天より地の君へ
ある日私は空に落ちた
いつからだろうか違和感を覚えたのは。
「ねぇ天音、大地君とはどうなの?」
友達?の子がからかうように言ってきたが
「どうなのって・・別にあいつとは何もない」
そう言ってみたもののその子のにやつきはとれず。
「ねえ、次の週の土曜アキバ行かね?」
二人目が言うが
「私バイト、パス」
「えぇ、前もそう言ってたよ?」
「最近、付き合い悪くない?天音?」
「はは、ごめんごめん」
うるさいなぁ、秋葉原に行ったって何も買うものもないし、
お金ないし。
「天音は大地君とデートかなぁ?」
「は?」
何でそうなるかなぁ。はぁ、まったく・・・・。
いつからだろうか、友達がまるで別の生物のように見えるようになったのは。
大地とは幼なじみと言うこともあってこんな感じでいじられることがある。
何でも元は同じ家計だったとか。
まあ、知らないけどね
大地のことは普通の友達・・・そう普通の。
いつからだろうか違和感を覚えたのは。
「なあ大地、天音さんとはどうなんだ?」
友達?のやつがからかうように言ってきたが
「あ?天音?別にあいつとは何もねぇよ」
そう言ってみたもののそいつはにやついたままであった。
「なあ、あいつらとアキバで今度の土曜遊ぶんだけど、どう?」
二人目が行ってきたが
「俺バイト、パス」
「前もそう言ってたぜ?」
「最近付き合い悪くね?大地?」
「はは、すまんすまん」
秋葉原に行っても何もすることねぇだろ。金ないし。
家でゲームしてた方がいいわ。
「大地はほらっあれだろ?天音さんとデートだろ?」
「は?」
何でそうなんだよ・・・・はぁ。
いつからだろうか友達が別の生物に見えるようになったのは。
天音とは幼なじみと言うこともあってこんな感じでいじられることがある。
同じ家計だったとか。
まあ、それがどうしたと言うことだよ。
天音は普通の友達・・・そう普通の。
はあーーーーーーー疲れた。
ベットにいきよいよく飛び込んだ天音は疲れからか眠りについた。
あぁーーーーーーー疲れた。
布団に倒れ込んだ大地は疲れからか眠りについた。
「「やべっ、バイト!」」
バイト先、花屋{恵み}の店先にて。
「おっす」
「お・・おっす」
二人は挨拶を交わす。
「寝起きか?」
「うん・・」
「まあ、俺もなんだけどな」
「おはようございます、天音さん大地君。」
店から出てきた店主の雨宮さん。
御年七十二歳というが元気に花に水をあげている。
「「おはようございます。」」
二人も元気に挨拶した。
「いつも通りにね」
「「はい!」」
いつも通りに仕事をこなす二人
「なあ」
「ん?」
「なんでおまえもこの店なんだよ」
「それは前も言ったでしょ。おばあちゃんにはいろいろお世話になったから・・・
あんただって同じでしょ?」
「まあ、恩返しちゅうか、まあバイト代はもらってるけど」
「まあ、そういうことよね。恩があるなら返したいじゃない」
二人は昔、今ほど安定した生活が送れないときご飯のお裾分けなどしてもらったりして、
お世話になったことがあった。その分今恩返ししたいと思いバイトということで雇ってもらったが
「まさか、考えることが同じとはね・・・」
「まあ、仕方ないわな」
そんな雑談をしていたとき。
ポツン。
「雨だ」
「雨かぁ」
「あら、雨降ってきちゃったわね」
おばあちゃんが言う。
「まあ、店先の花は水あげてないからちょうどよかったかもね」
そんなことをいいながらおばあちゃんは店の奥の方に戻っていった。
「雨かぁ」
「どうしたよ?」
「いや、なんて言うか雨の日は体が・・・なんかね」
「ふーん。体調悪かったら無理すんなよ」
「ほい」
雨の日はなんだか体が変な感じがするのだ。いや別に体調が悪いというわけではないが、
何か変な感じがするのだ。
そんなことを考えていると店奥から顔を出したおばあちゃんが
「店番お疲れ様。休憩にしましょ」
「「はーい」」
おばあちゃんは急須からお茶を入れてくれ、小さな木のお皿におせんべいを入れて持ってきてくれた。
二人はこたつに入り、
「ふわぁぁ」
「暖かい」
「お疲れ様、どうぞ召し上がれ。」
「「ありがとうございます」」
パリッ。
「ねえ、おばあちゃん」
「ん?なんだい?」
天音が訪ねる。
「なんで昔私たちを助けてくれたの?」
おばあちゃんはびっくりしたような顔をするが
「それはね」と始めた。
二人は今日のような雨の日に
店前に二人でぽつんといた。まるで今そこから生まれたかのように。
おばあちゃんは「入りな」と二人を店の中に入れた。
「別にさほど意味はないと思うよ。そこに私がいて、おまえさんたちがいたから。ただそれだけ」
「「?」」
二人がいまいち理解しきれない感じなので
「雨の日に傘を差さずにただぽつんといるんだよ。そんなのかわいそうだろ?それだけ」
おばあちゃんの言葉にほっこりした二人だが
「だけどさ、いまいち思い出せんのよねその日のこと」
「あ、それ!俺も」
助けてもらったのは確かに思い出せるがなぜそこに私と大地がいたのはなぜなのかわからないのである。
「さ!休憩は終わりだよ!」
十三時を時計が指していた。
「さてといきますか」
「ほい」
二人はこたつから出て少し寒がりながらも仕事に戻った。
「おかえりー」
天音がバイトから帰るとキッチンでタマネギの皮をむいていた母が迎えてくれた。
「ただいまー」
今日はカレーかな。そんなことを思いつつキッチン横の机に突っ伏しながらスマホをいじっていた。ん?大地からLINEだ。
{おつかれ}
素直に返そうかと思ったが少し友達?の言葉思いだし少し恥ずかしくなり
{どしたん?急に}
そんな考えが錯綜する中、ピロン。
これは・・・?
送られてきたのは「雨の日に体がおかしい!それもしかして病気かも!」といったサイトだった。
「あの話か・・・・・・。」
{心配しなくても健康診断でバッチリ健康でしたよー}
そう送り
{ふーん・・・。OK。おやすみ}
なんて送られてきた。
「なににやけてんのよ」
「え!」
気づかないうちににやけ顔になっていた。
「なんでもない!」といったものの母は見透かしたような顔で見たきた。
はあ。
そんなこんなで待っているとカレーのお出ましだ。
「おいしい!」
「そりゃよかったです。お粗末様です。」
と何気ない話で不意に思い出し質問してみた。
「あのさぁ、えーっと私が今十六だから五、六歳のときってさなんかあった?手かどんな子供だった?いまいち思い出せないんだよね」
「・・・・」
母は少し悩んだかに見えたが
「元気な子だったよ・・・・・。」
「・・・・ほかには?」
母は困ったような顔をして
「それくらい」と話を止めた。
「十年前のさ、雨の日にさ恵みのおばちゃんに助けてもらったことがあるんだけどさ、
そのことでなんか知らない?」
と母に聞くが「知らない」と話を終えた。パパ今日も遅いな・・。
週明けの月曜。一時間目は体育だった。
「今日は高飛びやります」
「「えーーー」」
一時間目で体育そして高飛びというやる気の乗らない二段構成にクラス一同が気落ちした。
天音の番。ポツン。雨だ。
「雨ですよ!先生!」とクラスの誰かが言うと
「まだ小雨だ続行!」なんて言うのであまり力を入れずにとんだ。
ん?飛べた・・・・。
「すごいよ天音!あの高さ飛んじゃうなんて!」
・・・・違和感があった。何というか空を飛ぶとはいえないが、こうフワッとした感じがした。
「なんだろ・・・。」
そのときはそれくらいで考えるのをやめた。
昼、自分の席で母の弁当を食べていたら、
「ねえ、あんたさぁ、見たよ」
「なにが?」
「土曜、大地君と・・・」
「土曜、天音さんと・・・」
「いたでしょ!」
「いただろ!」
「「ゴフッ」」
むせた。
「あんたらやっぱり・・・」
「おまえらやっぱり・・・」
といわれたが大地は少し恥ずかしく思ったが
「いや別に・・・・・」
「違あああああう」
隣の教室から大きな声が聞こえた。天音だ。
廊下に出て隣の教室を見に行きのぞいてみようとおもったが
飛び出してきた人にぶつかってしまった。天音だ
「おいどうした、あまね・・・」
もう天音は走り去っていた。
追いかけてきた友達?に
「何を言ったんだ!」
襲いかかりそうな勢いで聞いた。
「いや、ちょっとからかったていうか・・・」
なんでだよ。昔からずっとそうだ。俺とおまえはまわりと違うような気がした。
ただ幼なじみだからというだけでない気がしていたんだ。なんでいつもおれらが標的なんだろう。そう思いながら俺は、いつしか考えるのをやめた。だけどおまえは違ったんだな。
そんなことを考えながら校門を抜け町のあちこちを探した。どこに行ったんだよ。
「・・・はぁはぁはぁ。」
どこまで逃げてきただろう。はぁ。何してんだろう。そうだよ大地なんて知らないし。
違う。違う。違うんだ。そう。あいつなんて。あいつなんて・・・・。
「え」
体が浮いた。は?え?いやちょっと。まって。落ちる落ちる落ちる落ちる。コワイコワイコワイコワイ。
目を開けると私は空に落ちていた。
え。いやだ。死ぬ?なに?これ?え?夢?落ちてる空に・・・・。どうし・・・。
「うっ」
何かに当たった。飛行機でもないし衛生でもない。柔らかい。でも・・・少しずつ落ちてる。
あぁ、死ぬのかな。・・・・・なんなんだろ私の人生・・・・。
走馬灯なのか知らないが人生が見える。いろいろな出来事。・・・・。
そんな記憶の中で。
「空の町・・・・?」
「大丈夫かい?」
「えっ?」
ここは・・・・・。あぁ、夢か・・・。
「大丈夫?」
「はい、ちょっと疲れてたのかな。すみません」
「そう?ならいいけど」というと去って行った。
ここは路地?暗いな・・。光の方に歩き出て行くと
「え」
「まだ夢見とるのかな」
空には町が見えてそして、今立っているところも地面でってどういうこと?
どういうこと?どういう・・・・・。
そんなことを考えながら当てもなく歩くとふいに、
自分が知りもしない家の扉に手をかけていることに気づく。
疑問はあったがなぜか開けてしまった。
「え・・・お帰りなさい!やっと帰ってきた・・・」
「え?」
誰だろうか。知らない。だが安心感がすごく
「ただいま」なんて言ってしまった。
いつものように風呂に入ってご飯を食べて床につく。ただ一つ違うのは誰だか知らない人。疑問が頭を埋め尽くしていたが疲れのせいか意識は途切れた。
朝起きて、普通にリビングに行こうとするが道がいつもと違うことに気づき、思う。
「まだ、夢が覚めてくれてない」
そんなことを思いながらリビングに向かうと
「おはよう!よく寝れた?」
・・・。
「おはよう」
食事に関しては普通に同じらしい。ベーコンエッグにトースト。
おいしい。
「話聞かせてよ!空の上のこと」
?
「どうしたの?」
「え?空の上?何?」
ピンポン。今世紀最大の疑問の中、呼び鈴が鳴った。
「あの人ね」そう言うと・・・そういえば誰だか聞いてないじゃんあの女の人。
「どうも、久しぶり。なんて言ってもわからないか。あれから十年弱過ぎているんだし、
わからんか」男が言う。
十年前・・・・・?
「記憶が戻ってないみたいなの」女性が言う
「なるほど、まあゆっくり話そうか」
そう言うと男性と女性は椅子に座りゆっくりと語り始めた。
「この世界は、君の暮らしてきた世界の反対の世界なんだよ」
「昨日から天音さんが行方不明です。家にも帰っていないそうです。何か知っている人
は先生に言ってくださいね。それではホームルームを終わります」
クラス全員がざわついたものの特に情報は出なかった。
大地はLINEを送ってみるものの既読にもならなかった。
「はあ、どこに行ったんだよ天音」
「は?反対?」
「まあ、信じがたいのはわかっている。一からゆっくり話そう」
・・・。
「私たちはここを地球と呼び、空の上の方を反対の地球と呼んでいる。君からすれば逆だろうけどな。そして二つの地球は反対の重力で存在している」
「・・・」
「質問は?」
いろいろあるけど・・・。やっぱり・・
「私ってどっちの人間なんですか?」
二人は少し悩ましい顔をしたが
{こっち側}よ
{こっち側}だ
天音は直感的にわかった。
「パパとママなの・・・・?」
どういうことだ?パパとママは元の世界に・・
「あの人たちは・・被験者なの」
というと間髪入れず
「君もまた被験者なんだよ」
天音がいなくなって早一日がたった朝のホームルーム後。
「お願い!大地君しかいないの!」
天音の友達たちが急に俺のクラスにやってきて頭を下げてきた。
「いや、どうゆう・・」
「あんたなら、天音のこと知っているかなって思って・・・・
そのさ、私たち友達でいたいんだよ、でもさ距離感ってやっぱりわからなくてさ
だから天音が嫌がってるのかどうかってわからなくてさ、私たちまだ子供だからさ。
だからその・・天音に謝りたいんだ。図々しいのはわかってるし、謝っても許してくれないならそれでもいいけど、謝れずにこれっきりっていうのは・・いやなんだよ」
・・・はぁ。なんだよそれ。まったく・・。
「俺も頑張って探してみる。その・・・・」
こんなことで許せるかよ・・。
「ありがとよ・・。」
心の言うことを聞いてくれない体があった。なぜだか泣きそうだった
さてと。どうするかな。
帰りの夕暮れ時。
いまだにLINEは既読がつかない。不安感が体をむしばんでいく感じがこの一日半感じていた。
いや大丈夫。あいつは以外と頑丈にできてるし。小さい頃からどんなことがあっても笑ってて・・・。
そんなことを思うさなか、あることに気づく。
「俺の前じゃどんなときでも笑ってやがったなあいつ。満面の。」
中三の時同じクラスの時、聞いてみたときがあった。
「なんか悩みとかねえのか?」なんて聞いてみたが少し間を置いて
「なんも」なんて言いやがったんだ。
はあ、俺ってこんな馬鹿だったんだな。
あいつの好きなものも、あいつが行きそうな場所も、あいつがどんなことを考えてるのかも、
あいつが悩んでいたことも、何一つ知らないじゃないか。何が幼なじみだ。なにも・・・。
コツン。
「痛っ」
紙飛行機?
はあ。天空生活。早一日がたった。いろいろ整理しよう。ふう。
この世界は地球で、あっち側も地球で。それでいてこっちには本当のパパとママ。
あっちは被験者のパパとママ。そして。
「私も大地もその家族もまた被験者と。」
なんか実感なすぎて、何かなぁ。
なんて思いながらベットに横たわると天井に張り付く自分のバックが目についた。
あぁなるほど、バックは元の世界の重力を受け継いでるんだ・・。
「そうだ」
思いついた。椅子を持ってきてバックをとり、中身を見てみた。えっと、筆箱とノート・・。
スマホ・・。開いてみたが当たり前のように圏外。うーむ。
自分の置かれている状況はわかっているつもりだ。今こっちにいるってことは、えーとあっち側の学校もなんか大変なことになってるのかな。あっち側のパパとママに心配とかかけちゃってるのかな。大地・・いや別にあいつは・・。はぁ。なんかなぁ。
疲れと同じくらい混乱を感じる。こっちのパパの言葉がよみがえる。
「君と大地君は成功作と失敗作なんだよ」
「そして、あっちの君の父親と母親。大地君の父親と母親もまた失敗したんだ」
「実験って?」
「反対側の地球の調査だよ」
そんなことを言っていると
ポツン。
「あら時空渡りだわ」
?
「雨でしょ?」
雨だった。しかし、下から上?なんで?
「あれこそが君をこっちからあっちに運んだものだよ」
「人間にはね重力のパーセンテージがあってこっち側はこっち側の重力、あっち側はあっち側の重力があって、それを変える方法はあちら側の重力を摂取することなんだよ。だが私たちこちら側の人間はあちら側の人間ほど技術は発展していない。そもそも空に飛ぶ方法なんてないからね。そんなときに時空渡りに目をつけたんだよ。身近なものだが、あちら側の重力を持っていた。地面から湧き出す?といっていいのか未だにわからないがそのものが唯一私たちとあちら側の人をつなぐものだったんだよ。大地君の両親、君のあっちの両親は子供を残して参加したんだ。参加は命も保証されないことだった。成功したもののその時点ではまだパーセントなんて気にしてなかったんだよ。そして時空の狭間に関しても」
長々と語って一度話を切ったところで理解不能の私は
「あの私、天音っていいます。」
長々と語られて疑問が頭を巡るが何よりも自己紹介から入ったのは自分でも理解が追いついていなかったのだろう。
お茶を一杯飲み一息いれた男が語り始める。
「天音か・・。母さんが考えそうだ。」
なるほどね。そういうことになるんだ。
すべての関係線がつながった
こっちのパパとママは本当の両親で、あっちのパパとママは私のパパのパパとママっていうことね。はあ、もう訳わかんないよ。
「時空の狭間ってあのふわっとしたやつですか?」
自分の体験に照らし合わせて質問してみた。
「なるほど、君はすり抜けてきたんだよな。そう。あれの実態はあまりわかっていないんだがおそらく、網のようなものなんだよ二つの時空の行き来の時衝撃を緩和してくれるそんな存在なんだがそれくらいしかわからないんだ。」
「さてと、話を戻そうか。母さんと父さんは二十歳に時空の狭間を超えたんだよ。
そして大地君の祖母と祖父も同じく超えたんだ。お互い二人の子度を残して。
それの四人が大地君のこっち側の両親であり、天音、ここにいる二人なんだ。」
頭が追いつかないが大体状況はわかったと思う。信じがたいけど。何より気になっていた
「失敗作って何?」
「・・・大地君は戻ってこれなくなってしまったんだよ。パーセンテージが最初から
100パーセントになってしまったからね。天音の場合、調整はうまくいき99パーセント前後にできたんだ。パーセンテージは徐々に元通りになっていくんだ。何年もかけて。
だが、大地君はこちら側の重力を完全になくしてしまったがためにもどってこれなくなったんだよ。大地君の祖父母も僕の両親も、また同じ理由で反対側の地球に取り残された。
さらに言うと時空の狭間を超えると記憶障害を起こすようだ。たしか天音と大地君が
超えたのは十年年前だったか。・・・そして超えることが可能なのも年が関係しているようなんだよ。年が立ちすぎるとだんだんあちら側の重力に順応してしまって戻れなくなるようなんだ。つまり、人一人が人生に超えられるのは1往復半といったところだろうな。
「あなた」
「ん?」
「天音が?って顔してます。」
ほんとに一高校生には
理解が追いつきませんよ・・。
「今日はこれくらいにしようか。私もぼちぼち研究所に報告しにいかないとだしね。」
「うん」
ってな訳で今に至るわけだが・・・・。
はあ、どうするかな。
なんていいながらノートの一ページを破き紙飛行機を作ってみるが・・。
「そうか・・・君なら大地に届いてくれるのかな・・。」
ただの暇つぶし。そう思いながら今の自分の状況を整理しながら、
手紙に思いを書いてみた。
「あぁ、恥いなぁ。そもそも落ちていったところで届いてはくれないでしょ。
見ず知らずの人になんだこれって笑われておしまい・・・。」
そう思いながら雨降る中、ベランダに出て思い切り振りかぶり空に放った。
大地とのいろいろな思い出があふれてきて思わずこぼれた。
「私ここにいるよ大地・・。」
「ただいまー」
「おかえりー晩飯できてるよ。」
「はーい」
そう言いながら自分の部屋に入り、ベットに寝そべり一息。
「大地へって・・・・天音だよな・・。」
そんなことを思いつつ手紙を読んでみたものの・・。
「なんだこれ。作り話にしてはできすぎてんだろ・・・。」
そんなことを思いながら分の最後の言葉ですべてを真実だと思えた。
「どうすりゃいいんだよ・・天音。」
こっちに来て一週間くらいたったかな。
毎日変わらない食事。学校なんてなくて。けどゲームとかマンガとかもなくて。
ただただ、朝起きてパパを見送って、その後はママとただ編み物とかをやったりして。
うん、これが幸せ。本当のパパママに会えたんだ。私の本当はこっちなんだ。
「外出てくる。」
「あら、買い物でも行くの?」
「特には」
そう言うと玄関の扉をゆっくりと閉めた。
町を歩いてみよう。何か。何かないだろうか。
しかし、見渡す限り市場市場で何もない。公園も何もない。誰も笑ってない。
ついでに花屋もない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「やぁ」
「え?」
道ばたの椅子に腰掛けていると見ず知らずの・・
「君のパパの研究所の同僚です」
あぁなるほど。
「つまらないでしょ」
「え?いや別に・・」
「ほんとに?」
「だってめんどくさいんですよ。上の世界の奴ら。何かと絡んでくるし。理由もなく人の嫌がることとかするし。そんなのがずっとですよ。そのくせして、私が喜んでるときは
一緒になって笑ってくれたりして。私が悩んでるときは真剣に聞いてくれたりするんですよ。あの馬鹿友達。それにいつもお節介で気づいたら横にいる馬鹿幼なじみがいて・・・
あれこれって・・」
「帰りたいと言うわけだね。」
そんなの。そんなの全然、
「帰りたいなぁ」
心の言うことを聞いてくれない体があった。泣いてしまった。
「助言をしたのは僕なんだよ。重力のことについてとか何もかも。この世界の人は興味という感情がかけているように感じてね。だから、一つ変化を与えたんだ。きっと、君を泣かせてしまったのも私の変化の連鎖の一つなんだろうね。面白い。」
「何を言って・・。」
そこにはもう同僚さんはいなかった。
「あ!やば!こんな時間!」
すでに夕方の十七時を回っていた。
「なぁ、母ちゃん。これどういうことだ?」
大地の母はびっくりしたように大地の掲げた手紙を見た。
「なるほどね。もう十年くらいか・・。」
「まさか、本当なのか・・。」
半信半疑の心は完全になくなった。
「書いてあること全部本当よ。てかあんた、最後の文・・」
「あ!」
恥。
「まあ、けどどうしようもないわね私たちはどうにもできないそのことは変わらないわよ。
悲しいことにね。」
・・・。
その後天音の母親に電話し確認したが同じ言葉が帰って来るばかりだった。
「どうすんだよ。この状況・・。」
朝。ホームルーム後。
「あははははは!」
学校の屋上にて。
「おまえなぁ、おれは本気で・・・」
「わかったよ。待つ。きっと戻ってくるよ。そうでなきゃ困る。」
「は?え?信じるのか?これ全部?」
「うん1文目から最後の文までw」
「ッ」
恥。
「まあ、何より!このことは口外禁止で・・」
「安心してよ!言わないし。誰に言ったって信じてくれやしないさ。」
「まあそれならいいけど・・・」
「けどさ、私たちからは見えないよね。青空しか見えない!」
「まあな。」
「・・・・んじゃ!なんかあったら教えてよ!ラブラブカップルさん!」
「あ?おい!」
「ははは!ごめんて。」
「おまえなぁ。」
「なんかあったら教えてよ。心配なのは本当だからさ。」
そんなことを言った天音の友達の言葉は真剣さがよく伝わってきた。
あぁ、ずるいだろ。ほんと。
「あのさ・・・・。」
「帰りたいか?」
「え」
正直かなり悩んだ。こっちは以外と居心地はよかった。暇かと言われればそうかもと思うが
安心感というのだろうか。何の危険も感じず日々を過ごせた。パパもママも優しくて。
「私たちもさ。天音を変えたくて反対の地球に送ったんだ。四歳頃の天音は言い方は悪いが
目が死んでいた。私たちの遺伝だろうかね・・・。そんなときに反対の地球の子供たちの楽しそうな姿を実験の最中に見たんだよ。私も実験を持つものとして権利の乱用はあまりよくないと思ったがそれでも私は天音に変化を与えたくて・・。十年たって天音は本当に変わった。よい方に変わって帰ってきた。返したくはないけど。天音の幸せは私たちじゃ与えられないようだ。天音が帰りたいと思うなら私は止めないよ。」
・・・。ごめん。だけどね
「幸せなんだよ。今もずっと、この数週間。パパとママにあえて二人の優しさに触れて
家族って本当に安心できるんだなってわかったよ。どんな状況でも安心できた。
ごめん・・。でもさ、好きなやつができちゃったんだよね。馬鹿にしてきたと思ったら急に優しくなって慰めてくれたりしてくれる馬鹿な友達とか、いつも私が落ち込んだときはカレーを作ってくれるママとか、いつも夜遅くまで働いて家計を支えてくれて土曜とかに帰ってきたと思ったら一緒にバトミントンとかやってくれるパパとか・・・。」
・・・。
「お節介な幼なじみとか。好きになっちゃったんだよね。だからさ。」
・・・。
「帰るよ。」
「よしわかった!はい!これ!飲んだら戻れるから荷物準備できたら行ってこい!」
「え?そんな軽い感じで研究重要品出しちゃうの?・・・・」
「ふふ」
「はは」
「「「あはははははは!」」」
笑った。家族みんなで。
最後の晩餐はいつも通りのカレー。やっぱり、おばあちゃんよりちょっと甘いな。
でもおいしい。ほんとおいしすぎだ。
朝。さてと。
「筆箱よし。ノートよし。あとスマホよし。それと・・。ありゃ?こんな本も入ってたか。
・・・。よし。」
階段を降りて、リビングに向かった。
「おはよう!」
「「おはよう」」
「準備はできたか?」
「バッチリ!あ!そうそうこれあげる!」
「なんだこれ?」
「マンガ」
「まんが?」
「うーんと、人が物語を考えてそれに絵を合わせて一つの本にするの。面白いでしょ。」
「なるほどな!こりゃすごい。ありがとう。大切にするよ。」
「うん」
・・・。
「幸せにな」
「幸せにね」
・・・。
「・・・最後にさ、ぎゅってお願いしてもいいかな・・」
2人は優しく私を包んでくれた。
踏みとどまりそうになった私に
「「いってらっしゃい」」
・・・。
「いってきます!」
そして彼女は飛び立った。
「いってらっしゃい。天寧。」
花屋{恵み}の店先にて
「おっす」
「おっす!」
「今日も元気だな。おまえは。」
「まあ、元気が私の売りなので!」
「よく言うぜ・・。まったく・・。」
店奥からまだまだ元気そうなおばあちゃんが出てきて
「あら!久しぶりなさい。2人とも。」
「あれから、5年くらいたったけどわかるんだ。おばあちゃん。」
「なめないでもらいたいね。なんたって15年前とちっとも変わらないじゃないかい。
そりゃそうと、式はいつだったかね?ちゃんと参加させてもらうよ。」
「一週間後だからね。忘れないでよ。」
「はいはい。実家にも顔出してくんだろ?行ってやんな。最近、私ん家来ては娘がどうのとうるさいんだよ。」
「ごめんねおばあちゃん。じゃあ元気でね。」
「あんたも、大地に幸せにしてもらんなよ!」
そんなことを言っておばあちゃんは店奥に消えていった。
「元気そうだったね。おばあちゃん。」
「さすがって感じだな。」
「一週間後よろしく。」
「おう。」
そんなことを言った2人は話の話題を捜す。
「そういやよ。あの手紙さ。」
「ん?」
「高一の頃いろんな人に見せちまったんだよ。」
「は?」
思い出されたのは最後の文だった。
{大地。大好きです。直接言いたかったけどこういう状況だからね。}
はあ。
「まじ許さん。」
「すまんすまん。アイス一つで手を打とうじゃないか。」
「許す。」
「安いもんだな。」
・・・。
「じゃあ俺、実家あっちだから。駅前に十七時集合で。」
「OK。じゃあね。また。」
「おう。」
そう言うと2人はお互いの家に向けて歩き出した。
そういえば、何年ぶりだろ。あぁ、ここだ。
「久しぶりだなぁ。」
いろんな思い出が頭を満たしていた。
久しぶりの感覚だな。
玄関前には家族が待っていた。
「ただいま。」