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5.チーム<コンネズ>(1)

 最近は、街の近くの森にまでヒョウトが現れるようになった。迷ってやってきたという感じではなく、縄張りを広げていこうとする意図があるのか。少し離れた街では、街自体へのヒョウトの攻撃があったと聞く。であれば、早めに憂いは絶っておくべきだろう。

 そのうち、今のようにチームごとに動くのではなく、もっとチームを纏め、大きな戦略で動く必要があるのかもしれない。


 とはいえ、目の前のヒョウトは3体。油断は禁物だが、今のチームの実力なら、何ら問題はない。

 俺 タチワナのチーム〈コンネズ〉は6名。前衛はサウロウとコングの2人、そして、この辺りでは最強レベルであろう剣士のリンネ、中軸の2人ショーンとポリンはいろいろと動いてもらう。俺は、戦う時もあるものの、基本は戦略をチームみ立てる役割。正直、このメンバーでは、俺が戦わなければならない状況にはそうならない。


 前衛の2人で両脇のヒョウトと戦っている間に、リンネが相手に突っ込み、中央にいたヒョウトを斜め上から叩き切る。ヒョウトの皮膚は人よりも遥かに硬いため、簡単に切り裂けるものではないが大したものだ。


 中軸の2人が前衛の2人をサポート。それぞれ、左右のヒョウトにあたる。


 サウロウが戦うヒョウトの足元に、ショーンが切るつける。もちろん、それには気が付き対応するものの、これまで戦っていたサウロウへの注意がそれる。視線が下に向いた瞬間、肩に突きを入れる。ヒョウトは肩を抑えつつ、サウロウを睨みつけるが、今度は手薄になった足元をショーンに切りつけられる。

 

 コングは大きな鉈を使い、叩きつけるようにヒョウトを攻撃している。その脇にきたポリンが飛ばした吹き矢が、ヒョウトの眼の部分に突き刺さる。片目の視野を失ったヒョウトは、コングの繰り出す鉈を避けきれない。



 この程度なら問題ない、と、ホッとした瞬間、前方および私の後ろで白い爆発がおきる。


「前方は3人、ショーンとポリンは一旦、こちらに戻れ」


 前方の白い光の中からヒョウトが6体出てくる。

(どこから出てきた? そんな気配は全然、感じなかったぞ)

 だが、驚いている時間は無い。


「タチワナの後ろ、後ろに、、、」

 ショーンに言われなくても、その気配を感じ、後ろを見ることなく弓を放ちながら右斜め前に場所を変えた。でも、これはどうしたことだ。そこにいたのは、このあたりでは見ることのないヒョウトの上位種カミヒョウトが2体。

 こいつらは、隠れているなんて芸当ができるやつらじゃない。何らかの方法で、突然、ここに現れた、ということ。


 十分、周りを索敵してからの今回の作戦。ヒョウト3体なら他のチームの助けを得るまでではないと思って、討伐することにした。それが何らかの方法で、追加のヒョウトが出現。

 これはちょっと分が悪い。いや、正直、上位種カミヒョウトが現れた時点で、だいぶ分が悪い。しかも、この上位種、前に見たことのある個体に比べ、明らかに大きい。


 チームのみんなの生存が最優先。となれば、現状で取りうる作戦は一つ。私が囮になり、カミヒョウトを引き付ける。時間さえとれば、前方の6体はリンネが倒せるだろう。そうすれば、この上位種も間違いなく倒せる。それが一番の確実と考えた。


 ショーンとポリンを引かせつつ、私がカミヒョウトの目の前に出る。灯玉あかりだまを左前方の固体の前に投げつつ、弓矢を右前方の固体の足をめがけて3本打つ。灯玉が破裂し、閃光が発つ。

 目くらましになるはずだったが、一瞬怯んだだけで、カミヒョウトはすぐに態勢を元に戻す。隙ができるかと多少期待していたが、あまり効かなかったらしい。私の放った弓矢は1本だけ足を貫いたものの、残りの2本は当たらなかった。


 予想以上に強い上位種だ。いや、最初から想定はしていた。突然、後ろに出現した時点から。これは、普通の状態ではない。

 だからこそ、自分が敢えて前に出て、時間を稼ごうと思った。リンネさえ来れば、一気に形成は逆転するはずだ。

 カミヒョウト2体の視線は俺に集まっている。2体を一度に相手したことはないが、ここはしのがなければならない。


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