7.チーム<コンネズ>(3)
タチワナの方に出ていたカミヒョウト、そしてリンネの前に現れたヒョウト。それぞれ、タチワナとリンネに一瞬で倒される。気後れしていた他のチームのメンバーも、それぞれヒョウトを仕留める。
新たに出てくるヒョウトはいないようで、無事、討伐は済んだようだ。
足の痺れも引いていった。落ち着いて、駆け寄ってきたリンネを見ると、少しエルフっぽく耳が尖っている。可愛い、なんて見とれていると、〈コンネズ〉のメンバーが俺の周りを囲んだ。
「俺たちは、チーム〈コンネズ〉。そして、俺はリーダーのタチワナ.君の出現に助けられた」
「私は、チーム〈コンネズ〉のリンネ.あなたが出てきたからこそ、ヒョウトの注意が離れた。ありがとう」
正直、何をしたわけでもない。いや、何もできなかったのに、こんな風に褒められても、居心地が悪いだけだ。
「いや、自分は、別に、、、」
モゴモゴと、どもっていると、崖の上から再びバキバキという音をたてながら、ルキが走り下りてくる。
「シオー、シオー!」
ルキッ! そんなところ下りてきたら、危ない。っていうか、ぶつかる!!
ドスッ!!
頭から自分の顔にぶつかてくる。眼の前に星がちらつくって、こんな感じなのか。鼻の頭あたりが、ちょっと痛い。いや、だいぶ痛い。
でも、自分が助かったこと、ルキが助かったことが嬉しい。だから、ルキを抱きしめる。
ふと気づくと、リンネは冷たい目で自分を見ている。タチワナはニヤニヤしながら
「お前も必死だったということか」
気恥ずかしい。でも、まぁ良い。無事だったんだから、、、
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街まで、タチワナ達と一緒に戻った。ルキを食堂じゅうはちまで届け、そのままタチワナ達が使う飲み屋へと向かった。
(お礼をされるような活躍はしていないので、肩身が狭いのだが)タチワナが離してくれなかった。冷静沈着で、冷たそうな印象のあったタチワナだったが、意外と話しやすい奴だった。同じテーブルに座った赤毛のサウロウは、少しお調子者。彼が話すと、笑いが起きる。そして小柄なポリン。サウロウに時々、ちょっかいを出されるのだが、いつもなのか、あしらうのが上手い。よっぽどのことがない限り怒らなそうだが、きっと怒ったら手が付けれれなさそうな気がする。
隣のテーブルには残りのメンバーが座った。大きな体のコングと、中肉中背のショーンが話しているのを、リンネは聞いているだけ。話には混ざらないけれど、つまらない訳ではないっぽい。時々、こちらを見るリンネと眼が合ってしまい、俺は慌てて目をそらす。
彼女は有名だから知っているからなのか、どこかで会ったことがあるような気がする。でも、どこかで会いましたっけ? なんて言ったら、馬鹿にされるだろうな。きっと冷たい視線を浴びるだけだ。
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久しぶりに、楽しいひと時を過ごした。チームを組んでいないせいか、損得関係を感じさせない話をした。
今回の御礼をきちんと報酬でしたい、ということだったので、明日、もう一度会うことになった。本当に、報酬をもらうほどのことではないんだけれど、でも、彼らに会う口実ができるのは嬉しかったので、了解した。