表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

117/119


 彼は、静かに降り立った。

「幸運もここまでくると、不愉快だ。都合のいい設定ばかり詰め込んで、恥ずかしくないの?」


 自分でもそう思う。

 司は苦笑した。


「さすがの僕も、幸運までは操れないからね。どうしてもここで殺しておくべきだ!!」


 全身を包む、光の鎧を身にまとった。

 そして日本刀を掲げる。


「正真正銘! 本気だ!!」


 光の閃光が襲い掛かってきた。


 司は慌てることもなく身をかわし、剣を振るった。


「・・・え?」


 彼の腕が、地面に転がっていた。


「うぐぐぐぐぐぅ!!!」


 彼は苦痛の声を上げながら腕を拾うと、プラモデルの腕をくっつける様に腕をはめ込む。

「何をした!」


 司は彼に向かって、ゆっくりと進んでいく。

「クソ! 消し飛べ!!」

 炎の壁が司を襲う。

 力の差は歴然、司は抗うことなく肉が焼けていく。


 しかし消滅までには至らなかった。

 そう、それで十分。


「くあ!?」

 手首がないことに驚き、転がる自分の手を探し、拾って張り合付けた。

「いつの間に!」


 体がナノマシン、そして元来の回復魔法を使うことで肉体は急速に回復していく。

 司は駆け寄っていく。

「舐めるな!」

 黄金の騎士は再生した手で日本刀を振るった。


 司はすぐさま剣の刀身を掴み、腰を落とす。

 彼の光のような振り、それを紙一重で避けた。


 すかされた腕の先には剣があった。

 彼の腕は、自分が振るった勢いで飛ばされてしまう。


 右側に死角ができ、司はそのまま彼の首を切り落とした。


 地面に腕と首が転がり、体は力なく大地に倒れた。

 静まり返る渋谷。

 守られていた豊子が近づこうとしたところ、司は手で制し首を振る。


 首と死体が、光り輝きながら浮かびあがる。


「うおおおおおおおおおおおお!!!」


 叫びながら、体がくっつく。

「これが正義の光! 愛の奇跡だ!!!」

 そう言って体を輝かせながら突撃してきた。


 司と彼は、すれ違う。

今度は、無数に切りさかれた彼が地面に落ちていく。


「うおおおおおおおおおおおおお!!! この程度で!!」

 やはり叫びながら復活した。


 再び突撃しようとしたが、司が腰を落とし刀身を掴み身構える姿に踏みとどまる。

 ならばと、魔法を放とうと腕を伸ばす。

 しかし司は間髪入れず剣を振るい、彼の両腕は切り落とされた。

「正義は負けない! 悪がはびこることなどない!」

 光輝き再び体がくっつき始めた。


 司は、そう叫んでいる間に再び切り刻んだ。


 そのようなことが、しばらく続いた。

 切り刻む。

 叫んで復活。

 切り刻む。

「いい加減にしろ!!!」


 体を爆発させ、司を突き放した。

「いい加減にしろ! 何なんだよお前は!!」

 駄々っ子のように光の玉を出現させては投げつけてくる。

「正義の奇跡を起こしたんだぞ! 次はお前が負ける番だろ!! いい加減にしろ!」


 司は無言のまま、光の玉を避けながら近づいていく。

 彼は、無意識のうちに一歩後ろに下がった。


「何か言えよ!!」


 衝撃波を、剣を振るい打ち消した。

 段々慣れてきた。


 強力な魔法が使えるが、それを戦闘で使えるよう特別な訓練はしていない。

 威力を高めるために力をため、相手に向かって手を伸ばす。

 そんな無駄の多い行動を取っていれば、避けるのも容易だ。

そうじゃない、手早く撃つ場合ならば、こちらも対応できる程度の威力だ。


「こっち来るな!」


 再び魔法に頼ろうとしたところを、司は袈裟切りにする。

 やはり輝きながら再生してしまう。


 脳も心臓も、あらゆる箇所を切り刻んだが、まさしく不死身。

 こちらが対応できたように、あちらも対応されては困る。

 こちらは車、あちらは新幹線なのだ。


 焦りを隠しながら、何度目かの腕を切り捨てた時だった。

 その腕は、再び彼の元に戻ることはなかった。


「や、やぁ、緑川さん。調子どう?」


 切り裂かれた腕を掴み、彼女はにやっとした。

「ええ、悪くないわ」


 腕を掴み、すたこらさっさとと逃げ出した。


 10人の仲間のうち、最後の一人。

 オタクで異世界転生を誰よりも喜び、残酷な世界で精神を病んでこの世界に帰りたがっていた人だ。

 昔のように眼鏡におさげ姿の女子高生は、腕を掴んだまま割れ目を飛び越えて行った。

「ま、待て! 腕を置いて行け!」


 司はもう一本の腕も切り捨てた。

 そして、その腕を掴んだ。

「クソ! 戻せよ!」


 司は自分の頭を抱えた。

 ああ、なるほど、こうすればいいのか。


 蹴りを放ってきたので、軸足の足首を切り裂いた。

 すると、どこに隠れていたのか、坂本が素早く足首を持っていく。


「おまえっ、待てよ!」


 倒れ込む前に、太ももを切り裂くと、今度は四つ足の中田が飛びつき、素早く離脱していく。


「待て、ちょっと待ってくれ!」


 次々と仲間たちが現れては、体を持っていく。

 体を切り刻むと、リングたちが素早く肉片を持っていく。


「少し疑問があるんだ」


 司は、首だけになった彼にはじめて声を掛けた。


「頭を左右に割った場合、右くんと左くんで意識が別れるのかな? そうなった場合、復活するとき右くんと左くんでケンカになったりしないのか?」

「お、おい、冗談だろ・・・」

「もちろん冗談だ」


 首を左右だけではなく、更に上下、縦にも切りバラバラにしておいた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ