだ。


「わかった。正直かなり助かるよ。実際家を空けてしまう事が多い……執事として働いてもらえるかな?」

「ええ! 喜んで!」


 そうしてガウレスとお父さんは固い握手をした。


「お姉ちゃん、毎日ガウレスのご飯が食べられるの?」

「うーん。そう言う事だね!」

「やったあ!」


 シアは両手を挙げて喜んでいた。


・・・

・・


「じゃぁごめん皆、昨日の事を報告に行かなければならなくて、また出掛けるよ。二人ともしっかりとガウレスの言う事を聞くんだよ」

「はーい!」


 そうしてお父さんは朝食を食べて少し休憩した後また出掛けてしまった。


 そして現在……


「おおシア様! うまいですぞ!」

「えへへ!」


 シアは前回りしたり空中でジャンプしたりしながら遊んでいる。


 ガウレスはすっかり執事の様な姿に変貌しており、無造作だった綺麗な白髪は[ソフトモヒカンxオールバック]になり、

 英国執事の服をバッチリ着こなしている。


「そうだ、みなもちゃん。シア様は吾輩が見てますから、今日もショッピングに行かれますか?」

「え?」


 ガウレスは唐突に一人ショッピングを提案してきた。

 確かに、シアの事ばっかり気になって、行きたい所は何カ所もスルーしてたけど……。


「昨日、行きたそうにしていた店が幾つかあったでしょう?」

「え! そ、そんな事は……」

「吾輩達の事は気にしないでくだされ。それに……子連れだと入りずらいお店もあるでしょうに」


 ガウレスは小声で何か言ってきたけど……私の行く店は全部子連れでも行けるって!!


「そんな所には行かないけど! でもお言葉に甘えて行ってみようかな……」

「ええ、是非そうして下され。そうだ、これを渡しておきましょう」


 ガウレスはそう言って笛のついた首飾りを手渡した。


「これは?」

「吾輩のドラゴン、[ナブート]を呼ぶ笛じゃ」

「ナブート……って昨日乗せてくれたあの子?」

「その通り! みなもちゃんのいう事ならしっかりと聞くはずだ。行き帰りは是非乗って行ってくだされ。後、身の危険を感じた時もすぐに鳴らすんですぞ!!」

「わかった! じゃぁお言葉に甘えて行ってくるよ! シア、いい子にしておくのよ!」

「分かったよお姉ちゃん! 行ってらっしゃい!」


 シアは寂しがることも無く、元気よく送り出してくれた。

 何となく複雑な気持ちになったみなもであった……。


「さて、吹いてみようかな」


 みなもは開けた場所に移り、ガウレスから預かった笛を思いっきり吹いた。


――ピー!


「グォォ!」

「おお! 早い!」


 笛の音が鳴って30秒もしない内にナブートは私の前に現れた。


「キュウー」

「あはは、キュゥって鳴くのね! 可愛い!」


 みなもはナブートを心行くまで撫でまわした後、背中に乗った。


「ナブート! 商業特区までお願い!」

「グォォー!」


 ナブートは翼を広げ、私を乗せて飛び立った。


・・・

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