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10話 楽しい買い物

「これで商業特区まで行くよ!」


 みなもが指さしたのは、魔動車両だ。

 形状は電車の様に数車両で編成されており、国の外壁の内側に沿ってぐるっと回っている。


「おお……!」


 その車両を見てシアは目を輝かせている。

 こういうのを見てワクワクするのは男の子の共通点なのだろうか……。


「さぁ乗るよ!」


 そういって二人は魔動車両に乗り込んだ。

 何とこの車両、無料で好きなだけ乗れるのだ。


「はやい! お姉ちゃん凄いね!」


 シアは椅子に立ち、車窓の外を見て興奮している。


「うんうん。とりあえず座席に立っちゃダメだよ。せめて靴を脱いでね」

「うん!」


 今日見たシアが今までで一番元気だ。初めてしっかりと喜んでいるシアの姿を見て、きゅんきゅんしている私だった。


・・・

・・


「うわー。混雑してるなぁ」


 商業特区で降りると、あまりの人混みに圧倒された。

 人というか……色々な種族の人がいるけど……。


「シア、私から離れちゃダメだよ? 迷子になったら分からなくなっちゃう」

「うん……!」


 シアはそう言って袖にしがみ付いてきた。

 シアもこの人混みに圧倒されたのだろう……。


「シア、服それしかないよね……私も服見たいし、まずは服屋でいいかな?」


 とりあえずでお父さんの服を着ているが、サイズは合っていないしぶかぶかだ。

 ちゃんとした服を着させてあげたい所である。


「うん!」


 シアは元気よく返事をした。

 そうして二人は服が売ってる店を探しながら、歩きはじめた。


・・・

・・


 商業特区は屋外ではあるがお店が綺麗に並んでおり、非常に見やすい作りをしている。

 この形状は、みなもがよく行っていたショッピングモールに非常に似ていた。


「まだこっちに来て間もないけど……この感じ、ショッピングモールを思い出すな~」

「ショッピングモール?」


 聞きなれない言葉にシアは首を傾げた。


「あ、こういうお店がいっぱいある場所の事をそう言うんだよー!」

「へー」


 自分から聞いてきた割にはあまり興味は無さそうだ……。

 ここに来てからシアはずっときょろきょろしている。まぁ私もだが……。


「あ、このお店よさそう! 入ろうか!」


 ガラス張りの入り口で、中がよく見える店が見えた。

 こういったお店は雰囲気が分かって入りやすい。


「わかった!」


 そうしてみなもはシアの手を引いて、改めて洋服屋の前に立った。


(このお店は見る限りは高級店ではない、大衆的な服屋……きっと貰ったお小遣いでも十分に買えるはず!)


 みなもは改めてお金の入った皮袋を見た。


 袋の中には金・銀・銅の500円玉ほどのサイズで、真ん中に丸穴が空いた硬貨が入っている。

 その真ん中の穴に専用の紐を通して、50枚づつに纏まっているから非常に数えやすい。


「それぞれ150枚づつ入ってるけど……相場が分かんないよ! 聞いておけばよかった……」

「お姉ちゃん、入らないの?」


 財布と睨めっこをしていると、シアがしびれを切らして話してかけてきた。

 その声に私はハッとしながらシアを見た。


「あ、ごめんね。入ろう!」


 改めて店内へと入っていった。


「いらっしゃいませ!」


 店内の雰囲気は中々良い。

 何よりも店員が2名しかおらず、話しかけてくる様子は無い。


「わぁ、ワンピースドレス可愛いー! 水色の奴と緑の奴が特に……てか、ワンピースドレスだけで種類いっぱいある……」


 これもこの異世界の特徴なのだろうか。

 ワンピースドレスやエレガントドレス……何というかドレスコーデが流行っているようだ。


 よくよく周りの女性を見ると、ドレスコーデばかりだ。


「浮かない様に私もこの辺の服で行こう……」


 みなもは早速、気になった2着のワンピースドレスの値札を見た。


「両方とも銀2枚……」


 みなもは一番高そうな服が展示されている場所へ移動し、その値段も見てみた。


「この一番高そうなウエディングドレスの様な奴……値段は金貨10枚……」


(お父さん!! お小遣いってレベルじゃないよこのお金の量!!)


 みなもは雑に手で持っていた巾着袋をカバンの奥底へとしまい込んだ。


・・・

・・


「シア! その服すっごく似合ってる! かわいいー!」


 シアにもそのお店でいくつか服を購入した。

 早速そのうちの一つに着替えて貰ったのだ。


「えへへ……こんな服初めて着るよ。有難うお姉ちゃんっ!」


 シアは手を開いてくるっと回った。

 真っ白のロングTシャツのインナーに、水色に近い青色のデニムオーバーオールでコーデされたシアは、とても愛らしい姿になっていた。


(弟がいたらこんな感じだったのかな~)


 そんな事を思いながらシアを眺めていると、シアのお腹がぐーっと鳴った。


「お姉ちゃん……お腹空いた……」

「そうだね。私も空いたよ! 屋台料理が集まるフードエリアがあっちにあるから行ってみよう!」

「うん!」


 そうして二人はフードエリアを目指した。

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