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4:【属性攻撃補正:悪人】って、なに?

『レベルが上がりました』

『レベルが上がりました』

『レベルが上がりました』


 その声は3回、続けて頭の中に響いた。


 ……嘘だろ?

 今まで5年間、いくら頑張っても上がらなかったレベルが、こんなことで、人を殺して……

 ……マズい、考えるのはあとだ。とにかくここを離れなきゃ!


 僕は足元に転がる小瓶とお金を急いで拾い、その場から走って逃げた。



 ◇



 おんぼろアパートの自分の部屋に転げるようにして飛び込み、内から鍵をかけてようやく人心地がつく。

 そこではじめて喉の乾きに気が付いて汲み置きの水を一気に呷ると、今度は体中の傷がじくじくと痛み始めた。


「傷薬、役に立ったよ。ありがとうメリッサ」


 目の前にはいない彼女に、言えなかったお礼を言ってから中級傷薬を飲み干した。

 それはさすが小金貨1枚の効き目を発揮して、すぐに体の痛みが引いていく。と言うより、傷を負った箇所は多いけど、どれも思ったほど深い傷ではなかったようだ。

 それでも一応念のために服を脱ぎ、見える範囲の傷を確認して体を拭いておく。……傷口はキレイにしておけって言われたからね。


 ところで、あの男はいったい何だったんだろう。どこからどう見ても人間みたいに思えたけど、倒されて消え失せるなんて、まるで魔物じゃないか。僕の知らない魔物の一種なのか、あるいは魔物に取り憑かれた人間だったのか。うーん……

 考えても答えは出てこないし、この事はあまり深く思い悩まないことにしよう。何より、ああしなければ、殺されていたのは間違いなく僕の方だったんだから。


 そしていよいよ、僕の身に何が起こったかの確認だ。


「……ステータス」



アレックス 人間族 男 15歳

Lv.4

Kr.52

スキル

剣術 Lv.1

属性攻撃補正:悪人 Lv.1

属性防御補正:悪人 Lv.1

簡易鑑定:カルマ値



 思わず叫び出しそうになるのを、ぐっと堪える。


 本当に上がってた。それもレベル4だって!?

 欲しかった剣術スキルもちゃんと覚えてる。

 ……それはいいんだけど、【属性攻撃補正:悪人】って、なに? それに防御補正も、対悪人限定ってことなのかな? それはなんだか微妙……

 ついでに『カルマ値』なんてのも、今まで聞いたことがないぞ。


 そう言えば、レベル以外に新しい数値が増えてるな。Kr.52って。

 ひょっとして、これがカルマ値ってこと? 何を表す数値なんだろう?


 その他には、【簡易鑑定:カルマ値】か。

 【鑑定】スキルと言えば、他人のステータスの一部や、場合によっては品物の価値なんかを見るだけで正確に知ることのできる、希少なスキルだ。

 それが『簡易』で、たぶん『カルマ値』に限定されてるってことだから、他人のカルマ値だけを見ることができるスキルなのかな?

 ……肝心のカルマ値が何なのかが分からないと、役に立つのかどうかも分からないな。明日にでも試してみよう。




 ◇◆◇




「やっぱり、何のことだかさっぱり分からないな」


 翌日、大通りへ出て、人の多いところで【簡易鑑定】を発動させてみた。

 すると道行く人たち全員の頭上に、ぱっと色付きの数字が表示された。ほとんどが青色の数字で100までだ。でも時々赤色の数字の人もいて、大きいところでは数百の数字を掲げている人もいる。

 だけどその色別や数値の大小が、その人の何と関連しているのかが分からない。

 例えば同じような数値の人でも、男だったり女だったり、若かったり年寄りだったり、あるいは太っていたり痩せていたり。その姿は様々だ。


 ちなみに他の人の数値を見る限り、僕のカルマ値52というのは、特に多くも少なくもない平均的な数値らしい。


 そうしてしばらく人の流れをじっと見つめていると、ようやく少しだけ規則性のようなものが見えてきた。

 ざっくり言って、赤字の数値が大きい人ほど、ガラが悪そうに見える。もちろん例外はあるけど、逆に青字の人は、どちらかと言えば大人しそうだったり人が良さそうな感じがする。


 要するに、青字はいい人で赤字が悪い人、ってところ? つまり悪人を見分けるスキルってことか。

 他にも対悪人限定で攻撃と防御の補正スキルを覚えてるし、もしかすると昨日、悪人に襲われたから悪人に対して強くなった…… なんてことがあるのかな? そんなの聞いたことないけどな……


「全然役に立たないスキルってわけでもないし、まあいいか」


 いち早く悪人を見分けて逃げられるし、逃げられなくても補正で有利に戦える…… かも知れないからね?




 効果を試す間、けっこう長い時間【簡易鑑定】を発動させっ放しだったので、少し頭が重くなってきた。いわゆる魔力酔いってヤツだ。

 人の数だけずらずらと数字が表示されているのもうざったいし、必要な時以外は使わない方がいいだろう。例えば人気のない道を歩く時とか。


 それじゃあ次はレベルアップした身体能力と、剣術スキルを試しに行こう!

お読みいただき、ありがとうございます!

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