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「こりゃダメだ! ノンストップで行きますぜ!」


 きゅるるる!

 空いている道に、どんどんとパトカーや装甲車が目立ち始めた。

 トトトポヤは座席でノートパソコンを開いて、パチパチと調べ始めている。


「次右! 道を封鎖しようとしてるわ!」

「走った方がいいじゃない!?」

「まだ遠いわ! もう少し先で降ろして!」


 タクシーはこれでもかと弾みながら突き進んでいく!

 しばらく進み、司とトトトポヤを下すと身代わりになるように発進した。

 すぐ後から車が走り抜けていく。


 トトトポヤは近くのマンションに入っていき、そこから隣のビル、もしくは家のベランダに飛び乗りながら移動していく。

 司もパルクールを楽しみながらついて行く。


「もうちょっと平たんな道はなかったかな!?」

「領主様! これが一番平たんな道なんですよ!」


 飛び跳ね、最後には線路内に入り走っていく。

 普段は電車が走っているこの場所も、今は何も走っていない。


「いたぞ! こっちだ!」

「うわ! もう見つかった!」


 トトトポヤも驚きの声を上げた。

「トトトポヤ! ここは俺たちが足止めしとくぜ!」

「うわぁ!」


 兵士たちに、何十人もの子供たちが襲い掛かる!

 それはもう、目にも止まらぬ速さで身に着けていた装備、更に服さえも奪われていく!


「リングは何人こっちに来てるんだ!?」

「希望者だけですよ!」


 裸になりトランクスだけはどうにか死守しようとする自衛隊の横を通り過ぎ、駅のホームへと入り込んだ。


「ここまでだ!」


 渋谷駅内は、兵士たちで埋め尽くされていた。

「動くな!!」


 と言いつつ、迷わず射撃を開始した!

 司もトトトポヤも、迷わず身を隠していた。


「領主様! これどうにかなります!?」

「・・・何人か死人が出るだろうな」


 目的地は目の前、できるだけ体力は温存しておきたい。

その前哨戦で、気力を使い果たしたくはない。

 と、なれば、殺してしまうのが一番だ。


「ここでは人を殺すと、殺した以上に損をするからなぁ」


 冷淡な感想かもしれないが、秩序を守ることに関し、実に機能している。

 約束というのは、守った方が得なのだ。


 指を鳴らし、飛び込んでくるであろう兵たちを待ち受ける。

「せいぜい恨んでくれよ」


 と、駅内が急に騒がしくなり始めた。

 怒号、そして悲鳴と銃弾が鳴り響いていた。


 何事かと様子を見てみると、小さな、可愛らしい男の子が地面に手をつきながら走っていた。

 その子がぶつかると、次々と100キロは越えているだろう大男たちが弾き飛ばされていく。

 そして、可愛らしい声で奇声を上げていた。


「・・・中田?」


 リザードマンだった頃の豪快さ、そして巨石すらも一撃で破壊する破壊力こそないが、それでも人間を吹き飛ばすぐらいの力を見せていた。


 駅内はまさに大混乱に陥っていた。

 数百人は居るだろう、リングの群れにより次々と装備を奪われ、素手となった兵たちは15歳の少年少女たちに次々と倒されていく。


 あちらでは、まるでオブジェのように人がロープで吊るされている。

 こちらでは、武器が取り上げられ手錠で横たわらせていた。


「・・・そんな、僕は両手足の骨を砕いたのに」

「つ、ツカっちゃん、それはどうかと思うよ?」


 坂本は軽やかな動きで5人の自衛隊員を翻弄し、叩き伏せていた。

 すぐにリングが手錠をかけて動けなくさせていく。


百人以上いたはずなのだが、30分ぐらいでホームはすっかり静かになった。


 8人の友人たちは、司の前で立ち並ぶ。


「水臭いな! 俺たちに遠慮するとはらしくもない!」

「そうですね、君が1人で何をやらかすほうが不安でしょうがないですからね」


 兵たちが持ってきた装備を調べていたトトトポヤが声を上げる。

「領主様! 援軍来るよ! 今度はがっつり装備と人数揃えてくるって!」


 中田は、可愛らしい手を勇ましく司の背を叩いた。

「行ってこい! 足止めは任せろ!」

「ああ、ここは任せる・・・」


 ホームに、大きな拍手が響き渡る。


「感動的だね。仲間っていいよね」


 少年がそこにいた。

 司たちは慌てて身構えるが、リングたちはすぐさま彼に襲い掛かってしまった!


「駄目だ! 手を出すな!」


 光と風が吹き、リングたちが跳ね飛ばされた!

 少年少女たちは地面を転がり、胸から激しく血が吹きあがり始めた。


「神を前に、不遜な態度であるな」


 癒し手だった仲間はすぐに手を伸ばすが、当然我々には当時の力はない。

 それを見て、少年は笑った。


「今は普通の人間になってしまったんだね。ふふ、君たちを殺すのは容易そうだ」


 そして少年は、司の顔をじっと見た。


「君の幸運も、ここまでのようだ」


 そう言って、謎の少年は聞いてもいないのに、とうとうと自分の過去を語り始めた。




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